ウエハースの椅子 の商品レビュー
読んでいてかなり暗い気分になった、それをなんとか脱したいと思って 最後まで読んだけれど、最後までずっとずっしり重たくて暗い気分になった。。 小説の主人公の、 「ふいに絶望がやってくる」 というような感覚は、自分にも自分なりに分かる部分がある。 けれど最後の方で回想される...
読んでいてかなり暗い気分になった、それをなんとか脱したいと思って 最後まで読んだけれど、最後までずっとずっしり重たくて暗い気分になった。。 小説の主人公の、 「ふいに絶望がやってくる」 というような感覚は、自分にも自分なりに分かる部分がある。 けれど最後の方で回想される、主人公の幼少時のひとり遊び、 【同じ場所でぐるぐると回転をして、 目が回って体の制御がきかなくなって、 振り落とされそうで、吐き気と頭痛が強烈に来る】 という「感覚」に近いものを江國香織さんは小説にしたのでは、と思わされた。 読んでいる自分も、主人公も 重く暗い何かから解放されたいけれど、 結局堂々巡りを続けてしまう。 その苦しさが、理不尽な事から起こる類のものではないから、 救いが見えなくて一層辛かった。 この人の本は大好きだから他にも沢山読んだけれど、 読んでいてこんなに憂鬱な気分になったのは初めて。 すごく、底が深い本だと思った。 やわらかい文章なのに、どきりとするほど鋭い表現が、 所々にぽつりぽつりと含まれていて、胸に突き刺さる。 だけれど、とても辛いので好きにはなれなかった。。 幸せに読み終わることが出来ず、苦い水を飲んだような渋みが残った。
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詩のような一冊 恋に酔いしれること、すぐ近くに絶望がいること 幼い頃のことをことこまかく覚えていること 芸術的な要素が強くて、少し突き放されるような感覚を覚えた。
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昔読んだ時には、あんまり感想を持たなかった。 今読んだら、この話は切なくて苦しくて、ふわふわと首を絞められるくらい甘い恋の話。
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彼女の作品はなぜかいつも雨の日に読みたくなるのですが、この本を読みたくなるのはバスタイムです。天気は関係なし。多分表紙のせいですね。 家族との距離感や自立したいという思い、社会からの孤立や恋人への依存・・・主人公は様々な葛藤を抱えています。その姿が私自身と重なるからなのかな、...
彼女の作品はなぜかいつも雨の日に読みたくなるのですが、この本を読みたくなるのはバスタイムです。天気は関係なし。多分表紙のせいですね。 家族との距離感や自立したいという思い、社会からの孤立や恋人への依存・・・主人公は様々な葛藤を抱えています。その姿が私自身と重なるからなのかな、この本は日常で疲れた私の癒しになってくれます。
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雨の音、絶望の感覚、忍び寄る淋しさみたいなもの、恋人との甘い時間、皮膚の感覚、触覚、臭覚・・・を言葉でこんなにも伝えられるんだ・・と感嘆しながら、ゆっくりゆっくり読みました。
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ほんとに素敵な文章を書く人だと思う。恋愛って怖い。その人といるのが幸せで、その人といれば満たされるっていうのは、その人じゃなきゃ満たされないってことだとも思う。一人で生きられなくなるのは辛い。誰かを愛するようになると絶望が一気に近づくんだと思う。
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彼は私を愛している。私はそれを知っている。私は彼を愛している。彼はそれを知っている。私たちはそれ以上なにも望むことがない。終点。そこは荒野だ。 恋人が帰ったあとの部屋の中はがらんとして、とてもわたしらしく調和してしまっている。100%の信頼と100%の孤独とを心にきちんと刻み付...
彼は私を愛している。私はそれを知っている。私は彼を愛している。彼はそれを知っている。私たちはそれ以上なにも望むことがない。終点。そこは荒野だ。 恋人が帰ったあとの部屋の中はがらんとして、とてもわたしらしく調和してしまっている。100%の信頼と100%の孤独とを心にきちんと刻み付けたいと――。 好きな男以外のいったい誰が、私たちを生かしてくれているだろう。
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主人公の気持ちが淡々と綴られていきます。不倫の恋のはずなのに、妻の存在が見えるわけでも無ければ、恋人の不誠実さ(といっても誠実の捉え方には色々あるんですが)が見えるわけでもなく、はっきりとした苦しみが見えないだけに、その生活の繰り返しがシュールに感じられます。一人で生計を立てて、...
主人公の気持ちが淡々と綴られていきます。不倫の恋のはずなのに、妻の存在が見えるわけでも無ければ、恋人の不誠実さ(といっても誠実の捉え方には色々あるんですが)が見えるわけでもなく、はっきりとした苦しみが見えないだけに、その生活の繰り返しがシュールに感じられます。一人で生計を立てて、きちんと仲間と付き合って行ける自分を知っているのに、恋人の存在が自分を別の場所へ引き離そうとする。 人生への淡白さと、どこまでも深い恋をする気持ちのアンバランスさが、単なる恋愛小説にとどまらない奇妙さと怖さを見せているような作品でした。 (2004年6月1日)
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「来てくれてもドアはあけられないわ。でもここにいれば電話にはでるから、よかったらまたかけてみて」 生きているうちは声をきかせて。
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ふと気づくと、本棚に見覚えのない江國香織の本。中をパラパラ見ても覚えがない。おかしいなあ、と思って読み進んで、やっぱり読んだことがあると気づいたが、そのまま最後まで読んだ。それくらい、ストーリーのない小説……。静かな狂気、これぞ江國さんの得意とするところだ。読み心地オンリーで最...
ふと気づくと、本棚に見覚えのない江國香織の本。中をパラパラ見ても覚えがない。おかしいなあ、と思って読み進んで、やっぱり読んだことがあると気づいたが、そのまま最後まで読んだ。それくらい、ストーリーのない小説……。静かな狂気、これぞ江國さんの得意とするところだ。読み心地オンリーで最後まで読めるところがすごい。主人公があまりに恋愛に酔いしれていて自分の趣味ではなかったが、やはりこの人の書く文章の威力はタダモノではない、と見せつけられるような作品だった。(2007.07)
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