鳩のなかの猫 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
国外に持ち出された宝石と、メドウバンク校の殺人事件。 どの事象が宝石に関係するのか? 誰がどう絡んでるのか? ポアロはいつ来るのか? と言う部分を気にしながら読んでました。
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「アガサ・クリスティ」の長篇ミステリー『鳩のなかの猫(原題:Cat Among the Pigeons)』を読みました。 「アガサ・クリスティ」作品は、10月に読んだ『愛国殺人』以来ですね。 -----story------------- 中東の王国で起きた革命騒ぎのさなか、...
「アガサ・クリスティ」の長篇ミステリー『鳩のなかの猫(原題:Cat Among the Pigeons)』を読みました。 「アガサ・クリスティ」作品は、10月に読んだ『愛国殺人』以来ですね。 -----story------------- 中東の王国で起きた革命騒ぎのさなか、莫大な価値をもつ宝石が消え失せた。 一方、ロンドン郊外の名門女子校、メドウバンクにも事件の影が忍び寄る。 新任の体育教師が何者かに射殺されたのだ。 ふたつの謎めいた事件の関連は? 女子学生の懇願を受けて、ついに名探偵「エルキュール・ポアロ」が事件解決に乗り出した。 ----------------------- 1959年に刊行された「エルキュール・ポアロ」シリーズ長編第28作目の作品、、、 タイトルの『鳩のなかの猫』は、女学生(鳩)達の園である学園に殺人者(猫)が紛れ込んでいるという意のようです。 また、中東ラマット国での革命の描写は、「アガサ・クリスティ」が夫とともに、毎年のように遺跡の発掘作業に赴いていたイラクにおいて、1958年に発生した(王政が廃止され、共和制へ移行)がモチーフになっているらしいです。 ■プロローグ・夏季学期 ■1. ラマット国の革命 ■2. バルコニイの女 ■3. ロビンスン氏登場 ■4. 旅行者帰る ■5. メドウバンク校からの手紙 ■6. 最初の頃 ■7. 風向き ■8. 殺人 ■9. 鳩の群のなかの猫 ■10. 奇想天外な話 ■11. 会談 ■12. 古いランプと新しいランプとの交換 ■13. 破局 ■14. ミス・チャドウィック眠られぬ夜を過す ■15. 殺人事件は繰返す ■16. 室内競技場の謎 ■17. アラディンの洞窟 ■18. 協議 ■19. 協議のつづき ■20. 雑談 ■21. 手がかりの整理 ■22. アナトーリアでのできごと ■23. 大詰め ■24. ポアロの説明 ■25. 遺贈 ロンドン郊外の名門女子校メドウバンクを舞台に、室内競技場で連続して発生する女性教師の殺人事件、、、 ラマット国の国王の従妹である「シャイスタ王女」の転入、ラマット国から持ち出された莫大な価値を持つ宝石の謎、引退を考えている「バルストロード校長」の後継者に関する悩み、女生徒「ジェニファ・サットクリフ」のテニスラケットを母親から預かったと偽って新品と交換してくれた謎の女性… 等々の伏線が、利発な少女「ジュリア・アップジョン」の機転と、「エルキュール・ポアロ」の灰色の脳細胞によって解き明かされる展開。 登場人物が多く、序盤はちょっともどかしい展開でしたが、それぞれの人物像や事件の背景を理解するためには必要な内容なんでしょうね、、、 後半の329ページになって、ようやく「エルキュール・ポアロ」が登場… その後は、小気味よい展開で一気に事件が解決に向かいます。 女性教師が三人殺されるのですが… 同一犯が同一の目的・動機で行った犯行と思い込んでしまうところが、真相をミスリードしてしまう展開になっていましたね。 そして、校長秘書「アン・シャプランド」の正体を知っていた「ジュリア・アップジョン」の母親、、、 「バルストロード校長」が序盤の「アップジョン夫人」の言葉を聴き逃していなければ… という伏線の配置の仕方も、巧いなぁ と感じました。 以下、主な登場人物です。 