みずうみ の商品レビュー
よしもとばななさんの本を久しぶりに読みました。 相変わらず、この人たちはこれで生きていけているのだろうか…と思うくらい、ふんわりぷかぷかした感じ。この登場人物の目に自分がさらされるのはごめんだな、と思う。会話をしたとして、その対応によってあなたは合格、不合格って結構はっきり相手に...
よしもとばななさんの本を久しぶりに読みました。 相変わらず、この人たちはこれで生きていけているのだろうか…と思うくらい、ふんわりぷかぷかした感じ。この登場人物の目に自分がさらされるのはごめんだな、と思う。会話をしたとして、その対応によってあなたは合格、不合格って結構はっきり相手に伝えている気がする。多かれ少なかれ、誰しも他人に対して「このひと合うな、このひとはあんまり合わないかな…」っていう判定はしていると思うけど、あんまりはっきり伝えられるのもドキドキするね。 でもこのよしもとさん独特の空気はすごくすきだ。
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よしもとばななさんらしい、とても繊細でやさしい文章でした。中島くんとのきみょうな関係。彼はとても深くていたい記憶を持っている。中島くんの過去のあばかれかたが強引でなかったり、登場人物が静かでふしぎな魅力を持っていたりしたところが好き。一見したらミステリーになりそうな、でもそこによ...
よしもとばななさんらしい、とても繊細でやさしい文章でした。中島くんとのきみょうな関係。彼はとても深くていたい記憶を持っている。中島くんの過去のあばかれかたが強引でなかったり、登場人物が静かでふしぎな魅力を持っていたりしたところが好き。一見したらミステリーになりそうな、でもそこによしもとさんの感性がくわわって見事なまでのしずかでやさしい物語になったというか。心にしみこんでくるようなお話でした。
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中島くんはいつの間にか私の家に住むようになった。 みずうみの近くに住む昔の友だちを訪ねたのをきっかけに、中島くんの過去が明らかになって…。 壮絶で悲しくも、すべてを包み込むような澄みきった優しさにあふれた長編小説。
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装丁が大好き。 どうしてかいつもばななさんの本は具体的な内容を忘れてしまうのだけれど、とってもとっても救われています。 みずうみももちろん! そして何より竹井さんにみずうみ大好きです!って言えたことが、ほんとうにびっくりしました。思えば通じる。間違ってないってことだぜきっと!!
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よしもとばななさんの文章は読みやすく、すーっと入ってくる。 『王国』のシリーズも読んでいるけど、 なにか超越したような、非現実に近いような。 未来が見えたりする登場人物が出てきたり。 欲を言えば、もっとゾッとするような過去が欲しかったかな。
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小説のタイトルがこの作品の空気をよく表している。 まるで、ひんやりと冷たくて、静かで寂しい、 けれどとても澄んだ水の中を彷徨っているような小説。 それでも読者が読み終わる頃には、水の中に差し込む、 細いけれどしっかりとした一筋の光を、 その頭上に見つけることが出来ることだろう。 ...
小説のタイトルがこの作品の空気をよく表している。 まるで、ひんやりと冷たくて、静かで寂しい、 けれどとても澄んだ水の中を彷徨っているような小説。 それでも読者が読み終わる頃には、水の中に差し込む、 細いけれどしっかりとした一筋の光を、 その頭上に見つけることが出来ることだろう。 ヒロインちひろの性格が好き。 その生い立ちから複雑な環境で色々苦労もしているのに、 どこか楽天的で、優しい心の持ち主。 心の中に無理してまで入り込まない、 けれどそっと気づけば傍に寄り添うような「距離の取り方」、 心に大きな傷を負っている相手に対しての「受け止め方」、 そして常日頃、彼女が自然にしている「考え方」が、 自分の大切なものに向かってまっすぐで、さっぱりと清らかで、 こんな子が自分の側にいたら友達になりたいなと思う。 過去に大きな事件に巻き込まれて、 自分の人生やその体や精神までも大きく曲げられてしまった ボーイフレンドの中島君や彼の古くからの友人で、 みずうみ近くにある家に住むミノ君とチイさんに対する 彼女の「向き合い方」が良いなって思う。 本当の気持ちは、 彼らの持っている普通じゃない雰囲気の重さから ちょっと逃げ出したい気持ちもあるし、 実際に彼らと接してみてその重さに打ちのめされたりもするが、 それでもちひろは彼らの持っている「良いところ」を愛し、 彼らの「存在」を大切にしている。 物語の終盤、中島君が過去の出来事を ちひろに告白する場面は、その内容はあまりに悲しくて、 読んでいて胸がしめつけれるように辛かった。 他人(ひと)が人間(ひと)の人生を、たとえそうした方が 相手にとって良い事だと思われたからだとしても 勝手に手を加えて変形させてへいけないのだ。 その代償はあまりにも大きい。 