1,800円以上の注文で送料無料

カラマーゾフの兄弟(中) の商品レビュー

4.1

149件のお客様レビュー

  1. 5つ

    58

  2. 4つ

    42

  3. 3つ

    27

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2017/09/09

いくつもの対立構造が描かれる。 無垢な子供が犠牲になる現世の理不尽さに絶望し、「そんな代価を支払わなければならないのなら天国などいらない」と告白するイワンの苦悩と、理不尽に子供の命を奪われながらも信仰を捨てなかったヨブの話を引き合いに出し、苦しみながらも「汝の敵を愛せ」の教えを...

いくつもの対立構造が描かれる。 無垢な子供が犠牲になる現世の理不尽さに絶望し、「そんな代価を支払わなければならないのなら天国などいらない」と告白するイワンの苦悩と、理不尽に子供の命を奪われながらも信仰を捨てなかったヨブの話を引き合いに出し、苦しみながらも「汝の敵を愛せ」の教えを実践し、愛による全人類の救済を信じたゾシマ長老の希望。 相反する二人の思想の狭間で、敬愛するゾシマ長老に起きた逆の意味での「奇蹟」に混乱しながらも、神の愛の大きさを受け入れたアリョーシャの姿は、人間が変わる瞬間の描写として見事としか言いようがない。 地獄とは苦痛ではなく「誰かを愛したいと思っても自分がもう誰も愛することができないことに気づく絶望」というゾシマ長老の教えには、愛に対する揺るぎない信頼がある。 ゾシマ長老、そしてその意思を継いだアリョーシャは悲惨なこの世の姿は、いつか天国につながると信じているのだろう。 現実はますます希望から遠ざかっている。イワンの思想は「反逆だ」とアリョーシャは呟いたが、それでもイワンに同意する人間は多いはずだ。 自らの罪深さを自覚している人間は、一本の葱による許しの有難さに救いを求める。人類の罪の犠牲者に心を痛める人間は、許しの代償のあまりの大きさに救いを拒む。 ゾシマ長老に若き日の罪を告白した男の苦悩と、ドミートリィの告白も対になっている。真実は確かに存在しているのだが、人間は真実を知ることができない。 男は自分が有罪であることを知っている。同時に、いくつもの偶然が重なった結果、自分が告白しない限り、誰も真相を知らないことに思い悩む。 ドミートリィは無罪である。しかし、すべての証拠がドミートリィの有罪を裏付けており、ドミートリィ自身もそれを理解している。 結果として犯した罪と受ける罰の均衡は取れているのだが「それでいいのか」という観点で見ると、人間が理解できる範囲での善悪の判断と、神の意思による裁きという問題が浮かび上がってくる。

Posted byブクログ

2017/08/30

ドミートリィが肝心の殺害にまつわる議論よりも、服を脱がされることや金を使い切ったか否かという瑣事に拘るのがおもしろい。

Posted byブクログ

2017/04/06

2017年1月21日読了。 ミーチャが馬車をすっとばしていくシーンはまさに劇的でとても良い。滑稽なのに感動してしまう不思議さ。 ジェットコースターに乗っているような読後感。

Posted byブクログ

2017/02/19

 第六編の三「ゾシマ長老の法話と説教から」が良かったかな~ いよいよ『カラマーゾフの兄弟』最大の見せ場、下巻へ

Posted byブクログ

2016/07/22

上巻に比べて割りと読みやすいし、後半はストーリーが動きだしてするすると読めた。 犯人はいったい誰か? ということに興味をそそられてくる。 ストーリー以上に重厚で厚みがあり、必ずと言っていいほど、進みかけた逆方向にベクトルが向き、これからの展開を安易に示さないところがドストエフ...

上巻に比べて割りと読みやすいし、後半はストーリーが動きだしてするすると読めた。 犯人はいったい誰か? ということに興味をそそられてくる。 ストーリー以上に重厚で厚みがあり、必ずと言っていいほど、進みかけた逆方向にベクトルが向き、これからの展開を安易に示さないところがドストエフスキーの魅力なのかもしれない。

Posted byブクログ

2016/05/14

中巻も長かったけど、読み始めたら一気に読み終えることができた。 ってかついに一線を越えてしまったな~。中巻だとまだ誰が殺したかわからないけど、殺されるフラグは立っていたよね。それにしてもドミートリイがサムソーノフに言われて、セッターのところに相談に行くシーンがめちゃくちゃウケたん...

