白い果実 の商品レビュー
12/18 読了。 想像よりずっとずっとエンターテイメントしてる小説だった!楽しい!大人の読むファンタジーだ。 ジェットコースターみたいに展開が早いけどエンタメ一辺倒にならないのは、やはり金原瑞人氏の慧眼によって、訳文を山尾悠子自身の手で山尾文体に書き直すという采配がなされたおか...
12/18 読了。 想像よりずっとずっとエンターテイメントしてる小説だった!楽しい!大人の読むファンタジーだ。 ジェットコースターみたいに展開が早いけどエンタメ一辺倒にならないのは、やはり金原瑞人氏の慧眼によって、訳文を山尾悠子自身の手で山尾文体に書き直すという采配がなされたおかげだと思う。
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『白い果実』は、風吹き荒ぶ曇天の日からはじまる。 ウエルビルトンシティ 理想形態都市とは一体何なのか。 そこは、独裁者ビロウの支配する極めて異常な都市で、ビロウの部下でありこの本の主人公であるクレイは、優秀な観相学者なのだ。 ビロウの元で辣腕をふるうクレイもまた極悪非道な男で...
『白い果実』は、風吹き荒ぶ曇天の日からはじまる。 ウエルビルトンシティ 理想形態都市とは一体何なのか。 そこは、独裁者ビロウの支配する極めて異常な都市で、ビロウの部下でありこの本の主人公であるクレイは、優秀な観相学者なのだ。 ビロウの元で辣腕をふるうクレイもまた極悪非道な男で、異世界にしか存在して欲しくないような性格をしている。 彼の任務は、盗まれた白い果実を取り戻し犯人を見つけ出すことだったが、物語はどんどん違う方向に展開を見せ、ジェフリー・フォードの作り出す想像の世界に引きずり込まれてゆく。 『シャルビューク夫人の肖像』 とは、違うジャンルの小説で、SFの部類に入るのだろうが、本書は実は、三部作で、その一作目が『白い果実』だそうで、完全完結というような気がしないのはそのためなのかもしれない。 本書は、世界幻想文学大賞を授賞。
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なかなかに想像力をかきたてられる物語でした。 3部作の第一作ということで、続きも読んでみようと思います。 「白い果実」が始めは単に不死の果実だと思って読んでいましたが、そんなに単純ではないのですね。
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わけはわからない。だが、イマジネーションと、想像される色とガジェットの洪水が凄まじく、そして思いの外読みやすくもある。ファンタジー嫌いには厳しいかもしれないが、文字で絵画を描いているような秀作。
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お、終わったーーーー! 幻想小説と呼ぶにふさわしい一冊。でも、小難しいところは全く無い。読み応えのある物語。 特に、山尾悠子さんの書く文体は硬質で、高慢で冷酷な主人公の性格によくマッチしているなーと思った。 でも、慣れない雪道でずっこけたり、お間抜けな一面もあるんだよね。 ...
お、終わったーーーー! 幻想小説と呼ぶにふさわしい一冊。でも、小難しいところは全く無い。読み応えのある物語。 特に、山尾悠子さんの書く文体は硬質で、高慢で冷酷な主人公の性格によくマッチしているなーと思った。 でも、慣れない雪道でずっこけたり、お間抜けな一面もあるんだよね。 三部作だそうで、残りの2作も読んでみたいな。
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世界幻想小説大賞受賞作。 世界観がモロ好みでした。訳者の山尾悠子の格調高い文章がかなり幻想的な雰囲気を盛り上げてくれる。 観相学が法律の全てという世界観。その他にも、理想形態都市、独裁者、美薬、青い鉱石、楽園ウイナウ、旅人、サイレンシオ、双子の番人、人狼…。世界観を色成す設定が...