「オノリア・バルストロード」 メドウバンク校の校長 「エリナー・ヴァンシッタート」 ドイツ語・歴史の教師 「チャドウィック(チャディ)」 数学教師 「アイリーン・リッチ」 英語と地理の教師 「アンジェール・ブランシュ」 仏語教師 「グレイス・スプリンガー」 体操教師 「エルスペス・ジョンスン」 舎監 「アン・シャプランド」 校長秘書 「アダム・グッドマン」 園丁 「ジェニファ・サットクリフ」 メドウバンク校生徒 「シャイスタ」 メドウバンク校生徒。王女 「ジュリア・アップジョン」 メドウバンク校生徒 「ジョアン・サットクリフ」 ジェニファの母親 「ボッブ・ローリンスン」 ジョウンの弟。ラマット国王のパイロット 「アリー・ユースフ」 ラマット国の国王 「ロビンスン」 謎の人物 「パイクアウェイ」 陸軍大佐。特捜部主任。 「ケルシー」 ハースト・セント・サイプリアン署捜査課警部 「エルキュール・ポアロ」 私立探偵
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めちゃめちゃ面白かった! 有閑倶楽部の第一話、ルビーをめぐって起こるてんやわんやを思い出した。 アダムのイメージは完全にコナンの安室さん。 いつまでたってもポアロ出てこねぇ…と何回も残りページ数確認してしまった。
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スリリングな展開で面白い。 最後、ポアロの謎解き劇場で人が殺されてしまうのはポアロらしくない!って感じ...そこだけスッキリしない...
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久しぶりのアガサクリスティ。 ぐいぐい読んどいて何だけど、話がとっ散らかってた印象。登場人物も多いし、無駄に読者をひっかけようとしてる感じでいつものスマートさが無いかな、、 ただ、辛辣な人物描写は健在。 最初の犠牲者のミススプリンガーのことを、 「あの人を葬ってしてしまいたい...
久しぶりのアガサクリスティ。 ぐいぐい読んどいて何だけど、話がとっ散らかってた印象。登場人物も多いし、無駄に読者をひっかけようとしてる感じでいつものスマートさが無いかな、、 ただ、辛辣な人物描写は健在。 最初の犠牲者のミススプリンガーのことを、 「あの人を葬ってしてしまいたいと思うほど、切実に、彼女を愛したり憎んだりする人間があろうとは思えません」 銀行強盗に入られて殺されてたとしても出納係として殺されるのであり、グレイススプリンガーとしてではない、そんな他者と自分の関係性を無意識でもわかっていたから人のことを詮索したのだろう、と、同僚に語らせている。 うーん、絶対にモデルが居たと思う。恐ろしや、、 ジュリアのことはアガサ女史が気に入ってたのがよく分かる。頭の回転が早く、機転が効き、豊かな感情も持ち合わせながら実際的、行動力もある。彼女に無事でいて欲しく、ポワロが出てきた時は私も安心した。 というか、ポワロ、出てくるのが遅すぎる!残り三分の一の段階!?シリーズ間違えたかと思った。。 アリとボブも無事でいて欲しかった。人が死に過ぎるのもこの作品を異色のものにしている。 女子校の校長の考え方(保守的でなく現在、に意識がある人を後継者にしたい)やアイリーン・リッチ先生の生き方が丁寧に語られている。ここは物語の筋とは別にアガサ女史が絶対的に伝えたかったことなのだろう。 個人的には金銭的に恵まれている家の子供から優秀な子供を選抜するだけでなく、そうじゃない家の子供にも光を当ててこそ一流なのでは?と感じたけど。 またいつもながら、いちいち女性の美醜など容姿の描写が細かいし、時代的背景に女性の生きづらさを感じさせる。 ミスチャドウィックは可哀想だったな、、 最後まで読むと宝石に目を眩ませない女性、それがアガサ女史の理念だったのかも。 もはやストーリーよりアガサの思想の方が気になってくる、そんな作品だった。
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中東のラマット国の伝家の宝石の行方をめぐる殺人事件。 イギリスの良家の子女の集まるメドウバンク女子校で続けて起きた教師殺人事件、片や中東のラマット王国では革命が起き、逃亡しようとした国王とイギリス人飛行士が死亡し、同時に伝家の宝石も行方不明となった。メドウバンク校の生徒にはラマ...