中巻も長かったけど、読み始めたら一気に読み終えることができた。 ってかついに一線を越えてしまったな~。中巻だとまだ誰が殺したかわからないけど、殺されるフラグは立っていたよね。それにしてもドミートリイがサムソーノフに言われて、セッターのところに相談に行くシーンがめちゃくちゃウケたんだけど、おれだけだろうか。このシーンだけは、ドミートリイばかだな~とか思いながら本当に笑ってしまった(笑) 中巻は本当にドミートリイが主役って感じなくらいミーチャのインパクトが強い。(無駄に呼び方変えてみた笑)実際ミーチャのヒステリックな性格見てると人を殺しかねないよなって思う。セッターだって何も悪くないのに、ただ腹が立ってるというだけで殺されてもおかしくなかったし。 中巻はあとグルーシェニカの変わりようがおもしろかった。フョードルもミーチャも捨てて、ポーランド人のところに行ったはずなのに、一夜のうちに180度考え方が変わる感じ(笑)何かレビュー書いてて、ジョジョでいうチョコラータが死んだあとのセッコを思い出した(笑) それにしてもカラマーゾフの兄弟読んでいると恋愛脳っておそろしいよね。もう恋愛によって一つの行動が決定されるみたいな。逆にイワンとアリョーシャはどれだけ冷静なんだと思わざるを得ない。けど、恋愛脳による行動というのは非常に人間的だなとも思う。世の中って大体そんな感じだしね。 レビュー書きながらパラパラ中巻見ていたら、ゾシマ長老が亡くなったのを忘れていた。なんということだ。ミーチャのインパクトが強すぎたということにしておこう(笑) まぁ総じてカラマーゾフの兄弟はめっちゃおもろいよね。ドストエフスキーはやっぱりすごい!

Posted byブクログ

2016/01/01

いよいよ面白くなってきた。 中巻ではほとんどがミーチャのシーンだ。 尋問を受けているときのミーチャの二転三転っぷりが本当に面白い。 ロシア的というか古典文学的というかオペラ的というか、重い空気なのにどこか笑えてしまう。 ドラマではイワンを軸にしてストーリが転回するが小説では...

いよいよ面白くなってきた。 中巻ではほとんどがミーチャのシーンだ。 尋問を受けているときのミーチャの二転三転っぷりが本当に面白い。 ロシア的というか古典文学的というかオペラ的というか、重い空気なのにどこか笑えてしまう。 ドラマではイワンを軸にしてストーリが転回するが小説ではミーチャなのかな。 ドラマを見ていたので犯人は誰かわかっているが、もしわからなかったらどういう気持ちでこのストーリーを読み進めていただろうと思うと、犯人を知らずにこの本を読めなかったことに対して少し後悔。 あと、グルーシェニカってそんなに魅力的な女性なんだと興味を持った。 今日本屋で下巻を買って早速読む。

Posted byブクログ

2015/12/25

上巻あたりからドライブし始めた物語はますます加速し、圧倒的なポリフォニーの渦潮に読者を巻き込む。 中巻では主人公であり本作品の多彩な登場人物の中で最も常識を感じさせ読者を安心させる三男アリョーシャが長老の死に直面する場面と、対象的に俗物中の俗物(もっともアリョーシャ以外の登場人...

上巻あたりからドライブし始めた物語はますます加速し、圧倒的なポリフォニーの渦潮に読者を巻き込む。 中巻では主人公であり本作品の多彩な登場人物の中で最も常識を感じさせ読者を安心させる三男アリョーシャが長老の死に直面する場面と、対象的に俗物中の俗物(もっともアリョーシャ以外の登場人物の9割以上は俗物だと思うが)として描かれる長男ドミートリイの嫉妬に狂った恋心と父殺しの嫌疑の場面が主に描かれる。 この中巻からページを進めるのは止まらなくなり、このドライブに身を任せていざ下巻へ。

Posted byブクログ

2015/12/02

中巻を読み終えて、一番大好きでたまらないシーンがある。 それは、アリョーシャが大地を抱きしめ、大地全体に接吻する。 永遠に愛することを、そして、すべてに対してあらゆる人を赦し乞い願い祈る。 師と慕っていたゾシマ長老が亡くなり、泣き嗚咽しながら大地にひれ伏す姿が美しく、しばらく印...

中巻を読み終えて、一番大好きでたまらないシーンがある。 それは、アリョーシャが大地を抱きしめ、大地全体に接吻する。 永遠に愛することを、そして、すべてに対してあらゆる人を赦し乞い願い祈る。 師と慕っていたゾシマ長老が亡くなり、泣き嗚咽しながら大地にひれ伏す姿が美しく、しばらく印象に残っていた。 か弱かった青年が立ち上がったときには、一生変わらぬ堅固な闘志となり、長老の言葉を胸に抱き、三日後には修道院を出た。 人生の変り目時には、衝撃的な出来事とともに、誰かから力強く背中を押される体験が何かしらあるものなのだろうか。

Posted byブクログ

2015/09/26

20150926 上巻よりは読みやすい。 ゾシマ長老の「あらゆる人を愛し、あらゆるものを愛せよ」という教えは、たとえ物語の中の登場人物とはいえ敬服すべきものがある。

Posted byブクログ