つむじ風食堂の夜 の商品レビュー
舞台となる町の名は「月舟町」。どこか懐かしさを覚える町だ。その町角の、ちょうどつむじ風が吹き溜まるところにある、一風変わった食堂が「つむじ風食堂」だ。毎夜のごとく、つむじ風に押されたかのごとく、常連客たちがやって来る。物語にはノスタルジックな雰囲気がいっぱい。著者の吉田さんお得...
舞台となる町の名は「月舟町」。どこか懐かしさを覚える町だ。その町角の、ちょうどつむじ風が吹き溜まるところにある、一風変わった食堂が「つむじ風食堂」だ。毎夜のごとく、つむじ風に押されたかのごとく、常連客たちがやって来る。物語にはノスタルジックな雰囲気がいっぱい。著者の吉田さんお得意のところだ。過激なところもない。たんたんと穏やかに、そして静かに日常の生活が刻まれていく。もちろん、人々に悩みがないわけではない。ただ、主人公は、何事に対しても誰に対しても強い否定の言葉は口にしない。ちょっと気弱だけど、そのせいではなく、思いやりのある人間だからだ。見習わなくちゃ。夜空にぼんやりと浮いた月の舟 つむじ風にゆらゆらどこに流れていくんだろうね 身をゆだねたら舞台女優の奈々津さん 何も言えないよあなたの輝きに 気付いているからさあ、美味しいものを食べに行こうきっと、みんなが待ってるから「月舟町」という町名に、昔聴いた「月の舟」という歌を思い出した。池田聡さんが歌っていた。どこかにCDがあるはず。久しぶりに聴いてみよう。【後日談】池田聡さんの「月の舟」を久々に聴いた。すると、驚いたことに、イントロ部分に風の音が入っている。まさか、つむじ風の音か!?
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月舟町の十字路の角にあるつむじ風食堂に集まる人々の物語。 あたたかくノスタルジック。淡々。飄々。どこか幻想的な雰囲気。 まさに「ツボ」な世界観と文章でした。 最近いろんな本屋でプッシュされてるのが気になって読んでみたけど、作者はクラフト・エヴィング商會の人なのですね。納得。 他の...
月舟町の十字路の角にあるつむじ風食堂に集まる人々の物語。 あたたかくノスタルジック。淡々。飄々。どこか幻想的な雰囲気。 まさに「ツボ」な世界観と文章でした。 最近いろんな本屋でプッシュされてるのが気になって読んでみたけど、作者はクラフト・エヴィング商會の人なのですね。納得。 他の本も読んでみよう。
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月舟町の十字路の角にぽつんと灯りをともす食堂。 十字路には東西南北から風が吹き募るのでいつでも、つむじ風がひとつ、くるりと廻っていた。 だからその食堂は題名から「つむじ風食堂」と町の人々は呼んでいて、もともと名なしの食堂だったから、それが定着していた。 普通の安食堂はメニュ...
月舟町の十字路の角にぽつんと灯りをともす食堂。 十字路には東西南北から風が吹き募るのでいつでも、つむじ風がひとつ、くるりと廻っていた。 だからその食堂は題名から「つむじ風食堂」と町の人々は呼んでいて、もともと名なしの食堂だったから、それが定着していた。 普通の安食堂はメニューなんか置いている店は少ないのに、その店は20ページにも及ばんとする本格的なメニューが常備されていて油にまみれることなく、いつ見てもパリッとしているのがなかなかに洒落ているのだった。 しかもメニュー内容というのが・・・お馴染みの定食であるのに「コロッケ」は「クロケット」、「生姜焼き」は「ポーク・ジンジャー」といった風にパリ帰りの食堂のあるじの心意気が感じられるものだった。 そんな美味しくてお洒落で安い大衆食堂に日々顔を連ねるのが、月舟アパートに住む「雨」の研究を続ける主人公の「先生」、古本屋の「親方」、発想力のあるユニークな帽子屋の「桜田さん」、女優を目指す「奈々ッ」さん、読書家の果物屋の青年であり、彼らが8つのストーリーに渡って独自の考え方や生活観を語る。 手品師を父に持つ主人公は「人工的に雨を降らせる」研究をしているが、それだけでは生計が立てられないので、雑誌のコラムを書く仕事を副業として生活しているが、そのコラムの題材の資料を集めたり、客観的な意見を求める先が食堂のおなじみのメンバーなのである。 主人公のロマンを感じる「エスプレッソマシーン」を「人口降雨」の機械になるのでは・・・!?と考えを張り巡らすシーンには思わず微笑みがこぼれた。 →「クラシックなタイプのエスプレッソマシーンには言わば蒸気を発生させる機械としての側面があり、これを応用して巨大化すればあるいは「雨を降らせる機械」になり得るかもしれないと思いついたのである。