煙か土か食い物 の商品レビュー
終盤へ向かっていく文章の勢いが素晴らしい、カーレースのような乱暴な速度で展開していく。家族の形というのは、皆それぞれだけれど、愛が故の屈折を強く感じた。暴力や暴言は当然良くないが、目も体も本能には勝てない。
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改行のないギッシリ詰まった文字にいきなり胸倉をつかまれます。目を離すな、気を散らすな、読み落とすな。突然出てきた数式とグラフにヒャッホーと叫び声をあげたくなったのに続く暗号を楽しむ暇も与えられず、あらためて地面に叩きつけられたように与えられる痛み。家族とはなんだ、愛とはなんだ。暴...
改行のないギッシリ詰まった文字にいきなり胸倉をつかまれます。目を離すな、気を散らすな、読み落とすな。突然出てきた数式とグラフにヒャッホーと叫び声をあげたくなったのに続く暗号を楽しむ暇も与えられず、あらためて地面に叩きつけられたように与えられる痛み。家族とはなんだ、愛とはなんだ。暴力とはなんだ、連鎖とはなんだ。頭の中はぐちゃぐちゃで、泣きそうになりながらページをめくりました。メフィスト賞らしい、ミステリでくくっては勿体ない作品。全ての設定の妙に、読後は長距離走を走り切ったような疲労と満足感が残りました。
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初の舞城王太郎。おもしろかったー。 改行のないスピード感と疾走感のある文章で、読んでいる方まで変なテンションになってくる。内容もぶっ飛んでいてバイオレンス度が高めだが、どこかさわやかささえ漂っている。 こんな不思議な作品と出会えたこと自体がうれしい。
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男!男!男!男!男!暴力!暴力!暴力!暴力!暴力!疾走する文体に彩られためくるめくバイオレンス冒険譚。この作品の何がすごいかと聞かれればそのバランス感覚と言うことができるだろう。苛烈な暴力描写は軽快な文章によって緩和され、しかしその軽快な文章もまたライトノベルのような薄さや甘さを...
男!男!男!男!男!暴力!暴力!暴力!暴力!暴力!疾走する文体に彩られためくるめくバイオレンス冒険譚。この作品の何がすごいかと聞かれればそのバランス感覚と言うことができるだろう。苛烈な暴力描写は軽快な文章によって緩和され、しかしその軽快な文章もまたライトノベルのような薄さや甘さを帯びることはなく独特のビートを刻み続ける。ミステリーとも冒険モノとしても読むことができるかもしれないが、この小説の根底にあるのはどうしようもない「愛」だと思う。そんな不器用なテーマを暴力でくるんで血で煮詰めてチャッチャッチャッチャッとミステリーをまぶしたような、そんな作品。4兄弟と父親を中心にしたキャラクターの個性もブッ飛んでいるし、絶え間なく登場する福井弁の響きも心地よい。早くも2019年度最強の良書に出会ってしまったかもしれない...
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圧倒的なスピード感。ビートの効いた文体で、ミステリー小説として立派に成立する内容をあえて既成の分類を打ち破る威力でグイグイと読者を引っ張る力強さがある。既成概念としての分類など、著者にとっては無用なのかもしれない。 読む者は著者の文体のビートに乗せられて、ぐんぐん読み進むことがで...
