白洲次郎 占領を背負った男 の商品レビュー
白洲次郎の活躍を通じて、新日本憲法制定からサンフランシスコ条約締結までの歴史、独立を勝ち取るまでの軌跡が描かれている。
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たまたまだが、終戦記念日に読了。 「意志」の強さをベースに、その裏にある「計算」、それが掛け合わさって物事を実現に動かす。 戦後直後の状況や、経済復興を歩んでいけた日本の裏側などもよく理解ができた。特に、トルーマンとGHQ(マッカーサー未満?)との確執などは以外であったし、赤化を防ぐことも戦後直後というよりはソ連との関係が深まるにつれて、ということも。敗戦国として世界情勢に振り回されっぱなしであったことが、よく分かる。 こうした人物には決断の数も多いのだろうが、プリンシプルということをきちっと持っていたので、他の人とくらべて即断即決→準備に時間、ということなのだろう。確固たるベースを早い時期に作ってしまえたことは、白州次郎の強みだと思える。持つプリンシプルにもよるのだが、そこの内容が簡潔なので「格好いい」という印象になるのだろう。 それにしても、やっぱり見た目の重要性を感じるこの頃。
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終戦から日本の独立まで大活躍した政治家および実業家の白洲次郎の一生を描いた本。重厚で詳細である。 著者の専門は投資や金融方面らしく、この本を書くにあたって、相当の文献を読んだようだ。それもあって、ややまとまりがないというか、すべてを盛り込みすぎている感はある。 白洲次郎は活躍のわ...
終戦から日本の独立まで大活躍した政治家および実業家の白洲次郎の一生を描いた本。重厚で詳細である。 著者の専門は投資や金融方面らしく、この本を書くにあたって、相当の文献を読んだようだ。それもあって、ややまとまりがないというか、すべてを盛り込みすぎている感はある。 白洲次郎は活躍のわりには、政府の要職など表舞台に名前を出さなかったので、貢献の内容はあまり知られていないかもしれない。むしろ妻の白洲正子のほうがエッセイストとして有名だ。富豪の家に生まれ、ケンブリッジ大学に留学し、外交官のように、日本政府を代表してGHQとの交渉役を果たした。特に、日本国憲法制定にあたって、ものすごい駆け引きがあったわけだが(それも本書で知った)、それをギリギリのところで落としどころを付けた。のちに彼は吉田茂首相のブレーンとなり、サンフランシスコ講和条約で日本の独立を成し遂げる。後年は日本の電力発電の分野を通じて、日本の発展に力を注いだ。 本書の中にあるが、彼のすごさは「強引なまでの突破力にあると語られることが多いが、緻密な計算に裏打ちされた戦略立案能力こそ彼の本領であり、してやられた側の人間がのちに振り返ってその力量の違いに慄然とするところ」とある。 戦後日本が今の国際的地位を築くにあたって、どういう人がどういう努力をしたのかがよくわかり、こういうドラマがあったのか、と感慨深かった。やはり功績を残すのは、まじめで情熱的な人が多いのだと思う。
