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ローマ人の物語(21) の商品レビュー

3.7

48件のお客様レビュー

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2020/04/21

ローマ帝国1000年の歴史の流れを、大きく分けると3つ。 王政➡︎共和制➡︎帝政 共和制から帝政に移る改革の時期には、 改革には付きものの血を血で洗う戦い。 カエサルが暗殺され、 それでもカエサルの後継者である初代皇帝アウグストゥスが安定した地盤を築いた。 そこから帝政始...

ローマ帝国1000年の歴史の流れを、大きく分けると3つ。 王政➡︎共和制➡︎帝政 共和制から帝政に移る改革の時期には、 改革には付きものの血を血で洗う戦い。 カエサルが暗殺され、 それでもカエサルの後継者である初代皇帝アウグストゥスが安定した地盤を築いた。 そこから帝政始まって以来の危機に陥ったのが、この危機と克服の上21巻・中22巻・下23巻だ。 ここでも、著者七生ちゃんの人間洞察が鋭く炸裂する。 「平凡な資質の持ち主は、本能的に、自分よりも優れた資質の持ち主を避ける。自分にない才能や資質を迎え入れることで、自分自身の立場を強化するなどという思考は、平凡な出来の人には無縁なのだ。」 だから、弱者はいつも群れてメェメェとゴシップばかりして、自分の承認欲求を満たすのだろう。 平凡な人にとっては、才能ある人物は存在するだけで罪なのだ。 「予定どおりに進行する事態への対処ならば、特に優れた能力は必要としない。真の才能が問われるのは、予期しなかった事態への対処である。」 ほとんどの人間は、見たいものだけを見て、物事をありのままに見ようとはしない。 カエサルの言葉として10回はこのローマ人の物語には出てきたように思うが、 予期せぬ事態が起きた時にこそ、 冷徹に現実を見て、冷静に判断対応できなければならないだろう。

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2019/08/04

暴君とされるネロの死後、再びローマに内乱が勃発。 三皇帝時代とされる、ガルバ、オトー、ヴィテリウスの時代が描かれる。 ネロの死後、皇帝に推挙されたガルバは、内政と人事の対応を誤り、殺害される。 その後、ネロの友人オトーが皇帝に名乗りをあげるが、同時にヴィテリウスも皇帝を目指す。 ...

暴君とされるネロの死後、再びローマに内乱が勃発。 三皇帝時代とされる、ガルバ、オトー、ヴィテリウスの時代が描かれる。 ネロの死後、皇帝に推挙されたガルバは、内政と人事の対応を誤り、殺害される。 その後、ネロの友人オトーが皇帝に名乗りをあげるが、同時にヴィテリウスも皇帝を目指す。 両者の会戦の結果、ヴィテリウスが勝利し、オトーは自死する。そのヴィテリウスも統治能力は無く、ローマ内から資質を疑われ、遂にドナウ川沿岸を守る部隊を敵に回してしまう。 一方、シリアを担当していたヴェスパシアヌスが、皇帝就任に向けて準備を始めていた。 暴走に近い状態のドナウ川方面軍が、ローマ首都になだれ込み、ヴィテリウスを擁するライン川方面軍と市街戦を行い、遂にヴィテリウスは殺害されてしまう。 たった1年程の間に3人もの皇帝が非業の最期を遂げる。

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2019/06/03

ユリウスクラウディウス朝のネロが自死した後のガルバ、オトー、ヴィテリウスのほとんど無名の皇帝の時代。 でも、これが面白かった。たった一年の間に死んでいった3人の皇帝は、何が足りなかったのか?塩野女史はすべて足りないと ばっさりと切っている。

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2018/03/03

ネロが自死してからの30年間のローマ帝国の様子。本のカバーに銀貨が載っていて、作者の説明書きがありますが、今回の巻はそれだけでは足りず、ネロから始まってネルヴァまで皇帝の顔を刻んだ銀貨が8枚も載っています。ガルバ、オトー、ヴィテリウス、ドミティアヌスと非業の死を遂げた皇帝が4人も...

