邪魔(上) の商品レビュー

奥田英朗(著者)

2009/11/08

桐野夏生の『OUT』を読み終えた直後だったので、『クライムノベル必読の傑作！』という帯に惹かれて購入。上巻は、『OUT』のインパクトが強すぎてあまりのめり込めなかった。警察内部の人間関係が(私には)把握しずらかったからかも知れない。恭子の夫に対する疑惑と葛藤が、下巻でどういう展開を見せるのかに期待。

2009/10/23

及川恭子、34歳。サラリーマンの夫、子供2人と東京郊外の建売り住宅に住む。スーパーのパート歴1年。平凡だが幸福な生活が、夫の勤務先の放火事件を機に足元から揺らぎ始める。恭子の心に夫への疑惑が兆し、不信は波紋のように広がる。日常に潜む悪夢、やりきれない思いを疾走するドラマに織りこんだ傑作。

逃げれば，そこから現実と向き合うのは想像以上の力が必要になる。
どこにでもある平凡な家庭が少しのずれで大きく崩れていく。その細かな心境の変化の描写がうまい。下巻が特におもしろかった。

2009/10/21

及川恭子、34歳。サラリーマンの夫、子供二人と東京郊外の建売住宅に住む。スーパーのパート歴1年。平凡だが幸福な生活が、夫の勤務先の放火事件を機に足元から揺らぎ始める。（裏表紙より一部引用）

上下巻の、とりあえず上巻だけ読んだのでこの時点でレビュー。
下巻を読んだらまた感想も変わるかも。

最初は高校生の恐喝シーンから始まります。
これから起きるストーリーにまったく想像がつきません。
主に、及川恭子と、久野薫（男）の視点から書かれています。

放火事件からじわじわと色々な人の人生が崩れていきます。
及川恭子が追い詰められていくシーンは結構ドキドキします。
夫が嘘をついている。何かを隠している。警察に疑われている。
段々不安になっていきます。

小室が持ちかけたパートの権利を獲得しようという活動に
最初は「誰かがやってくれたらいいのにな」という気持ちでいた恭子が
いつの間にか精力的に活動しているところがとても興味深かったです。
心理描写がうまい・・・。特別色々な言葉で飾ってあるわけでもないのに
恭子の気持ちが手にとるようにわかりました。

さて、下巻はこの先どうなるんでしょう・・・？
及川茂則は放火犯なのか？恭子はパートの契約書への対応をどうする？
狂った花村は？ちょっと気になる久野の義母の家は・・・？
色々気になります！期待を込めて、星４つ。

2010/01/11

いや〜、怖かった。
何がと言えば、登場人物達が濁流に少しずつ飲みこまれて行く様が。
作中で起こる事件は本当に些細なこと。怪我人が一人出た放火事件、それだけ。
その放火事件をきっかけに様々な人間たちがそれぞれの渦に飲み込まれて行く。
登場人物達の様子を、ひたすらじっくりねっとり細かく現実的に描いているので、
読んでいてドキドキとか爽快感とかそういうのとは全く無縁。
むしろ読むのが重労働とすら感じてしまうほど、全体を通して重い。
何人か人物にスポットが充てられる形式だけど、
私は断然、主婦の及川恭子のたどる道が怖かった〜。

2009/10/04

2009.8.15.〜

上巻はなんとなく読むのに苦労した。おもしろいはおもしろいんだけどね。
下巻のおもしろさにびっくり。

2009/10/04

人は弱い生き物です。

嘘に嘘を重ね
犯罪に犯罪を重ねてしまう

決して弱さを肯定するわけではない

逃げることによって
逃げきることが出来ない現実が確かにある

2009/10/04

『最悪』と同列の「やり場のないスピード感」が炸裂。
夫婦や家族って脆い。少し寂しい。

これもまた寝不足注意。

2009/10/04

まさかこんな終わり方！！
ていうか養母！！
ていうか恭子ーーー！！

おまわりさんの出てくる本はやっぱりいいなぁ。
おまわりさんが出てくるのに人が死なない本って久しぶりに読んだ。

放火の犯人はやっぱり！という感じで、それなのにこんなに裏切られた感。

2016/09/29

及川恭子、34歳。サラリーマンの夫、子供二人と東京郊外の建売り住宅に住む。スーパーのパート歴一年。
平凡だが幸福な生活が、夫の勤務先の放火事件を機に足元から揺らぎ始める。
恭子の心に夫への疑惑が兆し、不信は波紋のように広がる。
日常に潜む悪夢、やりきれない思いを疾走するドラマに織りこんだ傑作。

後半なんかねぇ

第4回大藪春彦賞
第125回直木賞候補

2009/10/07

ちょっとしたことから人生が狂いはじめて。
徐々に周囲の人間も巻き込んでいく話です。

夫、子供２人と東京郊外の建売り住宅に住む主婦は。
夫の勤務先の放火事件から人生が揺らぎ始めます。

本庁勤務を経て、現在所轄に勤務している刑事は。
同僚の素行調査を担当し、逆恨みされます。

ある放火事件をきっかけに繋がった糸は。
複雑に絡まりながら多くの人物を巻き込んでいきます。

誰もが問題を抱えながらも守りたいものを守ろうとして。
奮闘するもそれぞれの思惑はことごとく外れてゆきます。

足の引っ張り合いなので、誰が得することもありません。
これほどに利害関係が面倒だとは知りませんでした。

結局、誰もが自分のことしか考えていないので。
いい人がほとんど出てこないのがまた面白いです。

平凡な幸福を手に入れることがこれほどに難しくて。
平穏な生活を送ることはとても幸せだと思いました。

上巻は主に伏線を張りめぐらしていた感がありますが。
下巻はこの問題が収斂に向かうのでしょうか。