鳩のなかの猫 の商品レビュー
女子校で起きた殺人事…
女子校で起きた殺人事件をポアロが推理する。宝石盗難事件を絡めて面白く読ませる。
文庫OFF
ポアロもの。 中東のラマット王国で革命が勃発。 国王のアリは、お抱えパイロットのボブに莫大な価値を持つ宝石を託します。 ボブはその宝石を“とある場所”に隠し、その後アリと共に国外脱出を図るも後日彼らの死亡が確認されてしまいます。 一方、ボブの姪にあたるジェニファーが通う名門女子...
ポアロもの。 中東のラマット王国で革命が勃発。 国王のアリは、お抱えパイロットのボブに莫大な価値を持つ宝石を託します。 ボブはその宝石を“とある場所”に隠し、その後アリと共に国外脱出を図るも後日彼らの死亡が確認されてしまいます。 一方、ボブの姪にあたるジェニファーが通う名門女子校・メドウバンクで新任の体育教師が射殺されるという事件が発生して・・。 宝石の行方と女子校で起こった殺人事件という二つの謎を巡る、サスペンス&ミステリ仕立ての内容です。 さらに、学校が舞台ということで生徒達や教職員の人物描写が冴えわたり、例えばメドウバンク校長であるバルストロード先生の、今後の学校経営(方針)を踏まえての後継者をどうするかという葛藤等、登場人物達の心情が丁寧に描かれているのが、さすがクリスティーですね。 本書は、ポアロものとしては異色と言っていいほどポアロが全然出てこなくて、ポアロものだということを忘れた頃にようやく登場します。 因みに、今回ポアロに事件解決を依頼する少女・ジュリアの知人・サマーヘイズ夫人って『マギンティ夫人は死んだ 』での“ポアロの残念な滞在先”のご婦人ですよね?(違っていたらスミマセン) で、ポアロが登場するともう急展開で、サッサと情報収集して、ちゃっちゃと解決しちゃうという・・・うん、これぞポアロ!って感じでございます~。 犯人については、“第二の殺人”が意外な真相でして、それが解ったと同時に思わぬ悲劇が起こってしまったことに、しばし唖然となりました。 そして、肝心の宝石の最終的な所有についてですが、個人的にはなかなか粋なオチだったのでは?と思っております。 ところで、今回何気にご活躍のジュリアでしたが、彼女の母親・アップジョン夫人も、犯人特定のキーパーソンということで、太川陽介&蛭子能収ばりに“トルコ・アナトリア地方、ローカルバスの旅”を満喫していたところを強制帰還させられていましたので、この度ジュリアが“ご褒美”を貰えたこともあり、今度は母娘一緒に豪華な旅でも楽しめたら良いかも・・と勝手に思った次第です~。
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どちらかといえばサスペンスタッチの印象。 犯人が全く予想できないが、しっかり伏線は張られていて演出のうまさは流石。
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※このレビューにはネタバレを含みます
これまでの作品の中で、トップクラスに犯人の目星がつかず、思考を巡らされた作品だった。 怪しいと思われる人が殺されたり、白と思われている人が実は怪しい人のうちの1人だったりと、面白い論理の展開だった。
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ポアロシリーズだということを忘れてしまうくらいポアロが出てこない。 名門女子校で起こる殺人事件と中東の王国での革命騒ぎ。 この2つの出来事が徐々に繋がっていき、全容が見えてくるという構成が面白い。 個人的に、物語の舞台が屋敷とか豪邸ではなく“学校”であることに新鮮さを感じた。 メ...
ポアロシリーズだということを忘れてしまうくらいポアロが出てこない。 名門女子校で起こる殺人事件と中東の王国での革命騒ぎ。 この2つの出来事が徐々に繋がっていき、全容が見えてくるという構成が面白い。 個人的に、物語の舞台が屋敷とか豪邸ではなく“学校”であることに新鮮さを感じた。 メインキャラのほとんどが女であり、彼女達の思惑が交錯するストーリーも良かった。
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物語は壮大に二つのパートにわかれている。 一つは革命が起きた中東の地ラマット。国王であるアリは信頼出来る友人のボブと国からの脱出を目論見ながら、王家に伝わる宝石をボブに託す。ボブは人知れず宝石を国外に持ち出す算段をつけて行動する。その後、革命に巻き込まれて彼らは命を落とすが、肝...
