ホテル カクタス の商品レビュー
はじめは設定についていけるか不安でしたが、どんどん世界に入り込んでしまいました。 彼らの暮らしをずっとずっと読んでいたい気持ちと反対に、どんどん少なくなっていくページ。 終わらないで〜と思った本でした。 大人用の童話のようです。
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童話っぽい。アパートだけど、名称はホテル・カクタス。 1F:数字の2、役人、几帳面 2Fキュウリ、運動好き 3F:帽子、元行商人。亀を飼う
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「ホテルカクタス」という風変わりな名前のアパートに住む、三人(?)の友情のお話。住んでいるのは帽子、きゅうり、数字の2。見事に趣味も性格もみんなバラバラ。それでも、彼らはお互いの価値観を尊重しながら毎日楽しく暮らしている。 「登場人物が人間以外のものって読み進められるかな…」と...
「ホテルカクタス」という風変わりな名前のアパートに住む、三人(?)の友情のお話。住んでいるのは帽子、きゅうり、数字の2。見事に趣味も性格もみんなバラバラ。それでも、彼らはお互いの価値観を尊重しながら毎日楽しく暮らしている。 「登場人物が人間以外のものって読み進められるかな…」と不安に思っていたのに、読み終えてみれば帽子もきゅうりも数字の2も、昔からの知り合いのように親しみを覚えている。あたたかくて、ちょっとだけ寂しくなって、三人の友情が羨ましくなる。 友情は居場所を生み、居場所は思い出を生む。 世の中は諸行無常だけれど、思い出はいつだって変わらぬあの場所に連れて行ってくれるから、今日も安心して変わってゆけるのだろう。
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舞台はホテル カクタスというアパート。住んでいるのは、帽子、きゅうり、数字の2。はじめは不思議でこの話についていけるのかな?と思いましたが、すぐに不安は飛びました。 なぜか懐かしく感じます。自分が大切にしたいような思いや感覚を、霧雨やそよ風のように思い起こさせてくれる感じ(うまく...
舞台はホテル カクタスというアパート。住んでいるのは、帽子、きゅうり、数字の2。はじめは不思議でこの話についていけるのかな?と思いましたが、すぐに不安は飛びました。 なぜか懐かしく感じます。自分が大切にしたいような思いや感覚を、霧雨やそよ風のように思い起こさせてくれる感じ(うまく表現できません)。 三人は仲良しだけど、べたべたしているのではなく、一人で思い出を抱えていたりします。語り合う日もあれば、無理に共有しようとはしない時もある。この関係、いいなあと思いました。
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石造りのアパート「ホテル カクタス」の住人帽子ときゅうりと数字の2の3人は、性格も好みもライフスタイルも何もかも違うけど、あることがきっかけで仲良くなり、喜びも悲しみも共に分かち合いながら穏やかな日々を送っていきました。 大人のためのメルヘン。日常のかけがえのなさと時の無常をしみ...
石造りのアパート「ホテル カクタス」の住人帽子ときゅうりと数字の2の3人は、性格も好みもライフスタイルも何もかも違うけど、あることがきっかけで仲良くなり、喜びも悲しみも共に分かち合いながら穏やかな日々を送っていきました。 大人のためのメルヘン。日常のかけがえのなさと時の無常をしみじみと感じました。特にきゅうりの里帰りの話が良かったです。佐々木敦子さんによる油絵の挿絵も暖かさと寂しさを両方感じさせてくれてじっくり見入ってしまいました。古い映画みたいなノスタルジックな雰囲気が溢れていました。
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再読。 知人に、「私におすすめの本は?」と尋ねて返ってきたもの。 大人の絵本。 3人(人でいいのか?!)のキャラがそれぞれいい。 誰か一人じゃだめで、3人いるからいい。 静かに、寝る前に、少しずつ読み進めた。 すばらしいときは やがて去りゆき いまは別れを 惜しみながら と...
