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戦争における「人殺し」の心理学 の商品レビュー

4.3

74件のお客様レビュー

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    30

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2014/12/02

膨大な量の資料や記録をまとめ、「人はなぜ人を殺せるのか」また同時に「人はなぜ人を殺せないのか」ということを研究した良書であり、戦争映画、文学に対しての見方を変えさせてくれる素晴らしい本。 筆者は「人が人を殺せない」という抵抗感が思っている以上にはるかに強く、その強力な抵抗感を克...

膨大な量の資料や記録をまとめ、「人はなぜ人を殺せるのか」また同時に「人はなぜ人を殺せないのか」ということを研究した良書であり、戦争映画、文学に対しての見方を変えさせてくれる素晴らしい本。 筆者は「人が人を殺せない」という抵抗感が思っている以上にはるかに強く、その強力な抵抗感を克服させるためにいかに軍が指導してきたかを書いている。 特に人間を人間と認めないために軍は(戦争を肯定する社会も含め)ありとあらゆる手段を使っていた。 物理的な距離や心理的な距離、社会的な距離をとることにより様々な角度から敵を人間と認めないようにする努力が施されたことによって人は人を殺せるようになる。 そしてその心理的代償も非常に大きいと筆者は言っている。 多くの兵士が味方の死や戦場の爆発や轟音に耐えられるが、人を殺さなければならない状況には耐えられないという事実には改めて考えさせられる。 あと、映画とかで主人公に弾が当たらないのも、ある意味合理的だと思った。 戦争について理解する上で必要な本だと思う。

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2011/06/29

グロ注意。ご飯食べながら読んでいてはきそうになってしまいました。 なんで戦場だと人殺しができるのか?という疑問を小難しく書いていると思ったのですが以外に単純に淡々と買いていて途中まで拍子抜けしていたのですが、訳者も解説に書いているようにその単純さに恐怖を覚えてしまいます。

Posted byブクログ

2011/03/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

戦争における人殺しの心理学は、此れまでタブーとされてきた、 戦闘における殺人をテーマにした本です。 戦争という、合法的に人を殺す事を目的とした行為に対する、兵士の心理的な抵抗感や また、それを問題とした軍の開発した抵抗感の克服方法、 歴史的に例をみない大量殺人が行われてきたベトナム兵士が、戦士社会的に例外なく存在する、必要不可欠な浄めの儀式を社会に拒絶されたこと。 また自分自身の社会から拒絶された兵士の心理などが、バリバリの空挺レンジャーであり心理学者であるデーブ グロスマンによって書かれています。 すばらしい名著です。

Posted byブクログ

2011/02/12

「放置は助長につながる」。だからこそ、本書では攻撃を研究し、暴力を研究し、殺人を研究するのだ。 p.29 はじめに より 日本で普通に暮らしていて、戦争について考える機会、しかも戦争における殺人について考える機会はほとんどないだろう。 それでも現実に軍隊は存在しているし、そ...

「放置は助長につながる」。だからこそ、本書では攻撃を研究し、暴力を研究し、殺人を研究するのだ。 p.29 はじめに より 日本で普通に暮らしていて、戦争について考える機会、しかも戦争における殺人について考える機会はほとんどないだろう。 それでも現実に軍隊は存在しているし、そこでは生身の人間が働いている。 そのことを強烈に思い出させてくれる本。 ただ、後半ではアメリカの少年犯罪についての考察があるのだが、これは蛇足だろうと思うので☆4つ。

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2011/02/14

現在読書中。 もう2010年の秋から読み始めたのだが、なかなか終わらない。 内容はなかなか興味深いものの、戦場での兵士の経験は、似たような引用がたびたび続き、読んでて疲れてくるのも、読み終わらない理由のひとつであったりする。

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2010/11/18

読みきるのにとても時間がかかった。一方で、戦争に対する見方が変わったし、読んで良かったと思える一冊でもあった。

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2010/11/16

人は人を殺すことを避けようとする。 そんな希望に満ちた本能がある一方で、その本能を凌駕する方法を編み出す人知をも持ち合わせている。 “知恵の木の実”はやはり口にしてはいけなかったのかとよく知りもしないのに宗教的なことを考えてしまいました。

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2010/12/01

戦場にあって発砲できた兵士は、かつてはせいぜい10人に2人程度しかいなかったのに、ベトナム戦争においては実に10人に9人にのぼる。この間、何があったのか。 元来"人は人を殺せない”から、"人に人を殺させる”手段は3つ。 1に心理的物理的距離を取り”殺し”の存...