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読後感は悪くない。あとがきに著者自身が語るように”任侠映画を観たあとのように肩で風を切って映画館を出てくる”というほどではないが、憧れの生き方ではある。 若いころなら「よし俺も!」と奮い立つのかもしれないが、だがしかし、だ。どうにもいいとこだけを並べ連ねた胡散臭さがしてならない。こうして伝説は作られていくのだろうな、という気がする。 かつては司馬遼太郎が”竜馬”という架空の偶像を日本史上最高の英雄として仕立て上げた。坂本龍馬については司馬以前にも、日露戦争時の「皇后の奇夢」として、坂本龍馬が日本海軍の守り神になると明治天皇皇后の枕元で言ったとか。これも、当時の土佐藩出身の宮内大臣(田中光顕)が日露戦争での国内機運の盛り上げと、新政府内で片身の狭い思いをしていた土佐藩閥巻返しを諮ったという噂のある話(これも司馬の『坂の上の雲』で語られていた)。それと似たニオイがプンプンする内容だ。 それにドキュメンタリーの体裁なのか、近代史を扱った歴史小説の類なのか、非常に文体が曖昧なのが気になった。いかにも、臨場感を出すかのように、主人公の白洲次郎のセリフを使い、内面にまで迫った記述をしておきながら、学術レポートのように引用資料の羅列の箇所もあり、視点が定まらない。 読みながら、城山三郎ならどういう風に仕上げただろうかと思っていた。図書館で借りた本なので帯はついていなかったのだが、このブクログでリンクされているAmazonのサイトにある本の表紙には城山の推薦文のある帯が付いている。城山が亡くなる2年前に上梓された本だったのか~。「快著である」と誉めているけど、城山はどうして白洲次郎を取り上げなかったかな、とふと思った。 もっと徹底的に面白く書けたろうに、まだ題材として取り上げるには時代が近すぎたのかもしれない。すでに虚実ないまぜの内容であるが、もっと誇張した”虚”の部分に軸足を置いて、「二郎がいく」と題して、白洲”二”郎物語とすればよかったのに。 良かった点は、GHQと憲法制定にまつわる確執を改めて読めたこと。日本人の思い、当時の国際環境下での判断、選択。憲法の本質、あるべき姿、アメリカ追随の世渡りの限界 etc. 現在の問題の根源が全てあの時代にあるということの再認識は無駄ではなかった。 現行憲法が押し付けの憲法だとして全ては否定しない。良いところは良いと認めた上で、あるべき姿を探していくべき。改憲しないのもあるべき姿でもあるかもしれない。
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日本復興の切り札となった戦後最大の功労者白洲次郎の真の姿を描くドキュメンタリーもの。”プリンシプル”という言葉が心に残るキレキレの5☆です。裕福な家にて、何不自由なく育った次郎。大学受験失敗、英国留学、父親の会社の倒産、帰国そして父親との確執。と絵にかいたような波乱万丈の青春時代...
日本復興の切り札となった戦後最大の功労者白洲次郎の真の姿を描くドキュメンタリーもの。”プリンシプル”という言葉が心に残るキレキレの5☆です。裕福な家にて、何不自由なく育った次郎。大学受験失敗、英国留学、父親の会社の倒産、帰国そして父親との確執。と絵にかいたような波乱万丈の青春時代を過ごす。転機は、戦争の足音が聞こえてくる最中、時代の鍵を握る近衛文麿、吉田茂との出会い。復興に人生を賭すと心に決めた男が、GHQとの死闘、通産省の立ち上げ、日米安保条約の締結など、吉田茂と二人三脚で力の限りを尽くした様を格好良く描ききる。プラス見た目はもちろん生き方もダンディーな白州次郎の痛快なエピソードも満載。暑さを吹き飛ばす、読了後に清涼感をたっぷり感じるおすすめの一冊です。武相荘いってみ~よぅ。
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この本の書評などで 「現在の日本には白州的な存在がいない・・・」 というような「リーダーシップ不在論」をよく見るけれど、 そんな、いうなれば「三人称な雰囲気」こそが、 白州が最も危惧していた事態なのかもしれない。 GHQから「従順ならざる唯一の日本人」と称されたように、 自らの...