そういえばこのマシーンが作り出すもうひとつの飲み物は「カプチーノ」と呼ばれ、ちょうどコーヒーの上に白い雲が浮いているかのような一杯である。雨とは雲であり、雲とはすなわち大気中に固まって浮かぶ水蒸気であるから・・・この小さなマシーンを「人工雲製造機」に改造するのは訳ないのではあるまいか・・・?と妄想してしまう。」 そんな風に考えながらカップに入ったコーヒーをすすれたら、きっと気持ちも雲のように軽くなれるかもしれない(笑) 人は誰だって恋愛や仕事や人間関係などの悩みをかかえることがある。 けれど温かい日に柔らかい優しい風に当たれば、その旋風は空気と一緒にその悩みをなびかせ、巻き上げて、どこか彼方へ持ち去ってくれるような気がすると私は感じる☆ ましてや「食堂」という場所で食べながら、誰かと言葉を交わすうちに難しく思っていたことが簡単に思えてくることがある。 優しい風が吹きかう十字路にある1件の食堂を私も見つけたい。
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タイトルになっている割に・・・ 食堂出てこないね。 食堂で何かが起きる、とかでもなく。 うーん。
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(最近まったく本読んでないけど)久々に素敵な本に出会った感じ。 あなたの「ここ」ってどこですか?にあるような ものの見方や考え方、捉え方にちょっとした気付きを与えてくれる。 友だちが「最近はタイトルに”食堂”つけりゃ良いと思ってんでしょ」 と言っていたけど、 これは食堂で起こるe...
(最近まったく本読んでないけど)久々に素敵な本に出会った感じ。 あなたの「ここ」ってどこですか?にあるような ものの見方や考え方、捉え方にちょっとした気付きを与えてくれる。 友だちが「最近はタイトルに”食堂”つけりゃ良いと思ってんでしょ」 と言っていたけど、 これは食堂で起こるetc.というよりかは、食堂に足を運ぶ人達の それぞれの生き方を覗き込むといった感じ。 そして、終わり方も素敵でした。 まさに日常に起こったちっちゃなつむじ風のような本でした。
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この作家さんの本は初めて。 食堂をとりまくいろんな物語に、 ほんのり温かい気持ちになったり、 主人公と一緒に考えすぎて堂々巡りになったり。 気軽に読める一冊。
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なんだか好き、と思える本。 クラフト・エヴィング商會の本にもあった、あの不思議な空気がぎゅっと詰まっています。 読んで何かが劇的に変わるわけではないけれど、ぬくもりを感じる良い本でした。 映画化が楽しみ。
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つむじ風食堂をめぐる人々の交流が素敵! ゆるーい空間、何気ない日常。 オレンジがライトに当たると明るいとことか、エスプレッソの思い出、屋根裏に住んでるとか、なんか好き☆
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何やら尋常ではない事が起きたのではないかと思うのだろう。 大人が全速で走るのは、何か怖いことが起きたときなのだ。 でなければ、走っているその人が怖い。 * この一文に思わず吹き出した。 普通の文庫本のように字がつまっていないので ちょっと絵本みたいだった。 こんな食堂があ...
何やら尋常ではない事が起きたのではないかと思うのだろう。 大人が全速で走るのは、何か怖いことが起きたときなのだ。 でなければ、走っているその人が怖い。 * この一文に思わず吹き出した。 普通の文庫本のように字がつまっていないので ちょっと絵本みたいだった。 こんな食堂があるなら行ってみたい。 そして途中の果物屋でオレンジを買いたい。
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なんだか不思議な感じです。 「物語」って感じがしなくて、さらっと読めます。 でも、ちょっと懐で温めたくなります。 食堂ものって、結構はずれないのかな。 「食堂かたつむり」 「かもめ食堂」とか。 食べるという行為かな
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