沙高樓綺譚 の商品レビュー
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眠れぬ夜にお薦めの一冊。都会の高層ビルの最上階で、夜毎ひそやかに語られるお話。各界のトップに立った者たちの嘘偽りない物語に、時が過ぎるのも忘れて溺れる快感……。浅田版・百物語。ご堪能ください。
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浅田次郎版の百物語。 功成り名遂げた人たちのみが沙髙樓に招待され、今まで誰にも言えなかった話をする。話し手は一切の誇張や嘘は禁止。聞き手は口外厳禁。 今で言えばストーカーやタイムリープの話などもあり、どれもそれなりに面白かった。秀逸なのは最初の「小鍛治」と最後の「雨の夜の刺客」。...
浅田次郎版の百物語。 功成り名遂げた人たちのみが沙髙樓に招待され、今まで誰にも言えなかった話をする。話し手は一切の誇張や嘘は禁止。聞き手は口外厳禁。 今で言えばストーカーやタイムリープの話などもあり、どれもそれなりに面白かった。秀逸なのは最初の「小鍛治」と最後の「雨の夜の刺客」。特に最後の話はとても人間臭く、不思議要素は一切なし。人間の生死や人生の分岐点を考えさせられる秀作だった。やはり浅田次郎はヤクザの話がやけに上手い。
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沙高樓綺譚 2024年3月25日読了 表紙のデザインと文庫本のあらすじに惹かれた一冊。 舞台は各界の名士たちが集い、それぞれの秘密を語り合う「沙高樓」。 我々凡人には手の届かないような、だからこそ憧れるような、 「沙高樓」に纏わりついた豪華で贅沢で秘められた雰囲気がとても好きだった。 本書の始まりの場所は、上野・東京国立博物館の展示室。 国宝である三振の刀剣を前に、今では身分違いとなってしまった旧友との再会からスタートする。春も深まった4月下旬。閉館した博物館を後にして、旧友がこう語りかけるのだ。 「ぜひあなたに聞いていただきたいお話しがあるのです」 そんな誘い文句に私たちは、「沙高樓」へと誘われる。 本書は4つのエピソードがあり、それぞれ全くちがった良さがあって面白い。 先述した旧友の小日向君が語る「小鍛冶」は、本書の雰囲気を色濃く反映したエピソードだ。 歴史ある名家に届いた失われたと思われた二振の名刀と、そこに隠された大きな謎。格調高いお家の、秘密のヴェールを剥ぎ取っていくようで、なんだかぞくぞくしてしまった。一番ミステリー色が強く、わくわく感とともに一気に読み終えた。 一方、最後のエピソード「雨の中の刺客」は、胸にじんわりと沁みるよさがある。 「マサミは俺に魔法をかけたんです。貧乏で無教養で、根性なしで体だって人並以下だった俺に、たった一日の記憶で一生食って行けるだけの力を、与えてくれたんです。」 このセリフにぐっときてしまう。すてきだなあ。こんな風に思える一日に出会えたことが幸せだっただろうなあと思う。でも同時に、一生会えない寂しさが目一杯詰まっていて、胸が苦しくなる。この言葉を読むたびに、なんだか泣けてしまうのだ。
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宮部さんの百物語は中だるみかなあと思っていたところで 浅田さん版百物語、浅田さんはやはりすごいと再認識。
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厳選された名士たちが集い、決して表には出せない秘密を今宵限りと語り合う、五つの物語。 聞いてみるとどれもこれも人に言えない話ばかり。ずっと抱えてきたことを口にするのは痛みが伴うだろうと想像される。参加者の秘密を聞く度に重みが増していき、聴衆の一人となってそれを受け止めるのだ。 一話ごとの知識量が豊富で内容が濃く、非常に読み応えがあった。特に『立花新兵衛只今罷越候』の気迫に息を呑み、鳥肌が立った。面白い話だった。
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とにかく『小鍛冶』の話が好きすぎる。 日本刀好きにはたまらない!あの小狐丸の逸話をこう取り入れたのか、と心の中では拍手喝采だった。 『百年の庭』も、登場人物の語り口にグッと胸にくるものがあった。庭(自然)の方が立場が上、人間は僕。その考えを徹底して生きてきた老婆の語りは、音声を...
