まぶた の商品レビュー
安定の小川洋子さん、何気ない描写からも滲みでてしまっている感じの感性、好き 「詩人の卵巣」 が染み渡った
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【経緯】 小川洋子の短編読んでみたくて 【目次】 •飛行機で眠るのは難しい •中国野菜の育て方 •まぶた •お料理教室 •匂いの収集 •バックストローク •詩人の卵巣 •リンデンバウム通りの双子 【感想】 「まぶた」。現実と夢、対峙と無視、生と死の境界線たりうるもの。 虚構と...
【経緯】 小川洋子の短編読んでみたくて 【目次】 •飛行機で眠るのは難しい •中国野菜の育て方 •まぶた •お料理教室 •匂いの収集 •バックストローク •詩人の卵巣 •リンデンバウム通りの双子 【感想】 「まぶた」。現実と夢、対峙と無視、生と死の境界線たりうるもの。 虚構と現実が絶妙に混じり合って、読後なんともいえない共感と気持ち悪さを感じた。後日ひとつひとつの感想を記しておきたい。 【共感】 •ペンパルは現実の辛気臭いことをいうより虚構でも盛り上がったほうがロマンティックで楽しいと思う。赤毛のアンっぽくて好きよ。 【引用】 【不可解】 はっきりとは言わないで、読者に考えさせる感じさせることができる小川洋子って、スゴイ。
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自分からは遠いけれど、決して非現実的ではなく。世界のどこかで、ひっそりと紡錘がれているような奇妙な話。小川洋子の話を読むと、汽水域、の言葉が思い浮かぶ。海水と淡水がひそかに混じりあった、煩くもなく、落ち着いた世界。そこには海水で生きるものの淡水で生きるものとの生と死が静かに拮抗し...
自分からは遠いけれど、決して非現実的ではなく。世界のどこかで、ひっそりと紡錘がれているような奇妙な話。小川洋子の話を読むと、汽水域、の言葉が思い浮かぶ。海水と淡水がひそかに混じりあった、煩くもなく、落ち着いた世界。そこには海水で生きるものの淡水で生きるものとの生と死が静かに拮抗しつつ、微妙なバランスを保っている。作品の完成度でいうと、「海」の方が綿密で、魅惑的。
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どれもすこしずつ不思議でしっとりとした雰囲気の短編集。 普通と異常のはざまをゆらいだ感覚になります。
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表題作を含む8篇を収録した短篇集。ここでは、どの作品もかろうじて日常の空間に踏みとどまっている。だけど、そのもう少し先には異界が待ち構えているような危うさだ。異界の入口までは2歩、あるいは3歩か。表題作の「まぶた」は、文字通り"まぶた"に偏執した物語。フェティ...
表題作を含む8篇を収録した短篇集。ここでは、どの作品もかろうじて日常の空間に踏みとどまっている。だけど、そのもう少し先には異界が待ち構えているような危うさだ。異界の入口までは2歩、あるいは3歩か。表題作の「まぶた」は、文字通り"まぶた"に偏執した物語。フェティッシュの対象としてはきわめて珍しいながら、言われてみれば見事に衝いている感じもある。ここでの物語群は、たとえ光や青空が描かれていても、全体に暗くモノトーンが支配する。巻頭と巻末が暗く冷たいウイーンの物語であるのは、この作品集に統一を与えている。
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人のからだの描写が印象的な短編集。 登場人物は優しくて、グロテスクで、ときどき嘘をつく。 あらゆるものから攻撃性が排されていて、眠りや違和感や死はただそこに完結されて存在して、そっと周りに影響を与える。 暖かくて、柔らかくて、乾いていて、少しだけざらついた肌触りの物語。 「バ...
人のからだの描写が印象的な短編集。 登場人物は優しくて、グロテスクで、ときどき嘘をつく。 あらゆるものから攻撃性が排されていて、眠りや違和感や死はただそこに完結されて存在して、そっと周りに影響を与える。 暖かくて、柔らかくて、乾いていて、少しだけざらついた肌触りの物語。 「バックストローク」が、一番好きです。
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表題作「まぶた」は同著「ホテル・アイリス」の原型なのかな?という感じの短編。小川さんは、惨めたらしいものを惨めたらしく、けれど不快な下品さを感じさせない風に書くのが本当に上手な人だと思う。
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※このレビューにはネタバレを含みます
短編集なのですが、私には話一つ一つが未完に感じました。どんな話なのか分からず、最初は釈然としませんでしたがタイトルである「まぶた」を考えるとある共通な箇所が伺えました。上手く説明はできませんが、、、まばたきをするだけで光もしくは闇の世界に一瞬にして切り替わります。それをこの本では生と死に置き換えているように思えます。この薄い瞼のように常に死と隣り合わせです。 少し不気味な話があったのでミステリーホラーかなと一度は考えましたが、終盤につれ意味が分かってくると同時に話の一つである「リンデンバウム通りの双子」での父の最後の行動に自分の考えが変わりました。温もりのある本だったんですね。 とてもいい本を読んだ気がします。
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生と死…深淵なテーマを内包した、小川洋子さんらしさを堪能できる短編集。 小川洋子さんの書く物語を読むと、静かで、霧に煙る、少し寒い異国の街を想起してしまう。石造りの建物には孤独な人達がひそやかに暮らしている。 深読みすればいくらでも深読みできるけれど、私はあまり考えすぎずに、この...
生と死…深淵なテーマを内包した、小川洋子さんらしさを堪能できる短編集。 小川洋子さんの書く物語を読むと、静かで、霧に煙る、少し寒い異国の街を想起してしまう。石造りの建物には孤独な人達がひそやかに暮らしている。 深読みすればいくらでも深読みできるけれど、私はあまり考えすぎずに、この雰囲気に浸るのが好きだ。時にエロチックで、どこか不吉な、この独特な雰囲気に。登場人物達の人生の重さを受け止めて、私の心もずっしりみっしり詰まるような気がする。 巻頭の「飛行機で眠るのは難しい」、巻末の「詩人の卵巣」「リンデンバウム通りの双子」、それに本のタイトルともなった「まぶた」が特に心に残った。切なさが、残った。
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2013.3/19 まぶたとは。 眠るときに閉じる皮膜。場合によっては、死ぬ瞬間に閉じる皮膜でもある。 この8つの短編は "眠り" と "死" をテーマにしたものだと思う。 その中でも「匂いの収集」「バックストローク」が好き。
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