物語は壮大に二つのパートにわかれている。 一つは革命が起きた中東の地ラマット。国王であるアリは信頼出来る友人のボブと国からの脱出を目論見ながら、王家に伝わる宝石をボブに託す。ボブは人知れず宝石を国外に持ち出す算段をつけて行動する。その後、革命に巻き込まれて彼らは命を落とすが、肝心の宝石は行方知れずのまま。 一つはロンドン郊外にある名門女子校メドウバンク校。バルストロードは一代でメドウバンク校を立ち上げたやり手の校長。学校は倍率も高く王族等も通う。特徴的な教員が在籍しており、優秀な人達が多い。 今作はこの二つの側面が合わさって、サスペンスミステリーの様相を持つ。謎解きの中心はメドウバンク校での事件であり、ラマット国の革命はバックボーン的なイメージだが、彼の国から持ち出された宝石がとある理由からメドウバンク校に持ち込まれていると考えられる事が事件が発展する要因になる。 警部のケルシーやスパイのアダムも魅力的ではあるが、最大に貢献したのはジュリアという女学生であり、彼女が「マギンティ夫人は死んだ」に出てくるサマーヘイズ夫人の姪っ子でポアロの噂を聞いており、学校を抜け出して彼に相談にきた事、更には今までの事件からとある事実を推測し確信に触れている部分は優秀で、彼女がポアロに相談しなければ間違い無く事件は解決しなかっただろう。 人物として、校長であるオノリア・バロストロードはとても優秀な人物で、考え方や人の導き方、生き方がとても立派で、外国人として対面してきたポアロにも偏見などを持たずに相対している。また、元諜報部員のサットクリフ婦人も個性があり、彼女を捕まえれば事件は難なく解決だった訳だが、旅をしており終盤まで警察も協力要請出来なかった。メドウバンクはこの後とても難しい試練を進むが、バロストロード校長をはじめ困難に立ち向かう人物が魅力的に描写されていてきっと上手く立ち直るだろうと予測できる。 事件を整理した上で犯人は学校に潜入しており、必ず誰かに化けているはずで、ポアロは捜査として先生方の親まで調べ上げ捜査をする。ポアロ自体登場は終盤になるが必要な部分を効果的に調査し事件を真相へと導く。また、犯人判明した後もとある理由で読者は驚かさるわけだが、流石はクリスティ、一筋縄ではいかない仕掛けだ。物語の結び方も好きで、そういう結末もいいなあと感じた。国王が海外に持ち出そうと策略した巨額な宝石を巡るサスペンスミステリーだ。
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イギリスの名門校で教師が殺害される。その少し前に起こった中東での革命で、莫大な価値を持つ宝石が消え失せた。この二つの事件の関連は? ここに誘拐事件なんかも絡んできて、事件だらけ。ポアロも中々出てこない!!
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名門女子校で女性教師が殺害される。いかにもサスペンス、ミステリーに向いた設定。タイトル「鳩のなかの猫」とは言い得て妙。肝心の名探偵ポアロは中盤まで中々出てこないが、終盤の謎解きはあっぱれ。
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アガサ・クリスティの小説の中でも異質な女学校が舞台となった作品です。さらに謀略のにおいが冒頭からしています。職員も含めて女しかいない学校、しかもそこで次々と起こる殺人事件の背後には、どうやら某中東国の財宝がからんでいるのではないか、ということで、この設定だけで十分読むのにそそられ...
アガサ・クリスティの小説の中でも異質な女学校が舞台となった作品です。さらに謀略のにおいが冒頭からしています。職員も含めて女しかいない学校、しかもそこで次々と起こる殺人事件の背後には、どうやら某中東国の財宝がからんでいるのではないか、ということで、この設定だけで十分読むのにそそられました。本書は登場人物もなかなか個性的でいいです。先生陣、生徒たち、そして母親と基本的に女性しか登場しませんが(ポワロもかなり後半での登場)、それぞれが全然違う個性を持っているので、頭の中で整理しやすかったです。あいかわらず難しい犯人探しやその動機など、アガサ・クリスティの切れ味鋭い筋書き作りは健在です。連続殺人事件が起こるにもかかわらず、かわいらしい女学生の活躍や謀略サスペンス的な要素が、本書をなんだか爽やかな物語にも仕立て上げています。凄惨で陰鬱な推理小説に飽きた方、そういうのが嫌いな方はぜひ本書を読んでみてください。
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※このレビューにはネタバレを含みます
ポアロシリーズはあと6冊。革命で身の危険を感じた中東ラマット王子は家宝の宝石を友人に託したが、飛行機事故で友人とともに死亡。宝石の行方は?そして話は一変する。イギリスの名門女子高メドウバンク校で、新任教師が何者かに殺害される。さらに、中東の王女が誘拐事件、第二の殺人まで起きる。1人の女子学生が宝石を発見し、ポアロに助けを求め一時避難する。殺人と宝石、登場人物の教師たちが癖ある人物で犯人を絞れない・・・色々調査したポアロが最後にはすべて解決した。ただ、この表紙絵は何だったんだ?今回も犯人予想、完敗。⑤
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