戦争における「人殺し」の心理学 の商品レビュー
人が人を殺す事への抵抗感、またその抵抗感を減らすための技術の恐ろしさをベトナム戦争を通して書いてありました。 一時、戦争で勝ったとしても精神的な損害は大きい事が事例と共に説明されていて納得しやすかったです。
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人が一人の人間を殺すのには、とても大変な苦痛を伴う。 元来僕らは他人を殺してはならないと教わり育つ、 しかし戦争ではその人殺しを強制され実行する。 彼らはいったいどんな練習をして、またどうやって世間に帰ってくるのであろうか? 日本では戦争というと、第2次大戦での思い出を聞くこと...
人が一人の人間を殺すのには、とても大変な苦痛を伴う。 元来僕らは他人を殺してはならないと教わり育つ、 しかし戦争ではその人殺しを強制され実行する。 彼らはいったいどんな練習をして、またどうやって世間に帰ってくるのであろうか? 日本では戦争というと、第2次大戦での思い出を聞くことしか 一般には戦争に向き合うことができない たまにニュースで戦争や、PTSDの名前を聞いても、そういうことがある程度だ。 この本は大戦以後、人間が兵隊になる過程の経過を読んでいくものであり また、一般的なPTSDを起こす人=臆病な人 などの誤解を 実際に戦争経験者から語られ、集められた体験談からそれを学ぶ本である。 戦争を語り継ぐ人が消えゆくいまだからこそ、読みたい一冊である。
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人はなぜ人を殺すのか?という観点ではなく、なぜ人は人を殺せないのか?という視点に立って戦争における殺人を考察した一冊。 本能的に人は人を殺したがらないということは理解していたが、実際に戦争の矢面に立った軍人であってもそれは同じことだということがデータと共に解説されており、驚きを感...
人はなぜ人を殺すのか?という観点ではなく、なぜ人は人を殺せないのか?という視点に立って戦争における殺人を考察した一冊。 本能的に人は人を殺したがらないということは理解していたが、実際に戦争の矢面に立った軍人であってもそれは同じことだということがデータと共に解説されており、驚きを感じた。 戦争はやはり、人を人では無くしてしまう、非人道的手段であるということが実感出来る良書。
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兵士はなぜ人を殺すのか、また、なぜ殺すことを拒否するのかという点を、取材と歴史的事実、心理学から解明しようとする本。「兵士が戦場で敵を殺すのは当然」だという前提を持って戦争や軍事というものを眺めていた読者にとっては、衝撃的な内容になっていると思う。戦争によって最も危機にさらされる...
兵士はなぜ人を殺すのか、また、なぜ殺すことを拒否するのかという点を、取材と歴史的事実、心理学から解明しようとする本。「兵士が戦場で敵を殺すのは当然」だという前提を持って戦争や軍事というものを眺めていた読者にとっては、衝撃的な内容になっていると思う。戦争によって最も危機にさらされる兵士たちは統計上の数字ではないというのはしばしば言及されるところだが、彼らが我々と同様の生きている人間であり、条件付けによって人が大きく変わることを嫌というほど実感させられる。
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読了。良い本であった。20年以上前にアメリカで出版され、日本で翻訳され、さらに文庫本なのなっていた。2013年13刷とあった。奥さんが古本市で買った本。積読状態でやっと読めた。人は人を殺せないことがわかって、明るい気持ちになる。誰も、人を殺して平気で過ごせるほど強くないことがわか...
読了。良い本であった。20年以上前にアメリカで出版され、日本で翻訳され、さらに文庫本なのなっていた。2013年13刷とあった。奥さんが古本市で買った本。積読状態でやっと読めた。人は人を殺せないことがわかって、明るい気持ちになる。誰も、人を殺して平気で過ごせるほど強くないことがわかった。
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えっほんと…?ってなるけど、確かめることも出来ない。もう昔の本になってるけど、戦場の兵士の心理や行動が興味深く読める。
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戦争において、見知らぬ人間を殺すことは元来、非常に難しいという、我々がフィクションに侵され理解できていない点が、これでもかという文献の引用の嵐により示されていく。 一方でオペラント条件付けにより、簡単にこの点は覆されること、覆しても、解放のプロセスを踏まないと人殺しの罪悪感は抑圧...
