ファスト風土化する日本 の商品レビュー
中央と地方の格差是正、地域振興等の名目のもとに進められてきた開発によって、日本全体が、一律の、何の特色もない均質的な街に変貌した。 都会ではなく、むしろ、後発的に発展してきた郊外にこそ、人身荒廃、犯罪の温床などの病理現象が起こっている。 全国に拡がった総郊外化に対する著者なり...
中央と地方の格差是正、地域振興等の名目のもとに進められてきた開発によって、日本全体が、一律の、何の特色もない均質的な街に変貌した。 都会ではなく、むしろ、後発的に発展してきた郊外にこそ、人身荒廃、犯罪の温床などの病理現象が起こっている。 全国に拡がった総郊外化に対する著者なりの処方箋を示している一冊。
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2000年前後の地方分析。 論評を抜きに事実だけの提示が説得力を持つのだが、それは著者の立場からすると難しいのか。
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これはすごく近所にそういうのがあるからよくわかります。 本当に味気がなくなるのよ。 その分駅前のほうが面白いといえば面白い。 ただしそれも昨今の感染症の仕業で かなりの昔ながらのお店が店を閉じています。 なのでこれからこういうような施設は より一層増えていくんじゃないかな。 しかしあるファストフード店のお偉いさんよ。 そりゃあないぜ。 なんかこの会社が最近スカってる理由、 わかる気がするな。
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10年以上前の本にあれこれ言いたくないけど、私が28歳くらいなら共感できたかも。著者は地方出身者だけど、高校生ぐらいまでの洞察力で見た地方ってこんな感じかなぁ。都市論も教育論も薄く感じた。最後の方、若者、若者と連呼してるけど、若者像が陳腐。 弘前の土手町紀伊国屋とか東京の人から見...
10年以上前の本にあれこれ言いたくないけど、私が28歳くらいなら共感できたかも。著者は地方出身者だけど、高校生ぐらいまでの洞察力で見た地方ってこんな感じかなぁ。都市論も教育論も薄く感じた。最後の方、若者、若者と連呼してるけど、若者像が陳腐。 弘前の土手町紀伊国屋とか東京の人から見たらショボいかなと思っていたけど、何らかの文化的な感じを醸し出している効果があったというのが唯一の発見。
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(01) 2017年の現在に読めば、この新書もやや古びてしまったと言えるだろうか。2000年前後の郊外の郊外的な犯罪履歴から現場の風景を観察し、21世紀の郊外の特徴を抽出している。そのひとつにジャスコという指標を掲げ、ジャスコに代表される大規模な郊外店にどのような社会が発生し、郊...
(01) 2017年の現在に読めば、この新書もやや古びてしまったと言えるだろうか。2000年前後の郊外の郊外的な犯罪履歴から現場の風景を観察し、21世紀の郊外の特徴を抽出している。そのひとつにジャスコという指標を掲げ、ジャスコに代表される大規模な郊外店にどのような社会が発生し、郊外型の犯罪とどのように絡んでいるか、統計を交えて分析している。 第七章にこんな一節がある。 かつての都市や農村にはリアルな生活があったとした上で、「しかし、いまの地方には、郊外はあるが都市も農村も消えた。たしかに物は入ってきた。しかし、生活が消えたのだ。」この箇所に限らず、全体にやや筆が走り過ぎているように思える。「リアルな生活」が消えたというなら(その「リアル」が果たして「リアル」であったかどうかは別に問うてよい問題(*02)ではあるが)、まだ文意が前後で通じるが、「生活」が消えたというのは飛躍があるように思える。また、本書ではその消えたとする現代の郊外の生活の様相を描いてもいる。著者がいわんとする事は一辺倒で理解しやすいが、このように端折りや飛躍により、郊外化という問題をクレッシェンドしすぎる半面で、問題の陰翳まで丁寧に写し取ることができてないのが本書のウィークポイントであると考える。 (02) 長野県あるいは長野市に関する言及も散見されるが、第五章では、信州の「松本から諏訪にかけて」の郊外化の場面としてこんな描写がある。 