ローマ人の物語(21) の商品レビュー
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ネロ死亡 → ガルパ(スペイン) 上流階級 ライン軍 → オトー vs ヴィテリウス(ゲルマニア) → ヴェスパシアヌス(withムキアヌス、アレキサンドロス)
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ネロ没後の内戦期を書いている。スペインの軍団に推戴されたガルバだが、身の周りの者で人事を固め、協力者であったオトーを失望させ、また、老齢にともなう消極的な政治と吝嗇で、市民からも完全に「期待はずれ」と見なされる。まずかったのが、自身の権力基盤安定のため、ライン軍団の人望ある指揮官...
ネロ没後の内戦期を書いている。スペインの軍団に推戴されたガルバだが、身の周りの者で人事を固め、協力者であったオトーを失望させ、また、老齢にともなう消極的な政治と吝嗇で、市民からも完全に「期待はずれ」と見なされる。まずかったのが、自身の権力基盤安定のため、ライン軍団の人望ある指揮官ルフスを更迭したことである。こうした経緯で、ローマ帝国最強を自負する「ライン軍団」は、ガルバへの忠誠を拒否、誰でもいいという感じで、自分たちの司令官であったヴィテリウスを推戴する。ガルバは近衛師団のクーデターにより、馬から引きずり下ろされ殺された。ガルバを嗣いだのはオトーだが、いきなりライン軍団の本国進軍に対応しなければならなかった。「ドナウ軍団」の支援をとりつけ、剣闘士まで兵士にして、クレモナ辺りで戦うが、両軍とも有能な指揮官を欠き、泥試合のすえ、無残な敗北を喫し、オトーは自死した。この戦いでは両司令官とも後方にいたので、戦後の無法状態を防ぐことができず、また、ヴィテリウスも「ドナウ軍団」を、自身の即位を祝うための円形闘技場の建設に酷使したため、深い怨恨をのこした。ヴィテリウスは「食うか寝ているかしているブタ」のような男で、必要なことを何一つせず、宴会に時を費やした。こうしたなか、東方からローマ帝国を再建しようとする動きがでてくる。シリア総督ムキアヌス、エジプト長官アレクサンドロスが頭脳となって、ヴェスパシアヌスを推戴し、「ドナウ軍団」ととともに、イタリア進攻の計画を立てる。しかし、ドナウ軍の大隊長、アントニウス・プリムスが命令を待たずに先発、クレモナで戦闘・虐殺で怨念を晴らし、ローマでの市街戦が展開する。混乱のなかヴィテリウスは皇宮から引きずり出され、罪人として殺される。市街戦ののち、ムキアヌスが到着。新しい皇帝となるはずのヴェスパシアヌスをエジプトに待機させての進軍だった。新秩序の建設者の手を同胞の血で汚さぬためであった。ヴェスパシアヌスによって、皇位の安定はなるが、泥試合をして殺し合った影響は大きく、ローマ軍はゲルマンやガリアになめられてしまい、民族反乱が勃発することになる。
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紀元後間もなく、失政を重ねたネロの後を受けガルバ、オトー、ウィテリウスの3人の皇帝が現れたがそれぞれが傲岸、怠惰とで消え去っていく。アウグストウスからまだ100年そこそこで、ローマ帝国が危機に曝され、この3人は結果それに火をつけた形になる。意思決定の仕組みの問題、辺境地区、ローマ...
紀元後間もなく、失政を重ねたネロの後を受けガルバ、オトー、ウィテリウスの3人の皇帝が現れたがそれぞれが傲岸、怠惰とで消え去っていく。アウグストウスからまだ100年そこそこで、ローマ帝国が危機に曝され、この3人は結果それに火をつけた形になる。意思決定の仕組みの問題、辺境地区、ローマ市街地での既得権の問題、が背景にある。
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ローマが帝政になってから約100年。 カエサルより続く血脈がかの暴君ネロで途絶えた時。 ローマは大きな危機を迎える。 1年の間に3人の皇帝が殺され、まさに帝国そのものが崩壊の一歩手前まできてしまう。 その時、ローマ人はいかにしてこの危機を乗り越え、ローマ史上最も繁栄した五賢...