戦争において、見知らぬ人間を殺すことは元来、非常に難しいという、我々がフィクションに侵され理解できていない点が、これでもかという文献の引用の嵐により示されていく。 一方でオペラント条件付けにより、簡単にこの点は覆されること、覆しても、解放のプロセスを踏まないと人殺しの罪悪感は抑圧され、トラウマになってしまうことが示される。 現代は、無制約にこういった条件付けがなされているという論も、本書の構成の中で説得力があった。 惜しむらくは、兎に角くどいことで、人殺しをしたことのない著者が人殺しについて語る困難と対峙するため例証を多く記載するという理由は述べられているものの、同じような論理が何度も繰り返され、シンプルな論の割に、分量が無駄に多く、ストレスが溜まった。
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戦場での兵士は驚くほど発砲していない。人を殺すことへの強固な抵抗感から話が始まり、朝鮮戦争からベトナム戦争にかけて発砲率を劇的に向上させた条件付けに話は進む。著者は心理学教授でもある軍人だ。アメリカの行動心理学・DSMの流派と言えるが、それ以上に現場の軍人として、数多くの体験談や...
戦場での兵士は驚くほど発砲していない。人を殺すことへの強固な抵抗感から話が始まり、朝鮮戦争からベトナム戦争にかけて発砲率を劇的に向上させた条件付けに話は進む。著者は心理学教授でもある軍人だ。アメリカの行動心理学・DSMの流派と言えるが、それ以上に現場の軍人として、数多くの体験談や先人の研究を深い共感と説得力を持ってたどっていく。殺人の衝撃は単純な距離や心理的な距離によっても簡単に左右されること、集団の存在が殺人の動機付けやその受容・合理化に果たす役割の大きさが冷静に語られる。 個人的に思ったのは、軍隊が敗走するときがもっとも死亡率が高いのは、人間にもある追跡本能のためだとすると、逆に正対する状況での発砲率の低さは、罪悪感のためだけではなくて「すくみあがり」のような緊張のもたらす部分も無視できないのではないかと言う点。そうだとすると、条件づけの効果の大きさも分かりやすい気がする。また最後のアメリカでの暴力犯罪増加の背景は、どこまでメディアの影響があるのか疑問も残る。日本には当てはまらなさそうだからだ。まずは銃規制だよな。あと保坂正康の本にもあったが軍人会のセラピー機能!
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時代や民族の違いを問わず、戦士は人殺しを避ける。という事実を、もと兵士の経験談や内外のデータをもとにして証明する。その大前提から論考は始まり、それでも兵士が人殺しをするにあたって抵抗が少なくなる場合を分析していく。 物理的距離、心理的距離が離れた場合がそれであり、心理的距離を生...
時代や民族の違いを問わず、戦士は人殺しを避ける。という事実を、もと兵士の経験談や内外のデータをもとにして証明する。その大前提から論考は始まり、それでも兵士が人殺しをするにあたって抵抗が少なくなる場合を分析していく。 物理的距離、心理的距離が離れた場合がそれであり、心理的距離を生じさせる方策として、憎悪・倫理に訴えるプロパガンダの有効性を検証している。 また、ベトナム戦争で非射撃率(敵を前にして銃を撃たない割合)が劇的に低下した策として、シミュレーションによる殺人感作の低下を挙げている。 この策は、兵士のPTSD発症を遅めるだけだという指摘をしつつ、現代のメディアに溢れる暴力行為が、若者の暴力感作を下げていることに警鐘を鳴らしている。 戦争の質の変化が、兵隊に及ぼす影響は大きく、当然それは国家にとっても看過できない重大事だと論ずる。 殺せない兵隊、という視点が革新的。 殺せない人間に殺しをさせる国家施策が戦争。有史以来、兵士のトラウマ回避術は様々あったが、現代戦はメディアの発達や大量破壊兵器の影響もあり、戦争の質が変化している。それに対して人間は変化できない、という現実をまざまざと見せつけられる。 戦争について考える上で、ひとつ違った視座を得た気持ち。
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「科学に佇む一行読書心」で紹介されていた。ベトナム戦争のアメリカ兵がとても若かったというところが抜粋されていた
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