この本の書評などで 「現在の日本には白州的な存在がいない・・・」 というような「リーダーシップ不在論」をよく見るけれど、 そんな、いうなれば「三人称な雰囲気」こそが、 白州が最も危惧していた事態なのかもしれない。 GHQから「従順ならざる唯一の日本人」と称されたように、 自らの信念・価値観に基づく「プリンシプル」をもち、 敗戦・占領下で国全体が意気消沈した雰囲気の中、 占領跡の日本が「自立した国家」としてどうあるべきか、 という長期的かつ大局的な見地から、 憲法制定をはじめとする難局にあって何をすべきかを考え、 相手が誰であろうと言うべきときには言うべきことを主張し、 一方で、この人と決めたらどこまでも礼を尽くし、 最後まで面倒をみるという姿勢で行動した様子は、 日本人がどこかに置き忘れてしまった、 「自分自身で考え、その考えに基づいて行動する」という いわば「人間としての基本動作」を思い出させてくれる。 最近、特にネットの掲示板やブログの世界を中心として、 「嫌中・嫌韓」的な発言が増えているような気がする。 戦争責任追求論や韓国・中国における過剰な反日運動や、 まるで日本のナショナリズムそのものを否定するかのような、 自虐的ともいえる教育や報道への反発が、 若い世代を中心として、そんな動きに駆り立てているように思う。 しかし、短絡的な狂信的ナショナリズムに基づく言動は、 これまた短絡的な謝罪外交や自虐史観と同じくらい、 ナンセンスなものだと思う。 なぜなら、両者にはともに「プリンシプル」がないから。 先日話題になった「国家の品格」の帯には、 「全ての日本人に自信を与える」というようなことが 書いてあった。 本書のあとがきには、白州の活躍に 「任侠映画を観たあとのように胸を張りたくなる」 というようなことも書かれている。 しかし、その程度の視点に留まっていては、 昨今の日本に蔓延する、両極端で無責任な思想同士が、 お互いを嫌悪する感情的な負の連鎖を繰りかえしながら、 ますますその対立をエスカレートさせていくだけのような 気がする。 では、そんな中で自分自身は何をすべきかのか。 せめて、確かな知識と、自らの考えに基づいて、 しっかりとした議論と行動ができるようにはなりたい。 いや、そうなれるように努力しよう。 そんな叱咤激励に満ちた一冊として、 この本を座右に置いておこうと思う。
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戦後、GHQに対して唯一卑屈になることなく、吉田茂の右腕として日本の復権に尽くした日本人、白州次郎。幼少時代やイギリス留学中、カントリージェントルマンとして戦時中から農業を行ったりと、ルックスから生き方まで桁違いな男の一生。
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人格は数世代にわたって形成されるという部分がとても印象的でした。 白州次郎など、まさに白州家の歴史によってできあがった英雄ですね。 自分の親や先祖に感謝したくなったと同時にこれを子供達に引き継いでいかなきゃいけないですね。 内容としては、自分の信念に沿って生きた男の一生といった...
人格は数世代にわたって形成されるという部分がとても印象的でした。 白州次郎など、まさに白州家の歴史によってできあがった英雄ですね。 自分の親や先祖に感謝したくなったと同時にこれを子供達に引き継いでいかなきゃいけないですね。 内容としては、自分の信念に沿って生きた男の一生といった所か。
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終戦後のGHQによる占領政策や彼らが草案した憲法の制定、サンフランシスコ講和条約による主権の回復(もどき)、までの流れにおける、ちょっとした裏舞台が覗けて面白かった。白洲次郎もその中で活躍したわけだが、本人も「口が堅いからここまでやってこれた」といっているように、白洲次郎とは何者...
終戦後のGHQによる占領政策や彼らが草案した憲法の制定、サンフランシスコ講和条約による主権の回復(もどき)、までの流れにおける、ちょっとした裏舞台が覗けて面白かった。白洲次郎もその中で活躍したわけだが、本人も「口が堅いからここまでやってこれた」といっているように、白洲次郎とは何者だったのかという部分は多くがブラックボックスのままだ。その謎も魅力の一つなのだろう。自分の信念のとおりに生きれば、人生に迷う事も無いし、後悔も無い。というようなことが印象に残った。裏は知らぬが、こういう信念の人が今の日本に必要だ。
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白洲次郎という人は型破りの人ですね。実家が兵庫県川辺郡伊丹町にあったとのことで、縁を感じます。ケンブリッジに留学し、ロンドン・パリを股にかけて外車を乗り回していた次郎が、大金持ちが親の破産で帰国、そして伯爵家の令嬢正子との結婚と実にドラマティックな人生の始まりです。GHQのマッカーサー、ホイットニー民生局長、ケーディス次長らとの交渉。押し付け憲法として悔し涙を流した彼らの姿が生々しいですが、今となっては男女同権など、当然のことに対しての米国の強硬姿勢が、意味があったのではとも思いました。憲法の内容は二の次で感情的なものなのかなぁと思いました。白洲の激しい性格からあの国務長官になったダラスにまで、「一筋縄ではいかない男だ」と言わしめたという強烈さは、吉田茂元首相などに対してもそうだったのですね。
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