圧倒的なスピード感。ビートの効いた文体で、ミステリー小説として立派に成立する内容をあえて既成の分類を打ち破る威力でグイグイと読者を引っ張る力強さがある。既成概念としての分類など、著者にとっては無用なのかもしれない。 読む者は著者の文体のビートに乗せられて、ぐんぐん読み進むことができる。段落も細かくは分かれていないし、読点も多くない。今一度既成概念的な物言いをすれば「読みにくい」ということになる。もちろん読みにくくはない。一度読み始めてしまえば、速度をともなった独特のリズム感ある文章は、するすると読めてしまう。すなわちここでもまた、既成概念は通用しない。 読み終えた後、血と暴力にあふれ、スラングすら使うことをいとわない物語を読んだにもかかわらず、踊り出したくなるようなテンションになる。不思議だ。何もかもが初めての出会い、という意味で新しい。今まで舞城作品をいさかか敬遠してきたことが、ただの時間の濫費とすら思えてくる。 このスプラッシュな文体の裏側に、実はときに血なまぐさくなるけれども、深遠で根源的な内容がしっかりと描かれている。ジェットコースターばりのスピード感に、途中はややもすれば恐怖感を覚えるかもしれないが、とどのつまり残るのは爽快感ではないだろうか。そして、流れに乗って一気に読んでしまうけれども、しっかり爪痕を残していく物語なのである。
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アマゾンレビューの「文圧に圧倒される」という言葉に興味を持ち読んだ。実際改行もなくびっしりと紙面を埋め尽くす文字の量に最初はビビるが、それを読ませる力があった。あっという間にラストまで駆け抜けてしまう。医療行為も暴力もセックスも家族の問題も過去の話も殺人も全てがスピーディです。
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講談社界隈の作家が大嫌いで、アナグラムで謎を構築する小説も大嫌いで、登場人物に変な名前付ける作家も大嫌いだからかなり構えて読み始めたのに、単純に面白かった/ 尖ってる/ これくらいなら素直に褒められる/ 谷川ないし、キョンの原点はこの作品にある気がする/ そんな感じ/ でもミステ...
講談社界隈の作家が大嫌いで、アナグラムで謎を構築する小説も大嫌いで、登場人物に変な名前付ける作家も大嫌いだからかなり構えて読み始めたのに、単純に面白かった/ 尖ってる/ これくらいなら素直に褒められる/ 谷川ないし、キョンの原点はこの作品にある気がする/ そんな感じ/ でもミステリは嘘ばっかのご都合で、そんなことはまあどうでもいい作品なんだけど、そのくらいは目ぇつむって読んでやらあと思わせる勢いがあったね/ 正確にミステリではない
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ミステリーとしてはメチャクチャだけど、「小説」としては最高だった( ´ ▽ ` )ノ ドライブ感というかトリップ感というか、不眠症という設定を最大限に活かして、脳内の一部分だけが妙に研ぎ澄まされていたり、時間感覚が混乱してたり、視野が狭窄していたり、「異常感」の描写がべらぼ...
ミステリーとしてはメチャクチャだけど、「小説」としては最高だった( ´ ▽ ` )ノ ドライブ感というかトリップ感というか、不眠症という設定を最大限に活かして、脳内の一部分だけが妙に研ぎ澄まされていたり、時間感覚が混乱してたり、視野が狭窄していたり、「異常感」の描写がべらぼうにうまい( ´ ▽ ` )ノ かの「タクシードライバー」のオマージュとも言えるし、作中でも触れられてる町田康にも似てる( ´ ▽ ` )ノ タイトルがまた秀逸だね( ´ ▽ ` )ノ ナンノコッチャ?、と惑わせておいて、説明されれば100%納得( ´ ▽ ` )ノ 衒学的でスタイリッシュでオタッキッシュで、厨ニ病患者にはたまんないだろうね、こういうの( ´ ▽ ` )ノ 他の作品も必ず読むよ( ´ ▽ ` )ノ 2018/07/19
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評判が高いし、文章に勢いがあるとのレビューで期待したが、『ベルカ、吠えないのか?』の古川日出夫に感じたほどの驚きはない、内容はとっても幼稚な印象を受けた。これが新しいといえばそうなのかもしれないが、著者2冊目でその凄さがわかるのか?(西加奈子の経験から笑)
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家族愛。忘れられない言葉がところどころにある。暴力で隠されてる真ん中に純粋な愛を感じた。いつでも優しく寄り添ってくれる本。
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