世界幻想小説大賞受賞作。 世界観がモロ好みでした。訳者の山尾悠子の格調高い文章がかなり幻想的な雰囲気を盛り上げてくれる。 観相学が法律の全てという世界観。その他にも、理想形態都市、独裁者、美薬、青い鉱石、楽園ウイナウ、旅人、サイレンシオ、双子の番人、人狼…。世界観を色成す設定がセンスに溢れている!訳者のあとがきにも書かれていたが、ストーリーは女性に対する罪と贖罪への暗喩ともとれないこともない。独裁者ビロウと倒して終わりというところが普通すぎたのが少し気になるといえば気になったぐらいか。 3部作のウチの1作目。まだまだこの世界に浸れるのが楽しみだ。
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「シャルビューク夫人の肖像」もそうだったけど身悶えしちゃうようなこのゾワゾワ感がこの人の特徴なんだなと読み進むうちにそのゾワゾワ感がいつの間にか消えて、切なく美しすぎるラストに感動。読むべし。
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金原瑞人らが訳してそれを山尾悠子が書き直したという一冊。山尾悠子という名前にひかれて。内容は大人のおとぎ話といった感じ。舞台は欧州を元にしたようで、ある観相学官の不思議な旅が書かれている。なぜか世界観がいまいちつかみにくい感じがした。三部作の一つ目のため、今後どうなるか、という意...
金原瑞人らが訳してそれを山尾悠子が書き直したという一冊。山尾悠子という名前にひかれて。内容は大人のおとぎ話といった感じ。舞台は欧州を元にしたようで、ある観相学官の不思議な旅が書かれている。なぜか世界観がいまいちつかみにくい感じがした。三部作の一つ目のため、今後どうなるか、という意味では楽しみ。
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幻想文学というのはこうでなくっちゃ。というほど語られる世界観が素晴らしく悪に満ちていて美しい。独自の神を崇めるさびれた鉱山の村、ピアノを弾く猿のいる厳しい流刑の島、神の奇跡を起こす独裁者の治める都市、と次々に舞台を変えつつも、常に痛みと虚無感とを湛え、タイムパラドックスや楽園願望...
幻想文学というのはこうでなくっちゃ。というほど語られる世界観が素晴らしく悪に満ちていて美しい。独自の神を崇めるさびれた鉱山の村、ピアノを弾く猿のいる厳しい流刑の島、神の奇跡を起こす独裁者の治める都市、と次々に舞台を変えつつも、常に痛みと虚無感とを湛え、タイムパラドックスや楽園願望やメタのエッセンスも織り交ぜた贅沢さ。細部に至るまでがっちりと構築され、ページの間にどっぷりと遊べる濃密な時間。流麗な訳文、装丁も含めて大ヒット。何よりあと2冊続刊という「物語の途中」をまだまだ楽しめるのが嬉しい。心の本棚の、特別な場所に置くことが決まった本。
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1997年世界幻想文学大賞受賞作。 20世紀の最後を飾る奇書とは訳者の弁。2004年8月発行。 翻訳は山尾悠子・金原端人・谷垣暁美の3人がかり。 古典を読むような文章にやや戸惑ったが、もとの味わいを出そうと苦心したらしい。 理想形態市(ウェルビルトシティ)は、独裁者ドラクトン・ビ...
1997年世界幻想文学大賞受賞作。 20世紀の最後を飾る奇書とは訳者の弁。2004年8月発行。 翻訳は山尾悠子・金原端人・谷垣暁美の3人がかり。 古典を読むような文章にやや戸惑ったが、もとの味わいを出そうと苦心したらしい。 理想形態市(ウェルビルトシティ)は、独裁者ドラクトン・ビロウが築いたクリスタルとピンクの珊瑚で出来た街。 主人公のクレイは一級観相官。四輪馬車の迎えに乗り、北方の属領にある鉱山の町・アナマソビアへ出立する。 アナマソビアはブルースパイアの発掘が行われ、青い粉を吸い込んだ鉱夫はいずれ青く染まってブルースパイアと化す。 観相が異常に発達している時代で、幼女が人狼であることを見抜いた功績もあるクレイ。 「白い果実」の盗難をめぐって、アナマソビアへ派遣されたのは左遷に近い。美しい娘アーラに出会って助手とするが滞在中に一時知識を失い、美薬という麻薬中毒も相まってとんでもない事態を引き起こし、流刑へ。 旅人と呼ばれる人間ではないミイラの真実は?楽園とは? カフカの城とか…いろいろ思い出します。 独裁と暴力と血と苦難と革命と…感情移入は出来ないが、架空世界を作りげたパワーは買います。
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