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黄色い雨 の商品レビュー

3.9

40件のお客様レビュー

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2015/11/24

美しいながらも凄惨で、緩慢ながらも凄まじい素早さでとびかかってくる死。 黄色って、たしか中世ヨーロッパあたりから忌むべき色とされていたような。

Posted byブクログ

2015/06/10

約四時間で読み終えてしまった。素晴らしかった。孤独と死の淵の狭間で絶望的でしかないのに、詩的でどんどん静かな仏教でいえば中陰の世界のような透明感を帯びてくる。主人公はやがて土地と一体化し村の土地の精になって還っていくようであった。傑作。もっとリャサーレスの本が読みたい。

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2014/03/22

作中、幾度となく黄色い雨が村に降りしきる。その繰り返しが死というものを少しずつリアルに感じさせた。 常に霞みがかった視点でゆっくり物語は進んでいき、冬の絶望、秋の孤独という印象を黄色という色を持って伝えてきたように感じた。 あまりの透明で温度の低い物語。主人公のような死を迎える自...

作中、幾度となく黄色い雨が村に降りしきる。その繰り返しが死というものを少しずつリアルに感じさせた。 常に霞みがかった視点でゆっくり物語は進んでいき、冬の絶望、秋の孤独という印象を黄色という色を持って伝えてきたように感じた。 あまりの透明で温度の低い物語。主人公のような死を迎える自分、そのときにすがれる思い出があったかどうかを考えてみる。

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2013/09/27

枯葉が降る情景はさながら黄色い雨の様。 それは美しい光景なのでしょう。 でも痩せ細った土地においては その美しい光景すらも荒涼としたものに映るでしょう。 離村が進む村で、ただ一人最後まで残ったひと。 彼が最後を迎える中、村もまた最後を迎えます。 それは、あまりに寂しく、あまり...

枯葉が降る情景はさながら黄色い雨の様。 それは美しい光景なのでしょう。 でも痩せ細った土地においては その美しい光景すらも荒涼としたものに映るでしょう。 離村が進む村で、ただ一人最後まで残ったひと。 彼が最後を迎える中、村もまた最後を迎えます。 それは、あまりに寂しく、あまりに荒み、あまり静か。 でもあくまで美しい。

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2013/04/06

打ち捨てられた村に独りで住む老人の、死の間際の回想。まだ人がいた頃の村から、徐々に朽ち果てていくまでが、丹念に描かれている。

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2013/01/25

作者はスペイン人。村。過疎。雌犬。幽霊。死。黄色いりんご。淡々としていて静かで、ちょっと詩っぽい。基本的には暗い。訳者の解説に出てくる小さな書店が気になる。

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2012/10/03

2012.10.2.tue 【経由】 ぺりこさん推薦 【メモ】 廃村にひとり残された老人が孤独と死を最期まで見つめる話。 【感想】 •ぺりこ氏にエリック•サティのクラッシックも借りていて聞きながら読んだのだけど、「ジムノペティ」「ひからびた胎児」がまさに本著のイメージどおり...

2012.10.2.tue 【経由】 ぺりこさん推薦 【メモ】 廃村にひとり残された老人が孤独と死を最期まで見つめる話。 【感想】 •ぺりこ氏にエリック•サティのクラッシックも借りていて聞きながら読んだのだけど、「ジムノペティ」「ひからびた胎児」がまさに本著のイメージどおりで、淋しくて何故か美しい作品だと思った。 •前からただでさえおじいちゃんと犬には弱いので、雌犬の無垢な瞳に耐えきれなくて云々の描写は辛かったよ… •狂い咲いたりんご、その液体を受け継ぐじぶんの描写にゾクゾクするものがあった。 •文中に「黄色」≒朽ちていくものがよくでてくる。表紙の色彩がまさに内容にぴったりで、色彩のイメージが強く残る。 •孤独を悲劇的に描くのではなく、ただその廃れ淋しい様をありのままに表す文体。 【発見】 •お芝居が好きなので、物語の展開を求めるところがじぶんにはあるけど、本著みたいな概念を見つめる作品も好きなんだなということ。ただし文体による。安部公房のような毒を含むと長編にわたって概念を見つめるのはやっぱり好きではないかもしれない。(興味深いからなんやいうて読んでしまうのだけど!) 【共感】 誰からも忘れられたらそれは「死」と変わらないということ。 生きていることが実感できなければ人は無気力になってしまうこと。 犬の目に「生」を確かめてしまうこと。 【あとがきについて】 著者が批評することが嫌いで、批評することで作品がよりよくなる訳ではないという考えがあるということを知って、だからこんなにニュートラルにできごとを物語れるのかなーと思った。 それについてはわたしも悩むところだけど、批評することで頭の整理、自身の嗜好の分析ができるので、「この作品が面白いのは何故なのか。どつやったらもっと面白いか」という目はもっておこうと今は思う。

