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「かわいい」論 の商品レビュー

3.3

62件のお客様レビュー

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2014/11/23

(*01) 本書が書かれた頃、私が考えていたのは、「こわい」と「かわいい」との差であり、その差分の融通であり、さらに怖いと可愛いの源泉と見ていた信仰に関わる問題(*02)であった。 本書は、今昔物語集や枕草紙などの古典文学から萩原朔太郎や太宰治の近代文学を経て、森田芳光の「家族ゲ...

(*01) 本書が書かれた頃、私が考えていたのは、「こわい」と「かわいい」との差であり、その差分の融通であり、さらに怖いと可愛いの源泉と見ていた信仰に関わる問題(*02)であった。 本書は、今昔物語集や枕草紙などの古典文学から萩原朔太郎や太宰治の近代文学を経て、森田芳光の「家族ゲーム」などの現代映画に至るまでに現われた形容詞としての「かわいい」を歴史的に繙き、アニメや雑誌など風俗に現れる「かわいい」を学生アンケートへの考察も放り込みながら論述しており、21世紀初頭の時点での「かわいい」に係る問題のよい概説書となっている。 ノスタルジア、スーヴニール、ミニュアチュールとして、「かわいい」を構成する背景を整理しているが、私はそれらも含めて、文字の文学をもたない常民にあった信仰の破滅的形態として「かわいい」ものを見ている。郷愁、土産、矮化は、近代の移動性とそれに対応したコミュニケーションの工夫であって、「かわいい」の背景でもあるが、「かわいい」におさまらない問題を孕んでいる。 今後も「かわいい」のニュアンスは変化していくと予想されるが、今この時代の「かわいい」のメルクマールとして価値を本書は有している。 (*02) 柳田國男の妖怪論に照らせば、現代のアニメのキャラクターや同人によるキャラのサンプリングは、近世の妖怪がたどった道になぞらることができる。村上隆が作品化するキャラクターも参照項として注意されたい。

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2014/10/19

そろそろ真剣に論じられていいと思ってた「かわいい」について。 これから、もっともっと研究対象になってもいい分野なんじゃないかな。 入口として面白い本だった。

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2014/08/31

結構興味深い内容なんだけど結論出てなくね???ってなった。 なんかキティちゃんとか萌えとかファッションとかいろんな視点から考察してたんだけどもうちょっと絞ってもよかったかなと思う。 まあでも「かわいい」という言葉?概念?について考察してること自体面白いというか斬新なので、一読する...

結構興味深い内容なんだけど結論出てなくね???ってなった。 なんかキティちゃんとか萌えとかファッションとかいろんな視点から考察してたんだけどもうちょっと絞ってもよかったかなと思う。 まあでも「かわいい」という言葉?概念?について考察してること自体面白いというか斬新なので、一読する価値はあると思います。

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2014/05/08

アウシュヴィッツの「かわいい」絵の話がかなり印象的。何かで読んだことがあるけど、アメリカが第二次世界大戦のときにディズニーアニメを捕虜に見せてアメリカの力を示していた、という話とちょっと似ているなと思った。 私自身もかわいいものや人が大好きで、「可愛いは正義」という言葉を使うこと...

アウシュヴィッツの「かわいい」絵の話がかなり印象的。何かで読んだことがあるけど、アメリカが第二次世界大戦のときにディズニーアニメを捕虜に見せてアメリカの力を示していた、という話とちょっと似ているなと思った。 私自身もかわいいものや人が大好きで、「可愛いは正義」という言葉を使うことがある。ああ、これって怖いな、って少し私の可愛い神話が揺らいだ。

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2014/02/07

小難しい論説なんですが、ときどきふかーくうなづけるところがあります。図書館で借りて読んだけど、これは買って手元に置こうかな・・・・。

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2013/05/27

四方田犬彦という名前が本名であるとすれば、そのように名づけた親とは一体どんな人だったのかと常々考えてきたのだが、ひょんな誤植から生まれた筆名だったということを最近知った。 高校生になりたてのころ、浅田彰の『構造と力』が話題になり、わかりもしないくせに現代思想の本を読んでいたころ...