「山奥といってもよいようなところ、昔なら峠の茶屋くらいしかなかったであろうようなロードサイドに、パワーセンターがあり、スポーツ用品、(以下略)」として、著者の住んでいる吉祥寺や故郷の上越高田は、ブランドの流通品が手に入る点で、「長野の山奥と大差ないのだ」と断じている。 長野県の地理と照らして、近世に峠の茶屋ぐらいしかなかったところで、現在、ロードサイドの大型の郊外店が展開している場所というのは、なかなか難易度の高い設問であるが、軽井沢、安曇野、小淵沢(山梨県)、塩尻あたりを指しているのかもしれない。つまり「峠の茶屋」しかなかった「山奥」という著者の地理理解に難点があるように思える。例えば、中山道沿いであっても、郊外化する以前も宿場として発達したところであれば現代において「パワーセンター」の出店により衰退した町はあると思われるが、中山道にも数あった「峠の茶屋」かそれに近い業態が営まれていた場所は、あまり郊外化とは関わらない衰退要因があったように思う。 細かい指摘にはなるが、地方の全てが一様にファスト風土化している(*03)ように見えるとすれば、著者の大雑把な地理理解にもその一因があるという指摘につながりかねない。 つまり、構図を単純化しすぎており、「郊外化とその病理」の実態に迫り切れていないようにも思う。それは、2017年現在、「郊外化」や「ショッピングモール」を面白がり、積極的に現代社会に落着させようとする動きに見られる、人間の不思議さへの理解を、本書の著者が欠いているともとられる。 (03) それにしても、19世紀の英国の田園都市や、高度経済成長期以降の日本で唱えられた田中角栄の日本列島改造論や大平正芳の田園都市国家にファスト風土のひとつの淵源があるとする指摘は、おおむね頷ける。 著者は、また、日米の経済摩擦により米国から要求された国内の公共事業投資の増大というストーリーを導入しているが、それについての可否はここでは留保したい。 地方のヤンキーの問題、下流の問題は、公共空間あるいは地域の風土の問題が絡まっているという指摘は、本書の功績でもあるだろう。
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(2007/4/26) 「希望格差社会」からのリンクで買ってみました. 地方の郊外化のプロセスと,そこで起きる生活風土の崩壊,犯罪の発生についてかかれております. 特に,国道の敷設からジャスコの出店そして商店街の破壊と,(旧)大店法の功罪にもふれつつ警鐘をならしています. ...
(2007/4/26) 「希望格差社会」からのリンクで買ってみました. 地方の郊外化のプロセスと,そこで起きる生活風土の崩壊,犯罪の発生についてかかれております. 特に,国道の敷設からジャスコの出店そして商店街の破壊と,(旧)大店法の功罪にもふれつつ警鐘をならしています. 郊外化はモータリゼーションからの必然の帰結とすることなく,回顧主義を乗り越え進歩的に解決していくべき具体的問題だと, 心に染みたわけでございます. ちなみにファスト風土化はファストフードになぞらえた造語だそうで.
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表題に惹かれて買ったけど、半分読んだ時点では「あ、大失敗」って思いました。地方の犯罪パターンの表層的な分析なんて全然面白くない。 ところが、後半、田中角栄や大平正芳による「列島改造」が何を生んだか、いかにして「地方」が衰退したか、地方における階層化と消費パターンを論じるようになってから急に面白くなった。 最近流行りの「マイルドヤンキー」論の先鞭をつけたという点でもまあ、三浦展らしいと言えばらしいです。底が浅いっていう批判はあるでしょうけど、それも三浦展らしいと言えばらしいw。
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2014年6月30日読了。広い幹線道路沿いに立ち並ぶファーストフード店、量販店、アウトレットモール、そしてジャスコ。日本に増殖する没個性な街並みを「ファスト風土」と名づけ日本の今を読み解く本。確かに、高速道路のICを降りて国道を車で走っているとき、「ここは富士吉田だったっけ?松本...
