破戒 の商品レビュー
「読書力」の35ページにある本… 法政大学第一中・高等学校で岩井歩教諭が実践した、定期テストに読書問題を取り入れた実践。 14冊目…高2の定期テストに エタ・ヒニンという差別階級の人が、学校の先生になり思い悩む話。 思いだろうな~と覚悟しながら読んだが… 「沈黙」を読んだ後で...
「読書力」の35ページにある本… 法政大学第一中・高等学校で岩井歩教諭が実践した、定期テストに読書問題を取り入れた実践。 14冊目…高2の定期テストに エタ・ヒニンという差別階級の人が、学校の先生になり思い悩む話。 思いだろうな~と覚悟しながら読んだが… 「沈黙」を読んだ後では、 そんなに重くないじゃない。本人悩んでいるほど、まわりの人、気にしていない… 温かく見守ってくれているじゃない… と、思いましたが…。
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これを完成させるのに、 藤村はとても大きな犠牲を払いました。 この小説からは、そのような努力・苦労が 少し読み取れるような気がします。 藤村の小説の中では読みやすい作品だと思います。
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ずっしりきた。 人間の判断なんて、こんなにあっけなく変わっちゃうものなんだ。 心理描写と文章は上手いんだけど、罪悪感と焦燥感に押しつぶされそうなヒヤヒヤな内容って苦手。
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「穢多」である丑松についての物語。これについては,部落問題に焦点を当てたとする社会小説であるという視点と,丑松が自らが穢多であると告白するその精神の苦闘を描いたとする非社会小説であるとの視点の2つがある。 個人的には,部落問題が根底にあるが,むしろ丑松の苦悩が強調されているように...
「穢多」である丑松についての物語。これについては,部落問題に焦点を当てたとする社会小説であるという視点と,丑松が自らが穢多であると告白するその精神の苦闘を描いたとする非社会小説であるとの視点の2つがある。 個人的には,部落問題が根底にあるが,むしろ丑松の苦悩が強調されているように感じた。 藤村自身は,改訂版発行に当たり「過去の物語である」と言っているが,現在においても部落問題は残っており(程度の差はあるとは思いますが。),部落問題を取り上げた社会小説としても重要な一作だと思います。
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島崎藤村の長編。 被差別部落出身である事を隠しながら教師として生きる主人公が、あえて被差別部落出身であることを隠さず、小説家として活躍する男との出会いを通じ、父の遺言でもある「被差別部落出身者であることは死んでも他人に言うな」という戒めを守る自分の姿勢に葛藤し、遂にはその約束を破ってしまう。 表題を念頭に置いている時点で、最終的な結末は見えている。しかし、そこに至るまでの葛藤は凄まじく、出身地で差別されることのほとんどない現代に生きる人々にとって、主人公の悩みは理解できるものではないのかもしれない。そうだとしても、なかなか考えさせられる小説であった。
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丑松の覚悟と心情を描く表現の力強さに感動した。 破戒。 良い題だと思う。 文句がない訳ではない。 筋は少しあからさますぎるし、丑松と敬之進以外の人物は少し薄っぺらいように思えてしまう。 しかし、それでも読んで良かったと思える名作である。
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訴えているものが比較的わかりやすく感じて好きです。 今とは全然違うものすごい決心だったり、覚悟だったりの想像は難しいのですが。
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丑松の抱える差別される者としての感情はとても身近なものだと思う。ささいな考え方の違いでさえ、異端視されることを恐れて自分の考え方を隠し、周りに合わせるということがあると思う。 自分の身分を明かして堂々と生きる先輩にあこがれつつも、先輩のようには振る舞えない丑松のあり方に、社会によって植えつけられる偏見の深さを感じた。
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差別の話、苦悩の話。いまいち上手く想像ができない無根拠の差別とその苦悩。それはある意味幸せなことだと思う。構造的な暴力などと言ったらチープかな。 告白の仕方やその後の丑松に議論があるらしい。個人的にはあれでいいのかな。と思う。嘘がない感じがするので。そこからどうするか、を問われて...
差別の話、苦悩の話。いまいち上手く想像ができない無根拠の差別とその苦悩。それはある意味幸せなことだと思う。構造的な暴力などと言ったらチープかな。 告白の仕方やその後の丑松に議論があるらしい。個人的にはあれでいいのかな。と思う。嘘がない感じがするので。そこからどうするか、を問われている気がする。
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言わずと知れた島崎藤村の代表作。 「橋のない川」でも、清太郎や孝二が読んでいたなぁ。 「橋のない川」と違うのは、丑松が素性を隠し一般社会(と言っては語弊がありますが)に入り込むことによって、より生の差別感情にさらされている所。 知識階級にも当たり前のように差別意識がはびこってい...
言わずと知れた島崎藤村の代表作。 「橋のない川」でも、清太郎や孝二が読んでいたなぁ。 「橋のない川」と違うのは、丑松が素性を隠し一般社会(と言っては語弊がありますが)に入り込むことによって、より生の差別感情にさらされている所。 知識階級にも当たり前のように差別意識がはびこっていたのだなぁ、と痛感させられる。「破壊」ではなく、「破戒」。戒めを破る苦しみの事なんだと初めて気づいた。 ただ、丑松自身も寺の下男を他の人が「庄馬鹿」と呼んでも何も感じないところなど、差別に苦しむ丑松でさえも必ずしも被害者というだけではないというところに人間の心の恐ろしさを感じる。
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