ペスト の商品レビュー
コロナ禍のいま読むと、高校時代に読んだ時よりも現実感を持って読んだ。 ペストと判明せず「何かおかしい」と感じる主人公、徐々に実態がわかり対策がとられるものの混沌としていく社会的は、まさに我々もまったく同じ。 昔から繰り返されていることが、いま、起きているんだ、と実感させられる。
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※このレビューにはネタバレを含みます
物語が進むにつれ、登場人物の内面が描かれていくのが興味深かった。封鎖された町で見つめるのは自分しかいないのだと思った。 いつも誠実であろうとし職務を全うするリウー、踏みとどまる者となることを説いたパヌルー神父、罪から逃れたいコタール、死刑に対し抵抗し続けたタルー、胸を張って生きる道を選んだランベール、出来ることをやり遂げるグラン。感染症の危機に晒されなければここまで関わり合うことの無かったであろう人々が、それぞれの問題を抱えながら影響し合っていた。これまでの生活をガラッと変えねばならないような状況下で、人間としてどう生きるか、どう死ぬか、と問いかけてくるような作品だった。 ペストに脅かされたこの数ヶ月間で決定的な変化が幾人かの中に起きたのは意外だった。ひとつの経験なのだから、元通りに戻るなんてことは最初から有り得なかったかもしれない。新型コロナもこれと同様、経験しなかった頃には戻れないはずだ。
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「それに私には気持ちがいいんですからね、ペストのなかで暮らすのが」作中でのコタールの言葉から引用。 通常の社会では閉め出され、日陰者として生きているコタールが、ペストによって自由を手に入れているのが興味深く、協力要請も清々しい程きっぱりと断っているのが、もはや天晴な印象すら受け...
「それに私には気持ちがいいんですからね、ペストのなかで暮らすのが」作中でのコタールの言葉から引用。 通常の社会では閉め出され、日陰者として生きているコタールが、ペストによって自由を手に入れているのが興味深く、協力要請も清々しい程きっぱりと断っているのが、もはや天晴な印象すら受けた。 かくいう私も、あまり意味のない対面の面会から解放されるという、コロナの恩恵に預かった。私の中にコタールはいるようだ。 じっとりとした陰鬱さ漂う一冊でした。
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一つの街で起こった感染症によるパニックを淡々と記録するような文章。感染症がまん延したときの、楽観視、理不尽への怒り、厭世化する世論は今の世の中でも共通するところがある。
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伝染病が蔓延した都市でどんな人が現れ、それぞれどんな気持ちになり、どんな行動を取るのか知ることができる作品だった。感想としては本を取った時の期待感に対して満足度が低かったため星3にしました。 読んだタイミングがよくなかったのかもしれないですが、もうコロナも慣れ過ぎてしまったので...
伝染病が蔓延した都市でどんな人が現れ、それぞれどんな気持ちになり、どんな行動を取るのか知ることができる作品だった。感想としては本を取った時の期待感に対して満足度が低かったため星3にしました。 読んだタイミングがよくなかったのかもしれないですが、もうコロナも慣れ過ぎてしまったので、「まぁそんな気持ちになったり行動するよね〜」って思うことが多かったです。また、ペストの時と比べて今は文明が進化しているので、対応も迅速だし社会も当時よりグローバルだからあまり得られるものもなかったかな、という印象。小説としては良くも悪くも普通に面白かったです。
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ペストの感染拡大防止のために、市内の鉄道から道路まで、市外と繋がっているパイプラインは全て遮断する。外出制限が出ることで、市民は精神的な部分で多くの大変な思いをする。 まさに今の新型コロナウイルスと似ている部分が多いなと思った。 医師リウーの恐怖の感染症ペストと諦めずに立ち向か...
