回転木馬のデッド・ヒート の商品レビュー
私はこの本を病院の診療待ちの時間内に読み切ってしまった・・・ それ位、この時期の病院って患者を待たすんですね ひどぃもんです さて、この本は8話を収録した短篇集 作者が体験した話、人から聞いた話をまとめ上げたノン・フィクションをフィクション風に仕上げた内容。 他人...
私はこの本を病院の診療待ちの時間内に読み切ってしまった・・・ それ位、この時期の病院って患者を待たすんですね ひどぃもんです さて、この本は8話を収録した短篇集 作者が体験した話、人から聞いた話をまとめ上げたノン・フィクションをフィクション風に仕上げた内容。 他人の話を聞けば聞くほど、その話を通して人々の生をかいま見れば見るほど、自分達は避けがたい無力感に捉われていくことになるという。そして動く事ができない、逃れられないというのがこの無力感の本質なのだという・・・。人は皆、自分達をはめ込むことのできる人生という運行システムを所有しているが、そのシステムは同時に私達自身を規定している。 それはメリーゴーランドによく似ていて、何処にも行く事は出来ないし、途中で他の人の人生に乗り換える事も出来ない、降りる事も出来ない。 誰をも抜かないし、誰にも抜かれない、平等な速さで定まった場所を巡回しているだけの事である。 しかしそれでも私達はそんな回転木馬的な人生の中で仮想の敵に向けて熾烈なデットヒート(反発)を繰り広げて見える。 だから事実というものがある場合に奇妙にそして不自然に移るのだという・・・。 そんな奇妙で不自然に聞こえる話が8話収録。 ドイツ旅行に行った際、旦那への土産に「レーダーホーゼン」というを買おうとした際に離婚を決意した妻の話。 無価値であるにも関わらず、自分の失われた人生の一部を感じたというタクシーに乗った男の絵を買った画家の夢を諦めた女の話。 35歳で自分の人生の折り返し地点について考え、今までの事を振り返り、未来を予測する男の話。友達の恋人や妻と寝るのが好きな男が1ヶ月毎日健康体であるのに吐き続けながら、いたずら電話を受ける話。 金をもらって男と寝る女の話。 などなど・・・。 私的には「タクシーに乗った男」という話が好きでした。 絵に書かれた男と話内の主人公である女性は最後にギリシャで実際出くわす。タクシーに相乗りするという状況で出会うことになるのだが、男は別れの際にこんな風に彼女に言う。「カロ タクシージ(よいご旅行を・・・)」この言葉は画家の夢を諦めた彼女の心に次のように刻む。「私の人生は既に多くの部分を失ってしまったけどそれは一つの部分を終えたというだけのことであって、まだこれから先何かをそこから得る事ができるばすだ」と・・・。 実に前向きな明るさを余韻に残す話なので素敵だなと思った こんな感じで終わる話、好きです
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日常生活の中でちょっと聞いた不思議な話、変わった話を紹介。 筆者が実名で登場する。 例によって、ミステリーの謎解きのないような話が多い。 ただ村上春樹の心地よい文章を楽しんでいるだけ。
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通学途中、友達に会うまで、ごはんを食べる前、 少しづつ、少しづつ、読み重ねていった。 目に見えて何か変化があらわれたわけじゃないけれど、 一言、一文が少しづつ私の日常にしみこんでいった。 しみこんで、じんとひろがったかと思ったら 時間をおかずにさっぱりと消えていった。 消...
通学途中、友達に会うまで、ごはんを食べる前、 少しづつ、少しづつ、読み重ねていった。 目に見えて何か変化があらわれたわけじゃないけれど、 一言、一文が少しづつ私の日常にしみこんでいった。 しみこんで、じんとひろがったかと思ったら 時間をおかずにさっぱりと消えていった。 消えたあとには何も残らない そんな感じがした。
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「我々は我々自身をはめこむことのできる我々の人生という運行システムを所有しているが、そのシステムは同時にまた我々自身をも規定している。それはメリー・ゴーラウンドによく似ている。それは定まった場所を定まった速度で巡回しているだけのことなのだ。どこにも行かないし、降りることも乗り換え...
「我々は我々自身をはめこむことのできる我々の人生という運行システムを所有しているが、そのシステムは同時にまた我々自身をも規定している。それはメリー・ゴーラウンドによく似ている。それは定まった場所を定まった速度で巡回しているだけのことなのだ。どこにも行かないし、降りることも乗り換えることもできない」 この短編小説集の話たちは、全て原則的に事実に即して書かれているらしい。それらは、ごく普通の大学生生活を送っている私にとっては、至極不自然に見える。 異常なのだけど、その人の範疇の中では普通のこととして過ぎてしまっている感じがする話たち。 一時の感情(意思)が、本人が意図していない行動へと働きかける。 それは嵐のように巻き起こり、嵐のように去っていく。過ぎた後には、まるで何もなかったかのように、いつもの自身に戻る。 結局、人は元の場所に帰ってくる。 どこにもいけないのだ。基本的には。
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ただの小説ではなくて、エッセイも織り交ざっている本。 人生というのはいろいろあって、さらにそこには様々な人がいる。 そこでは不思議なことや不可解なこと、面白いこと、いろいろなことが起こる。 そんな世界の一部分がかいま見えるような一冊であった。
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実話なのか、どうなのかとかはどうでもよくて、 わたしは彼の短編集が好きです。 山火事みたいに無料…に少し笑いました。
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アタシの初めての村上春樹小説 翻訳家が小説を書いたらこんな感じなんだろうって、思った。 もしかしたら、ただそれだけの話しなのかも。 もっともっと、読まなくっちゃ。
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素晴らしい! 「野球場」は変態の境地の末に至った男の話。 この一冊のおかげでようやく自分が春樹のファンであることを自覚できた。
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「人生の折り返し地点」について深く考えさせられた。 【2009年8月4日 入院中のベッドにて】
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さまざまな人が語った話を短編集のようにまとめたもの 「タクシーに乗った男の絵」や「妻の友人の母の離婚の理由」など 色んな話が入っている
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