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破戒 の商品レビュー

4.1

200件のお客様レビュー

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    66

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2011/07/05

「えた」と呼ばれていた人たちについて学ぶ、よい機会になりました。 同じ民族であるにも関わらず人種差別が存在するのは悲しいことですが、これが人間だなとも感じます。 島崎藤村がなぜこのテーマを描こうと思ったのかは気になるところ。

Posted byブクログ

2011/05/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「橋のない川」で孝二が一晩かけて読んだ本として登場しました。 ちょうど3~4巻あたりにさしかかったとき、同時進行で読みました。 内容は深いけれど、流れるような美しい文章で、 すっとした読了感でした。 とはいえ、丑松の心情を表す文章の力強さと、 もだえ苦しむさまは、胸をかきむしられるように強く響き、 信濃の情景を表す部分は、山の深さ、雪の冷たさが 手にとるように伝わり、その表現のバランスが絶妙でした。 苦悩をしっかりと見据えて淡々と書き進めているな、というのが感想。 ただ、「橋のない川」サイドからの観点として、 やっぱり最後は逃げるしかなかったのか。というやりきれなさが残ります。

Posted byブクログ

2011/04/14

人生の深さを考えさせられるすばらしい作品だと思った。文章も読みやすく、ストーリーも引き込まれ、最終盤の盛り上がりもいい。高校生くらいから読める名作だと思う。

Posted byブクログ

2015/02/12

烏兎の庭 第一部 書評 2.6.04 http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto01/yoko/hakaiy.html

Posted byブクログ

2011/01/26

明治後期、部落出身の教師瀬川丑松は父親から身分を隠せと堅く戒められていたにも関わらず、同じ宿命を持つ解放運動家、猪子連太郎の壮烈な死に心を動かされ、ついに父の戒めを破ってしまう。その結果偽善に満ちた社会は丑松を追放し、彼はテキサスをさして旅立つ。激しい正義感を持って社会問題に対処...

明治後期、部落出身の教師瀬川丑松は父親から身分を隠せと堅く戒められていたにも関わらず、同じ宿命を持つ解放運動家、猪子連太郎の壮烈な死に心を動かされ、ついに父の戒めを破ってしまう。その結果偽善に満ちた社会は丑松を追放し、彼はテキサスをさして旅立つ。激しい正義感を持って社会問題に対処し、目覚めたものの内面的相剋を描いて近代日本文学の頂点をなす傑作である。 浪漫主義、自然主義 若菜集、楽梅集、新生、嵐、破壊、夜明け前

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2011/01/07

明治に起こった一大ブーム、自然主義を代表する一冊。 文学史的には極めて重要な位置にあるが、あまり娯楽的に読める小説ではない。 ただ最後付近、壇上での丑松の激白(「戒」を「破」った瞬間!)は鬼気迫る勢いで心打たれた。

Posted byブクログ

2013/03/08

中2のときこれで読書感想文を書こうとして挫折した記憶がある。 部落出身の人々に対して寄り添っているのではなく、上から目線なんだよな。 解説の改訂版(改悪版と言い切られているが)との比較が面白かった。藤村の偽善と追従がありありと出ている。

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2010/12/11

『破戒』というタイトルの意味を、 読んで初めて気がつきました。 結末は、周りからの無理解で アンハッピーだと思い込んでいたので、 丑松の苦悩をどきどきしながら読んでいました。 でも希望のある終わりで、ほっとし、 そして人間に安心。 でも銀之助の最後の心持ちが 分からなかったのは ...

『破戒』というタイトルの意味を、 読んで初めて気がつきました。 結末は、周りからの無理解で アンハッピーだと思い込んでいたので、 丑松の苦悩をどきどきしながら読んでいました。 でも希望のある終わりで、ほっとし、 そして人間に安心。 でも銀之助の最後の心持ちが 分からなかったのは わたしだけでしょうか?

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2010/11/10

部落出身と差別問題。 社会的な根の深さと、主人公・瀬川丑松の苦悩に、共感させられる部分もある。 明治後期の作品ながらも、今だに普遍性を保つっているのは、現代にあってもこうした問題は時代遅れではなく、部落出身ではなくとも、国籍などの差別はなくなっていない。 丑松のヒューマンド...

部落出身と差別問題。 社会的な根の深さと、主人公・瀬川丑松の苦悩に、共感させられる部分もある。 明治後期の作品ながらも、今だに普遍性を保つっているのは、現代にあってもこうした問題は時代遅れではなく、部落出身ではなくとも、国籍などの差別はなくなっていない。 丑松のヒューマンドラマとして、小説の迫力は凄まじい。

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2010/11/06

明治初期、新身分制度制定に伴い新たに誕生した「新平民」。旧制度では「えた・ひにん」と呼ばれたこの身分、当時の明治社会では強烈な差別意識が、未だ根強く残っていた。 主人公の丑松はこの新平民に属するが、その扱いの劣悪さを恐れ、また父親と交わした戒律に則り、自らの身分をひた隠して生きて...

明治初期、新身分制度制定に伴い新たに誕生した「新平民」。旧制度では「えた・ひにん」と呼ばれたこの身分、当時の明治社会では強烈な差別意識が、未だ根強く残っていた。 主人公の丑松はこの新平民に属するが、その扱いの劣悪さを恐れ、また父親と交わした戒律に則り、自らの身分をひた隠して生きている。 生まれながらの特異な境遇を噛み締めながら生きる丑松の苦悩を見事に描いた大作だ。 物語はわずか数カ月を描いているのだが、短い期間でこれほどの心象風景・感情の機微を描くとは…さすが名作と称されるだけはある。 特に注目すべきは「丑松が周囲の偏見によって二重にダメージを受けている」という点だろう。「外からの非難」だけでなく、「身分を隠して生きる自分」に対する「内からの非難」が絡み合っているのだ。 自らと同じ新平民という立場でありながら(だからこそ丑松が尊敬してやまない)、社会に対して立ち向かう勇気ある思想家、猪子蓮太郎。 素性を隠せと説く父の遺言を忠実に守るも、社会の疑いの目から逃げ続ける自分。 丑松は両者を比較し、猪子の魂の健全さに(己の魂の卑劣さに)絶望する。 尊敬する猪子との邂逅(それは丑松にとって嬉しくも悲しい出来事なのだが)を重ねることで、その葛藤はますます苦しみを増し、ついに父との約束を「破戒」するに至る。 しかし、教え子に対して「土下座しながらの告白」というみじめな行動でしか実現出来なかった丑松の「破戒」。 藤村は、人間の弱さと、逆にまた勇気ある告白をした人間の清々しさを、ヒロイズムではなくリアリズムを通して伝えたかったのではないだろうか。 私はこの丑松の姿をみじめだとは思うが、かっこ悪いとは思わない。読者が抱くこの感情も、藤村の思惑通りなのだろうか。 一方で、よく言われることだが、ブルジョワジーとの階級闘争を暗に含んでいるということも忘れてはいけない。新平民である丑松、蓮太郎や、農業で生計を立てる子だくさん貧乏教師敬之進といった、いわゆる下層社会を代表する人々と、校長や郡視学(今で言う教育委員会)、代議士候補の高柳、丑松の下宿先のセクハラ住職といった富裕層代表の人々。 この対立構造から、弱者の脆弱さ、強者の傲慢さを伝えようという藤村の意思が伝わってきやしないか。 明治という激動期を舞台に、身分制度・プロレタリアートという社会問題と、一人の人間の告白のシリアスさを見事に融合させた本書。 私のような若輩者にはその魅力を伝えきれません、ぜひご一読を。

Posted byブクログ