ローマが帝政になってから約100年。 カエサルより続く血脈がかの暴君ネロで途絶えた時。 ローマは大きな危機を迎える。 1年の間に3人の皇帝が殺され、まさに帝国そのものが崩壊の一歩手前まできてしまう。 その時、ローマ人はいかにしてこの危機を乗り越え、ローマ史上最も繁栄した五賢帝時代へと導いたのだろうか。
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え~と、本を返してしまったのでレビューが難しくなってしまいました。 とりあえず、1年の間に3人もの皇帝が死亡するという激動の時代が、終わりヴェスパシアヌス?が皇帝になる・・・くらいまでだった気がします。 カエサル前後の人々は、良くも悪くも大物が多かったように感じてしまう内容でした。帝国にも小粒しかいない時代があったのだと思うと、今の日本に大物の人物が少なくても仕方ないと思ってしまいます。 塩野さんが抱いたイメージに大きな影響を受けた感想です。 似たようなことを前にも書いた気がするが。
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20111122読了。 ネロが自害したその後。 ローマ帝国では1年に3回も皇帝が変わり 内戦は発生するわ 外敵も来るわで大変な状態になる。 政治として何をすべきか なにをしないことでどう状況は悪化するのかが分かる 反面教師な巻。
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「中と下の層が充分に機能していれば、少しばかりの間ならば 上層部の抗争で生まれた弊害も吸収可能、ということでもある。」 日本の現状ではない。2000年昔のローマ帝国である。ネロ亡き 後の帝国ではわずか1年の間で3人の皇帝が倒れる。 まずはガルバ。とっとと首都ローマ入りを...
「中と下の層が充分に機能していれば、少しばかりの間ならば 上層部の抗争で生まれた弊害も吸収可能、ということでもある。」 日本の現状ではない。2000年昔のローマ帝国である。ネロ亡き 後の帝国ではわずか1年の間で3人の皇帝が倒れる。 まずはガルバ。とっとと首都ローマ入りをすればいいものを、 ぐだぐだしているうちに権威を表わす時期を逸する。そして、 次ぎに立ったのはネロの遊び仲間でもあったオトー。 しかし、「やっぱガルバじゃ駄目だ。ヴィテリウスにしようっと」と 決めた軍勢が南下する。 そして、首都ローマを舞台にした内乱が始まる。どうしようもなく グダグダな1年なのである。それでも、市民は多くの兵士の血が 流れた市街戦さえ娯楽であった剣闘士試合のように楽しんだ。 何故か? 「民衆は察知していたのだ。意識はしなかったにせよ、どちらが 勝とうと変わるのは皇帝の首だけであることを、彼らは知ってい たのである。それに、何度も変わればそのうちに、自然に淘汰 された結果にしろ、少しはマシな「首」が皇帝の座を占めるよう になるであろうことも、庶民の智恵でわかっていたにちがいない。」 現状の日本と錯覚しそうな記述だ。ローマ帝国はこの後、 ヴェスパシアヌスが帝位に就いて一応は落ち着くのだが、 日本は…。はぁ…。
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フラウィウス朝について書いてあるからここだけ買った。塩野さんの文章は悪文だと思う。 個人的にはリンゼイ・デイヴィスの密偵ファルコシリーズの副読本でしかありません。ビジネスに生かそうとして歴史の本を読む風潮が廃れますように。
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レビューというかツイッターで書いたことのコピペです ローマ発展の要因である寛容さが失われつつあり、第一人者(皇帝)も殺害や反乱により頻繁に交代し、初代の血統も途絶えたことから皇帝の権威も低下し、まさにローマは危機に瀕しています。これからどう帝政を立て直すのか 皇帝が一年に三度も交代し、ローマ市民で構成される軍団による内戦が繰り広げられ、軍団の移動により国境には空白が発生し安全保障も危うくなっています。ここから次代の皇帝達は如何にしてローマを立て直すのでしょう 同じローマ市民たる軍団の兵士に辱めを与えたヴィテリウスがその者達により殺害、つまり復讐されたことは、従来のローマの採ってきた敗者に対する寛容政策の正しさを補強する事例の一つと言えるのではないでしょうか 帝政、共和政、王政etc.のどれであろうが、結局はそれらを構成する人とそれらを取り巻く環境によってそれぞれ向き不向きがあり、一概にどのシステムが優れているかを決めることはできないと思いました
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折り返し地点通過。わずかの間に皇帝が3人も入れ替わる時代がローマにもあるとは知らなかった。しかも、3人とも死んでるし。帝政ではあったけれども民意は伝わってるんだね、ローマ帝国では。
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