再読。 知人に、「私におすすめの本は?」と尋ねて返ってきたもの。 大人の絵本。 3人(人でいいのか?!)のキャラがそれぞれいい。 誰か一人じゃだめで、3人いるからいい。 静かに、寝る前に、少しずつ読み進めた。 すばらしいときは やがて去りゆき いまは別れを 惜しみながら ともに過ごした 喜びを いつまでもいつまでも 忘れずに 中学でうたった合唱の曲を唐突に思い出した。 別れはやっぱりさみしい。
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★3.5 またもやすごい本と出会った。 挿絵の独特な雰囲気が物語の不思議な世界観をより一層高めてくれて、とてもよい。 登場するのは、 アンニュイな帽子と、楽観的なきゅうりと、割り切れない気持ちに耐えることができない数字の2 短編の中では、 きゅうりの生きがい (まっとうなきゅうりならみんなそうであるように、このきゅうりにも生き甲斐がありました) 2の誕生日 (生まれた時から2歳でしたしこれからもずっと2歳です) が、すき。 人間の物語かと思えば、帽子でありきゅうりであり数字の2である現実に戻される瞬間のにやにやが止まらない。 短い短編なので息抜きで一瞬で読めた。
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長い階段を上る途中、踊り場でちょっと小休止したくなる時がある。目の前の階段をただ上るばかりでは疲れてしまう。 長い人生においても、そんなちょっと立ち止まる時間があってもいい。 少し休んでからまた次のステップへと新たに踏み出す。その繰り返しによって人生が豊かになれば、こんな素敵なことはない。 そんな”踊り場”のような時を過ごした三人の物語。 ”ホテル カクタス”という名のアパートに住む”帽子”・”きゅうり”・数字の”2”。 三人のちょっと風変りなネーミングに最初は戸惑ったけれど、読み進めると人名でないことが物語の雰囲気にとても合っていて良かった。 性格も職業もモノの好みも生活のペースも全く違うのに何故か気の合う三人。夜な夜なきゅうりの部屋に集まって語り合ったり好きな飲み物を飲んだり、と気ままに過ごす。 昼間も三人連れ立って競馬へ行ったり、ととても仲良し。 ラストは予想通りの展開で…やっぱり切なさが後に残る。けれど帽子の言葉通り、世の中には不変なるものはないんだ。 いくら居心地が良くたって、ずっと”踊り場”に居座る訳にはいかない。目の前の階段を再び上り、次のシーンで新たな関係を築いてもいい。三人の距離感を変化させるのもいい。 心残りを傍らに、先へと進む三人に幸あれ。
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人との関係性に対して短期間での判断や割振り、断捨離、を好みがちなのが私の悪いところだけれどこのやり方でうまく行きすぎてきたのも現実である。金銭感覚や価値観の違う人間とわざわざじっくり関わっていると不快なことの方が多いし時間も労力もかけているよりかは全ての合致する人々とカフェインかアルコールか言葉の交わし合いをやっている方が有意義かつ合理的、そして悲しいけれど未知の人間たちと知り合うよりも好奇心を満たすし知ることが多いから。 登場人物たちはそんなことを考えないで無限に時間が存在するように振る舞う。理解はできても真似はしにくい。彼らは人間ではない。きゅうりは腐らないきゅうりらしい。帽子も流行り廃れがないのだろう。数字は世界が存在する前からあるかどうかまで議論にできるぐらいの概念。世界が先か数字が先か。数字は世界が滅びた後も存在するのか。 もう少し長期的に眺めてみてもいいかなと人間に対して思ってみる材料にはなる。あとは娯楽的に読んだ。教訓を自らに落とし込むために読書をしているわけではない。 解説にあった通り江國香織はひととものの関係性をうまく書くと思う。マッチングさせた状態そのものを優美に見せる、他人に人間を芳しく表現させる。この技法が大好きで私自身もよくやる。でもそうすると「もの」にフォーカスしすぎる人々が「もの」だけを真似てその「ひと」「状態そのもの」になろうとしてしまう。モーニングルーティン動画とかお部屋ツアーとかカフェでとりあえず座って背中向けてる写真とかが模造のみで増産されまくってるのがその例だと思う。 私がこの技法を趣味としてやりまくった同人を好んだ人が私以外の他者の買い物を模倣し無様なキメラのような状態になっているのも目にしてショックを受けたりする。他人に沈むなと言いたかったのに逆に他人に取りつかれてしまった人々を何人か観測してしまった。どうしようもない。江國香織も文体や技法を下手に真似られて気分を害しながら生きているだろうけれど表面上を必死に模倣して地獄絵図を産む読者たちを眺めてどう思っているのだろう。そのため息がまた美しく毒々しい文章の肥やしになっているようにも思う。彼女の小説は遠回しな世界へのディスでできているし。読んでいて気持ちがいいのもトラップだと思う。
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めちゃくちゃ面白い!!というよりかはほんわかしてて、かわいい。行間も割と広めで、疲れずに読める。ゆったりしたい時、お風呂上がりなどにおすすめ
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