2014年6月30日読了。広い幹線道路沿いに立ち並ぶファーストフード店、量販店、アウトレットモール、そしてジャスコ。日本に増殖する没個性な街並みを「ファスト風土」と名づけ日本の今を読み解く本。確かに、高速道路のICを降りて国道を車で走っているとき、「ここは富士吉田だったっけ?松本だっけ?」と自分がどこにいるのか景色から判断できず面食らうことはしばしば体験することだったが。「何でもそろう」ジャスコ(イオンショッピングモール)に地方の人々が車で通うことにより、コミュニティは破壊され・職人や地場産業の従事者、その他ユニークな個性は失われ・若い世代は消費しか知らず無気力になり、車での交通量が増えることにより、都会から犯罪者まで流入してくることになり・・・。濃密な人間関係と都会では味わえない自然体験がある、というのが日本の地方のイメージであったが、そんなトトロ的ユートピアはいまや日本のどこにもないのかもしれない。この日本の姿は日本政府と、我々日本国民自身が望んでそうなったものなのだろうか。考えさせられた。
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東京になくて地方にあるもの、それは「ジャスコ」。旅先で「ジャスコ」に行くと、「旅行に来た!」って感じがするようになったのはいつからだろう。が、駅中心部からちょっと外れたロードサイドでは同じような店が立ち並び、自分がどこにいるのかわからなくなるのも事実である。これらのファスト風土化...
東京になくて地方にあるもの、それは「ジャスコ」。旅先で「ジャスコ」に行くと、「旅行に来た!」って感じがするようになったのはいつからだろう。が、駅中心部からちょっと外れたロードサイドでは同じような店が立ち並び、自分がどこにいるのかわからなくなるのも事実である。これらのファスト風土化された風景は、田舎は何もないという固定観念を覆し、全国どこでも「全然暮らせるじゃん」となる。実際地方は疲弊なんかしていない。消費意欲が旺盛で支出も増えているというデータは興味深い。 数々の殺人・誘拐事件を検証し、「理解できない事は東京ではなく地方で起こる。東京は最も安定した地域であり郊外化した地方こそが最も危ない。」その元凶が「ジャスコ」なのである。この決め付け感、論理の飛躍を非難する事は簡単ではあるが、この壮大な仮説を完全に否定できない事も事実だろう。 消費社会化されてイカレた地方の人間は(一部の優秀な人間が公的職業に付くのを除いて)勉強もしない、働きもしない、でもモノに溢れそれなりに豊かだから現状維持でいいと思っている。で、TVばかり見て、車を乗り回し、汗もかかず、都会人よりバーチャルな暮らしをし、結果堕落し、街は破壊されている。だから犯罪が起きるんだ!とまあ過激な論調なのだが、当事者の地方人はどう思っているのか?自分の街がファスト風土化されていく事をどう思っているのか? 本書は問題提起だけして提案がない。との批判がある。が、地方や地域には各々個別の実情もあるだろう。このままジャスコに頼って生きていくのか?駅前の商店街を復活させるのか?「ジャスコは街を作らない」という前提にたち、地域が破壊されている現状認識と解決策は各々の地方で考えるべき問題なのだろうと思う。
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非常に興味深く読んだ。 本文の例以外にも、例が思い浮かぶ。それは自分がかつて住んでいた土地であったり、今の行動範囲内であったり。 郊外型のショッピングセンター、整備された道路、美名の実態の空洞化。 さりげなく日常に迫ってくる均一化は、あたかも原子力発電所のような危険を孕んでい...
非常に興味深く読んだ。 本文の例以外にも、例が思い浮かぶ。それは自分がかつて住んでいた土地であったり、今の行動範囲内であったり。 郊外型のショッピングセンター、整備された道路、美名の実態の空洞化。 さりげなく日常に迫ってくる均一化は、あたかも原子力発電所のような危険を孕んでいる。
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