中東のラマット国の伝家の宝石の行方をめぐる殺人事件。 イギリスの良家の子女の集まるメドウバンク女子校で続けて起きた教師殺人事件、片や中東のラマット王国では革命が起き、逃亡しようとした国王とイギリス人飛行士が死亡し、同時に伝家の宝石も行方不明となった。メドウバンク校の生徒にはラマット国王の従妹や、死んだ飛行士の姪も通っていた。 宝石の隠し場所をめぐり、聡明で勇気のある女子高の生徒がかねて知っていたポアロに1人で相談に行く下りはどきどきする。 奇想天外ともとれる冒険とすぱっとした解決。そして最後の最後のオチで国王のイギリスでの秘密も示され、めでたしめでたし。 1959発表 2004.7.15発行 2012.11.25第5刷 図書館
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エルキュール・ポアロシリーズ#31。 名門女子校を舞台に繰り広げられるスパイ小説。鳩の中に猫を放った・・・というアナロジーである。
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名門女子校で起こった教師3人の殺人事件と生徒の誘拐事件。 中東の国王の自家用機墜落事故に伴って紛失した宝石の行方を動機に絡めて、面白い展開を見せ、ミステリーの物語としての膨らませ方はすばらしい。特に面白いと感じたのは、アラジンの「古いランプと新しいランプの交換」になぞらえたラケッ...
名門女子校で起こった教師3人の殺人事件と生徒の誘拐事件。 中東の国王の自家用機墜落事故に伴って紛失した宝石の行方を動機に絡めて、面白い展開を見せ、ミステリーの物語としての膨らませ方はすばらしい。特に面白いと感じたのは、アラジンの「古いランプと新しいランプの交換」になぞらえたラケットの交換。ジュリアの母親が学期はじめに見かけた意外な人物「鳩のなかの猫」の正体を、母親がトルコにバス旅行に行っていることにして、不明のままストーリーを進めていくところも巧い。 一方、真相はやや拍子抜け。誘拐事件の真相にひねりがあるものの、殺人事件の真相には意外性に欠け、禁じ手ではないが、それに近いもの。現実的には起こりえることだし、それによって犯人が隠蔽されてはいるが、物足りなさを感じた。
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あとがきにも書いてあったけど、推理小説というよりはサスペンス小説。普通なら簡単に登場人物の紹介が終わった後ですぐに事件が起きるのだけど、殺人事件が起きるのはかなり後の方だし、ポアロは終盤にならないと出てこない。謎解き要素もいまいちだし。まあサスペンス小説として読めば悪くはないけど...
あとがきにも書いてあったけど、推理小説というよりはサスペンス小説。普通なら簡単に登場人物の紹介が終わった後ですぐに事件が起きるのだけど、殺人事件が起きるのはかなり後の方だし、ポアロは終盤にならないと出てこない。謎解き要素もいまいちだし。まあサスペンス小説として読めば悪くはないけど。 あと、私はポアロ物というと1920-30年代というイメージがあるのだけど、これの舞台は1950年代後半。「ゲシュタポ」とかいう単語が出てきてちょっととまどったり。
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原書名:Cat among the pigeons 著者:アガサ・クリスティ(Christie, Agatha, 1890-1976、イングランド、小説家) 訳者:橋本福夫(1906-1987、宍粟市、アメリカ文学)
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