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2012/10/17

・文体の美しさ。 ・簡素な舞台と、奥深さ。 ・不吉さ。 ・幽霊。 ・雌犬の存在。 ・悲しくも優しいまなざし。 ・異文化。 出会えてよかった本。

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2012/08/25

その村からは、村民がひとりふたりと姿を消し、一軒だけが残った。 娘はとうに死に、息子は村を出て行き、残った男と妻と一匹の雌犬は、朽ちていく村で静かに暮らしていたが、 妻は、怖ろしく寒い冬の日、首をくくって自殺した。 男は、雌犬とこの世に残され、深い静寂に包まれた誰もいない村で、...

その村からは、村民がひとりふたりと姿を消し、一軒だけが残った。 娘はとうに死に、息子は村を出て行き、残った男と妻と一匹の雌犬は、朽ちていく村で静かに暮らしていたが、 妻は、怖ろしく寒い冬の日、首をくくって自殺した。 男は、雌犬とこの世に残され、深い静寂に包まれた誰もいない村で、最後のひとり、最後の一匹として生きている。 死期を感じた男は、自分の墓穴を掘り、雌犬の頭を猟銃で吹き飛ばして殺し、たったひとりでいいから、自分がこの廃村で生きていることを思いだし、雌犬と同じように頭を吹き飛ばしてくれる人間が現われることを夢見る。 とてつもなく暗くて悲しい闇の塊が重く貫いている小説だ。 最初の第一章の文は殆どといってよいほど、「だろう」で終り、この推量の終止形の連発に違和感を持つ。 しかし、平坦な文章の連なりの中に、読者は発見を見出す。 一人称で語っている彼はもう死者なのか? その後も一人称の語りは続き、まるで、寒く冷たい朽ち果てた村を間近で見ているように、引きずり込まれていく。 男は回想する。悲しい記憶ばかりだ。 雌犬が彼を困らせることはない。 男も犬も誰からも忘れられて村と一緒に滅ぶ。 黄色い雨が降る。 訳者の木村栄一氏は、神戸外大の学長で、スペインの小さな町の書店の店主にこの本を薦められたという。 この店主は、『黄色い雨』を薦める前に、ブッツアーティの『タタール人の砂漠』を薦めたり、なかなか通の人物である。 作者のフリオ・リャマサーレスは、1955年スペイン生まれで、弁護士からジャーナリストに転身した人物らしい。 フリオ・リャマサーレスは、早くから詩人として知られ、散文に転向したらしいが、本書の魅力は、詩的表現の頻出と韻文的な言葉の用い方、悲嘆と絶望を独創的なリアリズムで描ききる力量、人間の命と村の命との連関における循環構造の悲哀。 ---夜があの男のためにとどまっている--- 畏敬の念を覚える作家である。

Posted byブクログ

2012/07/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

みなさんのレビューをみて、読みましたが、 良いのですが、 ?? 作品全体を通して、 透明に朽ちていく情感についていけませんでした。 ごめんなさい。 世の中にはいろいろな種類の人間がいる。 高温多湿の中で生活する者には、理解できない憧れだけが残る作家でした。 歳を経て読み直すとわかるのかしら?

Posted byブクログ