ネロが自死してからの30年間のローマ帝国の様子。本のカバーに銀貨が載っていて、作者の説明書きがありますが、今回の巻はそれだけでは足りず、ネロから始まってネルヴァまで皇帝の顔を刻んだ銀貨が8枚も載っています。ガルバ、オトー、ヴィテリウス、ドミティアヌスと非業の死を遂げた皇帝が4人もいて、作者もこの時代を「ローマ帝国にとって、苦悩と悲嘆に埋めつくされた時代の話…」としています。しかし、後世の歴史家の評価を鵜呑みにしておらず、この後の5賢帝と呼ばれる皇帝たちの力だけで、500年のローマ帝国が保たれたのではないとしています。…危機とは常にネガティヴな現象か…という疑問も提しながらこの時代を作者は検証していきます。 紀元69年の年、1年間に皇帝が3人も入れ替わる訳ですが、この皇帝となった人物たちは、資質に問題あり!の人物たちで国を治める力のないものばかりでした。そのため軍団同士の市街戦が繰り広げられる酷い事態になりましたが、それを庶民は剣闘士の試合の見物でもするように観戦したのでした。そのことの是非について、私も後世の歴史家の非難よりも、作者の言うように、ローマの庶民の批判精神の鋭さが印象的でした。この時代に生きていたら、こんな政治の混乱には、冷めた眼で勝手にやってよ!と思うだろうと考えました。そして、ひと頃の日本でも短期間にコロコロと首相が代わっていたなあと思い出すのでした。

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2017/10/22

初代皇帝 アウグストゥス 2代目 ティベリウス 3代目 カリグラ 4代目 クラウディウス と続き、 5代目ネロの失政で、帝国内は内乱状態となり、 6代目 ガルバ 1年7ヶ月 7代目 オトー 3ヶ月 8代目 ヴィテリウス 8ヶ月 と短命な皇帝が続く。 いずれも軍事力を...

初代皇帝 アウグストゥス 2代目 ティベリウス 3代目 カリグラ 4代目 クラウディウス と続き、 5代目ネロの失政で、帝国内は内乱状態となり、 6代目 ガルバ 1年7ヶ月 7代目 オトー 3ヶ月 8代目 ヴィテリウス 8ヶ月 と短命な皇帝が続く。 いずれも軍事力を背景に皇帝の座に着くが、後を襲う者によってあるいは殺され、あるいは自死に追い込まれてしまう。

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2016/11/08

Nero帝の治世からNero帝死後の混迷の初期まで(Galba、Otho)。 自壊する帝国という名にふさわしい混迷っぷりである。

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2018/10/20

一年で皇帝が四代入れ替わる紀元69年。驚くべきはこの混乱の中、皇帝の肖像が彫られた銀貨が四代全員分鋳造され、流通した結果、今世にも残っているという事だ。 歴史書に残るのは政権の闘争のみだが、それでもローマが存続できていたのは、例え首都が戦場となろうとも、民衆が生活を維持できるシ...

一年で皇帝が四代入れ替わる紀元69年。驚くべきはこの混乱の中、皇帝の肖像が彫られた銀貨が四代全員分鋳造され、流通した結果、今世にも残っているという事だ。 歴史書に残るのは政権の闘争のみだが、それでもローマが存続できていたのは、例え首都が戦場となろうとも、民衆が生活を維持できるシステムが構築済みであったからということが伺い知れる。 そんな偉大な先帝たちのシステム構築に、寄与するどころか関与することもできなかったのが、ネロに続く皇帝ガルバ、オトー、ヴィテリウスの三人だ。 先帝の失策に乗じて皇帝を名乗った後、人心掌握に失敗して殺されるだけの繰り返し。 ローマのシステムとは、如何に愚鈍な皇帝であっても数十年は耐えられる堅牢なものであったが、先帝ネロの暴政は14年続いた後の崩壊であった。 今この時に必要とされるのは、先帝の遺産を食い潰すしか能のない愚帝ではなく、時勢に合わせてシステムを改修できる改革者であった。 人材が豊富なローマにおいて、そんな人物は当然存在した。だが、有能であるがゆえ、2000年前から鉄火場であったイスラエル、シリア、エジプトにいた。 失策続きであった前皇帝達と比べてみると、ヴェスパシアヌス、ムキアヌス、アレクサンドロスの三人は、簡単にやるべきことをやっただけのようにすら見える。 ないがしろに扱われた兵達と関係を密にし、近しい地位にあるものどうしで役割を決め、国境の防衛と首都への侵攻を両立可能な体制を整える。 愚帝は愚帝であるがほど、長期間の権勢を維持できる能力もないので、混乱だけ引き起こしてあっさりと敗北する。 この渦中のさなか、元老院といえばもはや名乗りを上げた皇帝を承認する以外は人材プールとしての役割程度しか残されていなかった。 いよいよ現代が思い描く『皇帝』のイメージと近づいた権力を手に入れつつあるローマ帝国のシステムは、如何に改築されるのか。次巻に続く。