戦場にあって発砲できた兵士は、かつてはせいぜい10人に2人程度しかいなかったのに、ベトナム戦争においては実に10人に9人にのぼる。この間、何があったのか。 元来"人は人を殺せない”から、"人に人を殺させる”手段は3つ。 1に心理的物理的距離を取り”殺し”の存在を曖昧にすること、2に敵を人間扱いしないこと、3に殺す側の人間性を破壊すること。 ベトナム戦争においては、心理学の知見を動員して手段3を採り、大きな"成果”を上げたが、戦後、大量のPTSD患者の出現という大きな代償を払わされることになった。 筆者は、死や暴力が氾濫する現代のメディアは、主に上記3の効果を発生させてしまっていると憂慮し、メディア規制の必要を訴える。 僕自身はメディア規制には慎重であるべきという立場であるが、軍隊の”人間性破壊”のプロセスは一定のコントロールの下にあるが、メディアの表現にはそれがないという筆者の主張には同意せざるを得ない。

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2010/10/04

いままで全く気がつかなかったことを知ることができ衝撃を受けた。 第2次世界大戦やそれ以前の戦争では接近戦での発砲率が低い(約15%)ということ、つまりこちらに向かって攻めて来る敵に対してそれを殺してしまうことに対して強いためらいがあるということらしいのだ。場合によってはそのためら...

いままで全く気がつかなかったことを知ることができ衝撃を受けた。 第2次世界大戦やそれ以前の戦争では接近戦での発砲率が低い(約15%)ということ、つまりこちらに向かって攻めて来る敵に対してそれを殺してしまうことに対して強いためらいがあるということらしいのだ。場合によってはそのためらいのため殺されてしまう。さらに長期間(数カ月以上)にわたって命のやりとりが生じる前線に兵士をおいておくとほとんどの場合精神的に壊れてしまうという。100人に2人くらいの割合で平気な人がいるというが、こちらはむしろ平時には精神異常者とされるものである。自分の命が危険にさらされている場合でさえ人を殺すということは本来かなり難しいことのようだ。 ベトナム戦争以降においては、アメリカ軍は兵士教育のプログラムを開発し、発泡率を90%以上に上げることに成功している。手短にいうと人を殺すのをためらわなくするために殺人の疑似体験を繰り返すのである。このような軍で用いられたプログラムに近いものが今日のテレビゲームや映画などでみられるといい、著者はそのへんを大変懸念している。 本書とは関係なくどうでもよいことだが、かって日本軍が玉砕するとき天皇陛下万歳と叫ぶことが決まりになっていたというが、なかには「おかあさん」と叫んでしんでいった若年兵も少なくなかったと聞く。極右なら天皇陛下万歳と言わないとはけしからんと言ったかもしれないし、日教組教員は心のなかでは全員「おかあさん」と叫んでいたのよと見てきたようなことを言っていた。本書の内容から推測するにおかあさんと叫んでほうがそれを射殺する敵兵士の士気を格段に下げるので戦術的なのだ。これはちょっとした逆説だ。

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2010/08/22

軍は、こうやってアカデミックに心理学を研究することで、普通の人間を”戦場で人に向けて銃を撃てる兵士”にするんだ・・・。 戦争は遊びじゃない。技術が発達すれば、人間をコントロールする技術も研究され、”発達”していくんだ。 洗脳するのがアメリカの軍だから、それは”正義”なんだな・・・...

軍は、こうやってアカデミックに心理学を研究することで、普通の人間を”戦場で人に向けて銃を撃てる兵士”にするんだ・・・。 戦争は遊びじゃない。技術が発達すれば、人間をコントロールする技術も研究され、”発達”していくんだ。 洗脳するのがアメリカの軍だから、それは”正義”なんだな・・・。

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