国盗り物語(一) の商品レビュー
久しぶりの歴史小説でしたが、面白く、且つ解りやすい描写で大変読みやすく、勉強にもなりました。 大河ドラマ、麒麟がくるで斎藤道三が好きになり、手に取りましたが、読んで良かったです。 実際の資料なんかがチラと掲載されていて、感動しました。 道三こと庄九郎は、かなりの策士家であり、ドラ...
久しぶりの歴史小説でしたが、面白く、且つ解りやすい描写で大変読みやすく、勉強にもなりました。 大河ドラマ、麒麟がくるで斎藤道三が好きになり、手に取りましたが、読んで良かったです。 実際の資料なんかがチラと掲載されていて、感動しました。 道三こと庄九郎は、かなりの策士家であり、ドラマでの 上に立つ者は正直でなければならぬ という言葉が印象的でしたが、とても正直では成り上がれないなということも教わりました。 でも、目標に対しては凄く忠実な人物でもあり、今この現代もある意味乱世のようなものなので、生きていく知恵として拝借したいなと思いました。 二巻に進みます。
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「歴史」小説ではなく歴史「小説」として屈指の出来。美濃一国を奪い取るマムシこと斎藤道三を描いたピカレスク小説の傑作の前編。 大河ドラマ「麒麟がくる」をきっかけに約20年ぶりに再読。司馬遼太郎の作品の中でも人気の高い方だろう。昔読んだ時はのちの斎藤道三、松波庄九郎があまりにハイス...
「歴史」小説ではなく歴史「小説」として屈指の出来。美濃一国を奪い取るマムシこと斎藤道三を描いたピカレスク小説の傑作の前編。 大河ドラマ「麒麟がくる」をきっかけに約20年ぶりに再読。司馬遼太郎の作品の中でも人気の高い方だろう。昔読んだ時はのちの斎藤道三、松波庄九郎があまりにハイスペックでスーパーマン的存在、現実味がなく感情移入できなかった。今回あらためて読んで評価は一変した。 歴史として読むのではなく司馬遼太郎という作家が歴史を題材に創作した人物と割り切ればこれほど痛快、魅力的な人物はいない。 鮮やかな手並み手並みで還俗した法蓮坊は松波庄九郎と名乗り、京の豪商油屋の奈良屋を乗っ取り、やがて美濃一国を国盗りの拠点と定め動き出す。 上巻は美濃国主土岐頼芸の腹心として美濃一国を奪うところまで。下巻、その後織田信長編の上下巻の4巻構成。
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戦国時代に油商人から大名にのし上がった斎藤道三が主人公。第1巻では、美濃に足掛かりを構築するまでの過程が、面白おかしく描かれている。一代で戦国大名の地位を築いたその人間力と行動力には驚かされる。なぜ、今までこの本を手に取らなかったのか不思議でならない。大河ドラマ「麒麟がくる」を見...
戦国時代に油商人から大名にのし上がった斎藤道三が主人公。第1巻では、美濃に足掛かりを構築するまでの過程が、面白おかしく描かれている。一代で戦国大名の地位を築いたその人間力と行動力には驚かされる。なぜ、今までこの本を手に取らなかったのか不思議でならない。大河ドラマ「麒麟がくる」を見始めたのが、斎藤道三を根本から知ろうと思ったきっかけで、NHKには感謝したい。大河ドラマの主人公の明智光秀はまだ登場していないが、どのように描かれるかは今から楽しみ。やはり司馬遼太郎の本は面白い。新型コロナウイルスの感染拡大で、在宅勤務となって2カ月近くが経過したが、読書のペースが急減速したことは想定外だった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
斎藤道三始まりのお話。 初歴史小説。 歴史好き初心者の私には読みやすくドンドン読めた。 けど、後に斎藤道三は2代に渡ってると知って複雑な心境… この小説のように斎藤道三1代説が本当の方が夢がありますよね。
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【いちぶん】 落ちついている。 声が、である。 その乞食は、御所の紫宸殿のやぶれ築地に腰をおろし、あごを永正十四年六月二十日の星空にむけながら、夜の涼をとっていた。 (p.9)
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若い頃の斎藤道三が主人公。浪人だった斎藤道三が、まずは商人の後家に取り入ってその家を半ば乗っ取り、それからさらに美濃国の守護にまで食い込んでゆくあたりが描かれる。どうしても戦国時代の華やかなころに興味が行きがちなので、それより一つ前の時代の斎藤道三にはあまり馴染みがなかったが、...
若い頃の斎藤道三が主人公。浪人だった斎藤道三が、まずは商人の後家に取り入ってその家を半ば乗っ取り、それからさらに美濃国の守護にまで食い込んでゆくあたりが描かれる。どうしても戦国時代の華やかなころに興味が行きがちなので、それより一つ前の時代の斎藤道三にはあまり馴染みがなかったが、実は非常に魅力的な面白い人物であることが、これを読んでわかってきた。真面目な歴史物語でも無く、娯楽ばかりの時代小説でも無く、その間のような感じの物語。
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大河ドラマの予習がてらに再読開始、★評価は読了後に。 まぁ何と言うか女性の描き方がまるでダメな感じがしますなぁ、この作家は。ご本人は性の原始性を描きたい意図があるのか定かでござらんが、若干興ざめ感があるんですよね、率直に言って。 本作の軸の一つに女性が据えられているように見受けら...