しかし、全てを語り終えた後、 中島君が締めくくった言葉には、 ずしりと重みのある、静かだけれど、 この先何があっても揺るがないような、 そんな希望の光があった。 「確かに僕の人生はちょっとした偶然の積み重ねで ずたずたに壊され、情熱のありすぎる手で むちゃくちゃにつなぎあわされた。(中略) でも、僕の人生は確かにある。 ゆがんでいて、へとへとで、罪悪感に満ちた弱々しいものだけど、 なにかしらがそこにある。 それはいつだって僕の感情を超えたすばらしい何かなんだ。」 真っ暗なみずうみの底でも、あきらめないで迷い続けて、 思いきって目を開いてみれば、そこに何か光っているものを 見つけることが出来るかもしれない。 中島君が自分の住むアパートの二階の窓から、 近所のアパートに住むちひろのいる窓を見つけたように。 決して積極的な形で、 彼らの生活や長年抱えてきた闇に入り込んでいないのに、 ちひろのさりげない言葉や行動で、 彼らの心に希望の明かりを灯した事は間違いないだろう。 彼女の心の動き、一つ一つを描写されていく言葉が良くて、 透明な水のようにすっと心に染みた。 「心配しあって、抱き合って、 いっしょにいたがるだけではなくて、 じっと抑えているからこそ絶対的に伝わってくるもの。(中略) 読み取れる感受性だけが、宝なのだ。」 彼女はそんな宝の持ち主。中島君も、ミノ君も、チイさんも、 ちひろに出会えて良かった。 そしてちひろも彼らに出会えて良かった。
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最近気づいたのですが、 精神的に疲れている時、私はいつも、吉本ばななの本を読んでいる。 きっと、何か癒し的効果が私にはあるのだろう。 今回の「みずうみ」もみんなの存在が薄く、ふわふわとしていながらもしっかりと生きようと頑張っている人たちがいっぱいでした。 ミノくんの紅茶、飲んで...
最近気づいたのですが、 精神的に疲れている時、私はいつも、吉本ばななの本を読んでいる。 きっと、何か癒し的効果が私にはあるのだろう。 今回の「みずうみ」もみんなの存在が薄く、ふわふわとしていながらもしっかりと生きようと頑張っている人たちがいっぱいでした。 ミノくんの紅茶、飲んでみたいです。
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母親をなくしたばかりの「私」とちょっと不思議な雰囲気で深いある事情を抱えている「中島くん」。その二人がゆっくりゆっくり心の距離を縮めていく様子がとても良いと思った。二人の恋愛という側面よりはそれぞれの「家族」というものの形を考えるほうがしみじみ心に訴えかける小説だ。 中島くんが...
母親をなくしたばかりの「私」とちょっと不思議な雰囲気で深いある事情を抱えている「中島くん」。その二人がゆっくりゆっくり心の距離を縮めていく様子がとても良いと思った。二人の恋愛という側面よりはそれぞれの「家族」というものの形を考えるほうがしみじみ心に訴えかける小説だ。 中島くんが「私」に行った言葉が印象に残る。 「当たり前の家族があると『思っていない』ところが、とても安心できるところなんだ」
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印象に残った文章。 『人の大変な話を聞くということは、もう、お金をもらったのといっしょで、絶対にそのままではすまされないよ。聞いたと言う責任が生じてしまうの』 『人がいやなことを相手のためにがまんしてくれるのは、恋愛の初期だけだ。やがてお互いのいやなことがわかってきて、自然にそ...
印象に残った文章。 『人の大変な話を聞くということは、もう、お金をもらったのといっしょで、絶対にそのままではすまされないよ。聞いたと言う責任が生じてしまうの』 『人がいやなことを相手のためにがまんしてくれるのは、恋愛の初期だけだ。やがてお互いのいやなことがわかってきて、自然にそれをしなくなる』 『離れて暮らすとはそういうことだ。私たちは多分、もう一生同じ家で暮らすことはないのだろう』 『そしてたいていの人は常に、そういうつもりがなくても、他者に対して小さな暴力をふるっている』
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よしもとばななの文章って、 なんというか、 今にも壊れそうな砂の城を そっと指でなぞっているような、 そんな感覚がして 好き。 傷を抱えた人が、 もっと深い傷を抱えた人に出会って (傷の深さを比べる事なんて本当はできないのかもしれないけど) 少しずつ、ホントに少しずつ前に進もう...
よしもとばななの文章って、 なんというか、 今にも壊れそうな砂の城を そっと指でなぞっているような、 そんな感覚がして 好き。 傷を抱えた人が、 もっと深い傷を抱えた人に出会って (傷の深さを比べる事なんて本当はできないのかもしれないけど) 少しずつ、ホントに少しずつ前に進もうとする話。 無理に近づいて関係を持とうとするのではなく 「ただそっと寄り添っている」 それだけなんだけど それが一番安心できることなのかもしれない、 なんて思ったりする。 ゆっくり関係を作るって素敵ね。 「中村くん」の過去については…結構衝撃だった。 「え、そんなところ!?」って感じ。 ちひろと、ちひろの母の関係の描写が好きだったなぁ。
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