ペストの感染拡大防止のために、市内の鉄道から道路まで、市外と繋がっているパイプラインは全て遮断する。外出制限が出ることで、市民は精神的な部分で多くの大変な思いをする。 まさに今の新型コロナウイルスと似ている部分が多いなと思った。 医師リウーの恐怖の感染症ペストと諦めずに立ち向かう姿に感動した。リウー以外の主人公も個性的で、時にはリウーの支えにもなり、いい関係だなと思った。 ランベールは市から脱出しようと試みるも、次第に考えが変わり、最終的にはリウーたちといることを決めた所が、個人的にはいい場面だと思う。
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ペストの世界観と、コロナウィルスの世界観ご重なるのは、どんなに文明が進んでも、危機に瀕した時のひとの行動は大きく変わるものではないと言うことでしょうか。 アルジェリアの医師のリウーの元、ペストの発生から収束までを、新聞記者のランベールなど、関わったひとの行動や思考を通じて、ペスト...
ペストの世界観と、コロナウィルスの世界観ご重なるのは、どんなに文明が進んでも、危機に瀕した時のひとの行動は大きく変わるものではないと言うことでしょうか。 アルジェリアの医師のリウーの元、ペストの発生から収束までを、新聞記者のランベールなど、関わったひとの行動や思考を通じて、ペストで閉鎖された世界を描く。 個人的には、ランベールの行動に肩入れしてしまう。最初は街からの脱出を試みるが、次第に街に残り、行く末を見る方向に動く。 今でこそ、科学的見地でコロナの様なウィルスを分析するが、当時は、宗教の様に、神に頼ることしかできなかった。今でも、あまりに無力な状態の時にはひとは祈ることしかできないと思えば、当然のことかもしれない。 経済的にペストで儲けるひともいた。これも、今回のコロナと被るところがあります。 歴史は繰り返すし、ひとの本質は何も変わらないということかもしれません。 カミュの様な文学の良さはまだまだ分かりませんが、たまには名作を読むのも良い時間に感じました。
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2022年4月18日読了。アルジェリアのオラン市で発生した不審な鼠たちの突然死、エスカレートしていくその事件はやがて「ペスト」と特定され…。コロナ禍の現代に再度話題となった、1946年刊行の当時のベストセラー作品。本当にあった事件をカミュが観察して書いたとしか思えない描写、特にペ...
2022年4月18日読了。アルジェリアのオラン市で発生した不審な鼠たちの突然死、エスカレートしていくその事件はやがて「ペスト」と特定され…。コロナ禍の現代に再度話題となった、1946年刊行の当時のベストセラー作品。本当にあった事件をカミュが観察して書いたとしか思えない描写、特にペスト発生当初「それをペストと断定するのか・責任を誰が取るのか」という観点で議会が時間稼ぎを試みるあたり、まさに2020年の頃の混乱を思い出すリアリティで小説の力を感じる…。隔離された街に生まれる絶望やその中でもうまく闇で立ち回る人々、人々の窮状を見て支援に立ち上がる人々、ペスト禍の中で逆にいきいきしてくる人など、これほんとにフィクションで書いたの?実に面白く、読み終わった後も考えさせられるお話だった。
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未知の病(厳密には昔滅びたはずのペストか)に警鐘を鳴らす真っ当な医師、混乱を招きたくないので事実公表を引き延ばしたがる権力側、良くも悪くも病に人生を変えられた市井の人々。恋人と離れ離れになった人、社会機能が止まって逆に生きやすいと感じる人、困難の中で愛を見つける人、描写全てがコロ...
未知の病(厳密には昔滅びたはずのペストか)に警鐘を鳴らす真っ当な医師、混乱を招きたくないので事実公表を引き延ばしたがる権力側、良くも悪くも病に人生を変えられた市井の人々。恋人と離れ離れになった人、社会機能が止まって逆に生きやすいと感じる人、困難の中で愛を見つける人、描写全てがコロナ禍での社会の変容と同じ道を辿っていると感じた。これはフィクションとは思えない。。ぞっとする、だがしかし現在の若干の居心地のよさ(余計な飲み会ないみたいな)を感じる自分は残念なきがするわ。。例え終わりがみえて収束されようとコロナ以前と以後は同じではないだろう。この世界は螺旋状だ、同じようで違う座標に進んでるんだろうね。
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不条理に対する人間たちの、ある種本能的な、反抗の一部始終が記録されている。 ただ、為すべきことを為す。それが一番本人にとってもいいんだろうな。 邦訳がバグっていて、文体になれるまでは非常に読みにくい。英訳も微妙らしいので、いつか原文で読めるといいな。
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