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黄色い雨 の商品レビュー

3.9

40件のお客様レビュー

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2014/01/07

仲間や家族の離村・死別により一人取り残された男の、狂気と孤独の物語。 静かに壊れてゆく彼は、次第に生死すら曖昧になってゆく。どの部分から彼は死んでいたのだろうか。 テーマは重いが、文章が端正で案外読みやすい。 じっくりと時間をかけて味わいたい作品。

Posted byブクログ

2020/06/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

タイトルと装丁に魅かれて、図書館で借りた。 ずっと夜道を歩いているような、黄色い雨(「時間」の比喩表現?)をただ眺めているような感覚で、たまに主人公が生きているのか死んでいるのか分からなくなったことも多々あった。 そして読了後の不思議な感覚。 自分では解釈できない言葉もいくつかあったが、それでもいいんじゃないかと思ったし、何よりこの感覚が好きだと思った。

Posted byブクログ

2012/02/27

「黄色い雨」(フリオ・リャマサーレス)を読んだ。たぶん極限の孤独感と閉塞感についてのかなりユニークな物語だと思う。しかし、確実にそこにある悲しみを感じることはできるのだが、おそらく私の想像し得る領域からあまりにも逸脱しているせいなのか、感動をもたらしてはくれなかった。読解力不足。

Posted byブクログ

2012/01/19

夜が、あの男のためにとどまっている。 ──沈黙と忘却に蝕まれゆくアイニェーリェ村に、たったひとり残された老父の物語です。 はじめて読んだ時、これほどまでに哀しみにあふれた物語なのに、言葉の美しさに胸が震えたのを思い出します。 このアイニェーリェ村というのは、かつて実在し、忘却...

夜が、あの男のためにとどまっている。 ──沈黙と忘却に蝕まれゆくアイニェーリェ村に、たったひとり残された老父の物語です。 はじめて読んだ時、これほどまでに哀しみにあふれた物語なのに、言葉の美しさに胸が震えたのを思い出します。 このアイニェーリェ村というのは、かつて実在し、忘却と雪に包まれて、今も沈黙したまま建っているのだそうです。

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2011/08/06

ガルシア=マルケスに通じるものが・・・と思ったら同じ訳者さんだった。夏の真昼じゃなく、冬の夜にもう一度読みたい。

Posted byブクログ

2011/07/27

図書館でなんとなく手にとってあとがきを読んだら面白そうだったので借りてみました。やっぱり大江健三郎氏の作品は難解ですよね。うん。 住民が一人又一人と居なくなり、最後には消滅してしまうであろう村が圧倒的な描写力で描かれています。人々が何百年の時間をかけて築いてきた形のあるもの、...

図書館でなんとなく手にとってあとがきを読んだら面白そうだったので借りてみました。やっぱり大江健三郎氏の作品は難解ですよね。うん。 住民が一人又一人と居なくなり、最後には消滅してしまうであろう村が圧倒的な描写力で描かれています。人々が何百年の時間をかけて築いてきた形のあるもの、形の無いものが全て同じ時間と言うものにより呑み込まれていく。その様が黄色い雨と言うフィルターを通して語られていきます。 日本も農村部などいつの間にか廃村になってしまった地域や部落などがあるんだろうなあ。と思いながら読みました。

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2011/07/22

全て読み終わって、じわじわとその衝撃が胸に広がるような、久々に「文学作品」を読んだという実感の湧いた本だった。 時を置いて、是非読み返したいと思った本は久しぶり。 全編、山間の寒村に住む老人の独白である。 ほかの住人が一人減り二人減り、息子も妻もいなくなってたったひとり取り残さ...

全て読み終わって、じわじわとその衝撃が胸に広がるような、久々に「文学作品」を読んだという実感の湧いた本だった。 時を置いて、是非読み返したいと思った本は久しぶり。 全編、山間の寒村に住む老人の独白である。 ほかの住人が一人減り二人減り、息子も妻もいなくなってたったひとり取り残された老人の、死を待つだけの孤独な日々。 独特の語り口、展開で、読みにくいのかなと始め思ったが、その詩的な散文のような文章は、陰鬱なのだが描かれている情景はなぜが美しく、また物悲しく、すぐに物語に引きこまれてしまった。 リャマサーレスはもとは詩人なのだそう。納得である。 巻末の翻訳者の木村氏の解説がまた非常に興味深く、「狼たちの月」も是非読んでみたくなった。

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2010/09/14

朽ちていく恐怖が始めから終わりまでどろどろと続いて、読み終わると悪夢から覚めたような気持ちになる。でもそれがやみつき。

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2010/09/05

この小説は、死に逝く者の溜息である。 忘却と雪に包まれた廃村で、男が一人息絶えようとしている。 村にいる人間は彼一人。 かつての住人は皆、村を去った。 この小説は、死に逝く者の妄想である。 ポプラの葉が降り注ぐ廃村で、男は自分の人生を想っている。 そこには死者が顔を出し、...

この小説は、死に逝く者の溜息である。 忘却と雪に包まれた廃村で、男が一人息絶えようとしている。 村にいる人間は彼一人。 かつての住人は皆、村を去った。 この小説は、死に逝く者の妄想である。 ポプラの葉が降り注ぐ廃村で、男は自分の人生を想っている。 そこには死者が顔を出し、隣村の住人が自分の屍を探して駆け付ける。 しかし村には、男の他に誰もいない。 この小説は、死に逝く者の残り火である。 今見ているこの世界が、夢であれば良いと思う。 この苦しみに満ちた現実が、実は嘘であれば良いと思う。 そんな願いすら、黄色い雨が無化するだろう。 そして男は、一人きりで死ぬだろう。 この途方もない淋しさ。

Posted byブクログ

2010/03/02

やっぱりこの人は透明だ。 だけど、細かく色もたくさん着いている。 ガラスは透明だけど、その後ろには必ず何かがある。

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