四方田犬彦という名前が本名であるとすれば、そのように名づけた親とは一体どんな人だったのかと常々考えてきたのだが、ひょんな誤植から生まれた筆名だったということを最近知った。 高校生になりたてのころ、浅田彰の『構造と力』が話題になり、わかりもしないくせに現代思想の本を読んでいたころのことだ。『GS』という現代思想の論客たちによる論文集を買って一生懸命読んだ覚えがある。この論文集の編集を手がけたメンバーの一人が四方田犬彦だったはず。浅田彰や伊藤俊治といった他のメンバーの華々しさとは一味違い、四方田犬彦の書籍を本屋で見ることも少なく、論文集の鼎談の隅に小さくピンボケで映っている肖像写真は、分厚そうな眼鏡がその奥にあるであろうまなこをすらあいまいにしていて、ただただ度外れた若きインテリという印象を僕は持っていた。(YMOにたとえれば坂本龍一のような露出度の高い秀才というよりは、むしろ商業路線からは身を引いた本物の天才細野晴臣、というたとえは正しいだろうか)それから約20年がたって、そのブランクの中で彼の顔も柔らかく変貌していた。 四方田犬彦が「かわいい」を論じる。読むものは彼ほどの博学が現代社会の現象をどのように把捉し処理するか、その手さばきに興味があるのである。彼がグロテスクを論じ、小さく幼げなものを論じ、ノスタルジアを論じ、それらと「かわいい」の関係を分析するその手際のよさに感服するのだ。「『かわいい』とはものに宿る本質などではなく、『かわいい』と名づけ、指さす行為」なのだと主張するその小気味よさ。「『萌え』はさしずめ、大衆消費社会のヴァーチャルリアリティにおけるピグマリオン・コムプレックスの発現である」という独自の定義。思考の柔軟性と対象を概念的に把握しようとする志向性がなければ、これほど軽やかな論じ方は出来まい。この本に意義があるかないかなんてことはもうどうだっていいのだ。

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2013/04/21

「カワイイ」、「KAWAII」が日本、世界を問わず飛び回っている。そんなかわいいに注目したのが今回の本だ。かわいいだけで1冊の新書にするとは、寝ても覚めても頭の中からかわいいが離れなかったに違いない。  メディアの中の「かわいい」では、メディアに注目して「かわいい」について述べ...

「カワイイ」、「KAWAII」が日本、世界を問わず飛び回っている。そんなかわいいに注目したのが今回の本だ。かわいいだけで1冊の新書にするとは、寝ても覚めても頭の中からかわいいが離れなかったに違いない。  メディアの中の「かわいい」では、メディアに注目して「かわいい」について述べている。メディアが説くかわいいについて著者は以下のように述べている。「幸福感であり、消費主義であり、生理的年齢に対する精神の勝利である。また手の届くところに置かれた祝祭であり、選ばれてある私を巡る秘密めいた快楽である」。かわいいも1つの消費を喚起するために装置なのかとふと思った。かわいいがこれほどもてはやされるのはどうしてなのかな。永遠に大人になりたくない深層心理を表しているのか、癒しを求めているのかよく分からない。  意外に思ったのがハローキティに関するとらえ方だ。著者は、アメリカのある女性パフォーマーが、ハローキティ―に口がないことを「アジアの男性優越主義で、女性に対して黙ることを強要しているという主旨の告発をしたという研究者の報告(ケン・べルソン、ブライアン・ブレムナー著、酒井泰介訳 「巨額を稼ぎ出すハローキティ―の生態」東洋経済新報社、2004)を引用している。人の見方は多様だな。  「かわいい」に対するぴったりした英語やフランス語はないようだ。そもそも日本で使っている意味でのかわいいという使い方で、向こうの人たちは使っていないから無理もない。  アジアや、中東、中南米、アフリカではカワイイはどう思われているか気になった。誰か研究している人はいないかなと思った。

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2013/03/27

分析は概ね納得のできるものだが一言でいうと隔靴掻痒の感が残る。取りも直さずそれは著書本人があとがきで述べるとおり、自身が「かわいい」圏外に留まり観察者として外から覗く姿勢に終始しているからだろう。よくも悪くも新書サイズの読後感。

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2013/01/12

かわいいの歴史的変遷や、かわいいの対象多様性、ジェンダー間でのかわいいの受け取り方の違いなど、「かわいい」の定義付けは困難を極めるが、それが逆にこれだけかわいいを普及させることになったのかも。

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2013/01/03

最近なんでも「かわいい」という言葉でまとめられていることが気になり読んでみることに。 そもそも「かわいい」の感覚は『枕草子』うつくしきもの に書かれているように平安時代にまでさかのぼるとのこと。 「かわいい」感覚を文化史の視点から分析された本書は、なかなか面白かったです(o^^o...

最近なんでも「かわいい」という言葉でまとめられていることが気になり読んでみることに。 そもそも「かわいい」の感覚は『枕草子』うつくしきもの に書かれているように平安時代にまでさかのぼるとのこと。 「かわいい」感覚を文化史の視点から分析された本書は、なかなか面白かったです(o^^o)

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