とにかく『小鍛冶』の話が好きすぎる。 日本刀好きにはたまらない!あの小狐丸の逸話をこう取り入れたのか、と心の中では拍手喝采だった。 『百年の庭』も、登場人物の語り口にグッと胸にくるものがあった。庭(自然)の方が立場が上、人間は僕。その考えを徹底して生きてきた老婆の語りは、音声を伴って聞こえてくるようだった。 すごく細かいところにはなるが、最後の一編、『雨の夜の刺客』の301ページに「ときどき洩らす広島弁は」とあるが、平成以降の広島出身者からすると「そんなに広島のヤクザって名を轟かせていたのか……?」と不思議な感覚がある。まぁ、レンタルビデオ店に行っても広島が舞台の任侠作品はたくさんあるので、きっと昭和の広島ヤクザはすごかったんだろう、きっと。
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手順前後で『草原からの使者』を先に読んでしまったが、沙高樓はこっちが本家。おそらくシリーズ化を決定付けたであろう第一作「小鍛冶」は傑作。さすがにこの緊張感とクオリティを全作に求めるのは酷というもので、サイコ・ホラーあり、幽霊譚あり、ミステリーあり、義侠小説ありとバラエティに富むも...
手順前後で『草原からの使者』を先に読んでしまったが、沙高樓はこっちが本家。おそらくシリーズ化を決定付けたであろう第一作「小鍛冶」は傑作。さすがにこの緊張感とクオリティを全作に求めるのは酷というもので、サイコ・ホラーあり、幽霊譚あり、ミステリーあり、義侠小説ありとバラエティに富むものの、いずれも(水準遙かに以上とは言え)今一。 最近、浅田次郎ばっかり読んでいる気がするな。
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この人は実にいい。なぜ? ・・・・解らない。何冊か読み足してみるとしよう。 「百年の庭」が秀逸 カバーデザインも又いい。
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ある日、主人公は国立博物館に出かけた。目的は宝刀。閉館30分前の到着であった。千年の鉄色の前に30分は瞬く間に過ぎ、後ろ髪を惹かれる様に立ち去ろうとしたとき、目に留まったのは小竜景光、楠木正成の佩刀であった。あまりの美しさに目を奪われ閉館時間を無視することに決めたとき、ふいに横合...
ある日、主人公は国立博物館に出かけた。目的は宝刀。閉館30分前の到着であった。千年の鉄色の前に30分は瞬く間に過ぎ、後ろ髪を惹かれる様に立ち去ろうとしたとき、目に留まったのは小竜景光、楠木正成の佩刀であった。あまりの美しさに目を奪われ閉館時間を無視することに決めたとき、ふいに横合いから名前を名を呼ばれた。振り向けば、旧知の小日向、現、三十四世徳阿弥家(刀剣の鑑定家元)であった。 小日向は、主人公をある会合に誘う。その会合は、沙高楼と呼ばれるビルの一室で開催される。 小日向曰く「高みに上り詰めた人は、誰もが必ず決して口にすることが出来ぬ秘密を持っているものです。そうした毒を吐き出す集いがここで催されるのです」。主人公は、この怪しげな会合、綺譚に加わる。 まずは、小日向が口火を切り、その後4人が各々の毒を吐き出す。なんとも不思議な話が展開する。それぞれの話は、荒唐無稽なようで、でもどことなく、あるかも知れぬというなんともいえない微妙な感じで到底要約できない。この歯切れ悪さが、気持ち悪い人は、読んでみてください。決して損はいたしません。
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今宵、打ち明けられるのは映画のカメラマンやガーデナー、おヤクザさんなど、心の内に隠していた行き場のないお話。刀鍛冶やガーデニングなど、浅田さんの引き出しの多さにも驚かされました。その中でも、1番最後の「雨の夜の刺客」は特に読んでほしい。まともすぎるくらいまともな人間の語る死生観は...
今宵、打ち明けられるのは映画のカメラマンやガーデナー、おヤクザさんなど、心の内に隠していた行き場のないお話。刀鍛冶やガーデニングなど、浅田さんの引き出しの多さにも驚かされました。その中でも、1番最後の「雨の夜の刺客」は特に読んでほしい。まともすぎるくらいまともな人間の語る死生観は、目を背けてしまいたくなるほどの真実で、言葉の重みにうなり声をあげてしまいました。この短編を読むだけでも、この本を読む価値はある。
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