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2017/01/09

皇帝ネロの失政の後、ローマは混乱を極める。1年間の間にガルバ、オトー、ウ”ィテリウスと3人の皇帝が現れては、それぞれ殺害されて消えた。ローマ帝国の中は内乱状態で同士討ち状態。それぞれの人物とも皇帝になるまでは何らかの大義や名分があって就任したものの、その後帝国をどうするのか、混乱...

皇帝ネロの失政の後、ローマは混乱を極める。1年間の間にガルバ、オトー、ウ”ィテリウスと3人の皇帝が現れては、それぞれ殺害されて消えた。ローマ帝国の中は内乱状態で同士討ち状態。それぞれの人物とも皇帝になるまでは何らかの大義や名分があって就任したものの、その後帝国をどうするのか、混乱状態をどう回復させるのか、ビジョンが欠けていた。また変化に対して柔軟にスピーディーに対応する姿勢も欠けていた。現代にも共通する課題が浮かび上がる。

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2016/08/02

紀元69年の「三皇帝時代」を扱う21巻。血の権威を失った皇帝人事の混乱に乗じて、三人の人物が勢いだけで皇帝となり、争いあう一年を描きます。失敗から学ぶと言いますか、私欲を貪るリーダーと保身に徹し抑止力のない元老院、呆れ果てて無関心になった庶民、という最悪の構図は現代にも通じるもの...

紀元69年の「三皇帝時代」を扱う21巻。血の権威を失った皇帝人事の混乱に乗じて、三人の人物が勢いだけで皇帝となり、争いあう一年を描きます。失敗から学ぶと言いますか、私欲を貪るリーダーと保身に徹し抑止力のない元老院、呆れ果てて無関心になった庶民、という最悪の構図は現代にも通じるものがあります。

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2016/04/24

今のところ出版されている文庫版は全部読んだ。巻数にして23巻。ローマの建国から7代の王制を経て、やがて共和制になり、ついに帝政に移行して五賢帝時代前夜まで850年間の歴史に対応する。 これだけの分量を割とすんなりと読めてしまった。一貫した視点を持つ一人の作者の手になる作品のなせ...

今のところ出版されている文庫版は全部読んだ。巻数にして23巻。ローマの建国から7代の王制を経て、やがて共和制になり、ついに帝政に移行して五賢帝時代前夜まで850年間の歴史に対応する。 これだけの分量を割とすんなりと読めてしまった。一貫した視点を持つ一人の作者の手になる作品のなせる技だと思う。歴史をちゃんと流れとして捉えているのが素人目もわかる。時には人物の洞察にまで筆がおよびなかなか含蓄が深い。 こういう著書をきっかけにもっと本気になって歴史を学ぶことが柿爺を含め日本人にもっと必要とされているように思った。やはり島国日本には今のところ歴史的センスというものが決定的に不足しているのだろうな、などと考えるきっかけにもなった。 歴史から学ぶ「うまみ」といものもやはりあると思う。歴史には実験データがいっぱい詰まっているという見方もできるだろう。それをうまく総合すれば、将来どうなるかというシミュレーションがある程度できるのではないかとさえ思う。

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