大河ドラマの予習がてらに再読開始、★評価は読了後に。 まぁ何と言うか女性の描き方がまるでダメな感じがしますなぁ、この作家は。ご本人は性の原始性を描きたい意図があるのか定かでござらんが、若干興ざめ感があるんですよね、率直に言って。 本作の軸の一つに女性が据えられているように見受けられるが故に、余計に目立つかなと。この直前に当方が読んだのが『女坂』だったのも不幸なのかも。
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人としての倫理は崩壊しているものの、その魅力と説得力でお万阿を説き伏せる姿がすごい。化け物じみているが一方で人間臭い庄九郎が好きになってしまった。
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斎藤道三さんの成りあがりっぷりを描いた歴史小説。 道三さんの冷静さと行動力、そして何よりも知識の豊富さが単なる成りあがりじゃないんだな~と思いました。 人間ってものをキレイごとじゃなくリアルで知っていて、相手を内心バカにしながらも自分の糧として自分の心を抑えて相手の懐に入る潔さ...
斎藤道三さんの成りあがりっぷりを描いた歴史小説。 道三さんの冷静さと行動力、そして何よりも知識の豊富さが単なる成りあがりじゃないんだな~と思いました。 人間ってものをキレイごとじゃなくリアルで知っていて、相手を内心バカにしながらも自分の糧として自分の心を抑えて相手の懐に入る潔さがスゴイな。
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【感想】 織田信長や豊臣秀吉、武田信玄、上杉謙信と、色んな偉大な歴史人物に溢れるこの戦国時代にて、「美濃の蝮」と称される斉藤道三にスポットが当てられた物語。 豊臣秀吉ほどじゃないにしても、牢人という立場から一国一城の主までのし上がったこの人物は本当にバイタリティと計画性に富んだ人...
【感想】 織田信長や豊臣秀吉、武田信玄、上杉謙信と、色んな偉大な歴史人物に溢れるこの戦国時代にて、「美濃の蝮」と称される斉藤道三にスポットが当てられた物語。 豊臣秀吉ほどじゃないにしても、牢人という立場から一国一城の主までのし上がったこの人物は本当にバイタリティと計画性に富んだ人物なのだなと読んでいて思った。 「国主になりたい」という思いを元に一歩ずつのし上がり、智恵と策略を持って名前の変化と共に自身もステップアップしていく様は、読んでいて本当に面白く、胸のすく思いがする。 スペックの高さもあるんだろうが、「人事を尽くして天命を待つ」この姿勢は、本当に見習わなくてはいけない。 2巻で斉藤道三編も終わりか・・・寂しいな。 【あらすじ】 世は戦国の初頭。 松波庄九郎は妙覚寺で「智恵第一の法蓮房」と呼ばれたが、発心して還俗した。 京の油商奈良屋の莫大な身代を乗っ取り、精力的かつ緻密な踏査によって、美濃ノ国を“国盗り”の拠点と定めた! 戦国の革命児斎藤道三が、一介の牢人から美濃国守土岐頼芸の腹心として寵遇されるまでの若き日の策謀と活躍を、独自の史観と人間洞察によって描いた壮大な歴史物語の緒編。 【引用】 「国主になりたいものだ。」と乞食はつぶやいた。 松波庄九郎。 智恵第一の庄九郎と呼ばれ、後に戦国諸大名を震えあがらせた斎藤道三の若い頃である。 p26 (いっぺんに天下は取れぬ。千里の道も一歩からだという。まず奈良屋の巨富を狙うことだ。) 庄九郎は文学をきわめ、兵書に通じ、武芸は神妙に達し、舞・音楽をやらせれば公家も及ばない。 これほどの才気体力があるにせよ、まずは神妙にしていた。 p55 「俺には志がある。余計な女は抱かぬ。抱けと言われても抱かぬ。そこもと、思い上がって侮蔑したゆえ、打擲を加えた。」 たった一度、女の秘所に触れただけで、これだけの徒労をした。 女とは、男にとってどういう存在なのだろう。 (女は魔道じゃな。) が、10歩も歩かぬうちに、庄九郎は小宰相のことは忘れてしまった。 p95 百もお万阿の思案を見抜いている。 「狐であろう」といったのは、庄九郎の軍略である。 そう決めつければ、身代大事のお万阿は「奈良屋の後家」という束縛から解放される。 (後腐れない淫楽ができると思い、裸か身になってわがひざに折崩れるであろう。) p163 「さてさて商いとは不自由なものよ。」 やはり武将になることだ。 一国一天下をとって、社寺からかような愚権を奪い、楽市楽座をしてしまわねば世が繁盛せぬ。 p180 「真の英雄」である斎藤道三は、エジプトの穴掘りどもには及ばずとも、日本人としては珍しく「計画」があった。 奈良屋の養子からたくみにすりかわって「山崎屋庄九郎」になりすましてしまったことは、重大なことである。 店もそのまま。 商売道具もそのまま。 手代、売り子もそのまま。 屋号だけが奈良屋でなくなり、山崎屋になってしまった。 p194 日本史上、足利幕府ほど愚劣、悪徳な政府はないであろう。 庄九郎のような京の町人にとっては、これほど有害な存在はない。 「わしは、国を盗りにゆく。」 「一国を奪ってその兵力を用い、四隣を併合しつつ、やがては百万の軍勢を整えて京へ押し登り、将軍を追って天下を樹立する。」 p198 庄九郎は策略の多い人間だが、その都度その都度、心に濃烈な真実を込めていた。 ただ、濃烈な真実は、次の瞬間には色が変ずるという虚しさも知っている。 p233 まだ来ぬ、というのは、美濃の実力者長井利隆からの使いがである。 来ぬとあれば、長井が庄九郎をよほど警戒したか、それともこの国の貴族社会に紹介するに足りぬ人物とみたか、どちらかである。 (待つことさ。) 庄九郎の処世観では、世の中は「やる」と「待つ」の二つしかない。 待つということも重要な行動なのである。
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