まぶた の商品レビュー
意味不明と片付けてしまえばそれまで、とも言えるようなシュールな世界観。でもそこにはうっとりするような美しさとか、心に引っ掛かるイメージとか、温もりとかが確かにあって、これぞ芸術、文学的文章……という感じ。堀江さんの解説を読むとまたなるほどなあと思います。
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一見、日常的な風景なのに、いつのまにか非現実な世界に入っていることに気づいた。 小川洋子さんが描く静謐な雰囲気は変わらず。
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どんよりとした曇り空、じっとりと湿った空気、しんと静かな街、ひやりとした手触り。 ちょっとだけぞくりとするものが垣間見えるような。 ずっと気になっていた本を、物語の役割をきっかけに読む。 私の好きなテイストの小川さん。
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高校の国語の授業で「バックストローク 」 をやって面白いと思って読んでみた ちょっと難しい 本質には直に触れない感じ
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とてもするすると読んでしまうのですけれど、この短編集も確かに小川ワールドでした。 何度読んでも大好きな「詩人の卵巣」の眠りの描写が、心にひたひたと染み込みます。軽くはなりましたが、不眠症でもあるわたしの眠りの召し使いは何処に…。 どのお話も死の予感がするのですが、「匂いの収集」の...
とてもするすると読んでしまうのですけれど、この短編集も確かに小川ワールドでした。 何度読んでも大好きな「詩人の卵巣」の眠りの描写が、心にひたひたと染み込みます。軽くはなりましたが、不眠症でもあるわたしの眠りの召し使いは何処に…。 どのお話も死の予感がするのですが、「匂いの収集」の猟奇的な感じも好きです。 「バックストローク」の、弟の片腕が体から離れていく描写も素敵。 お話たちの薄暗さが心地好いです。日常を離れられました。
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難しいですね。いかにも純文学。 最後の「リンデンバウム通りの双子」を除いては、何らかの不条理が存在します。例えば中国野菜が夜光性だったり、下水から過去の料理の残骸が出てきたり、元水泳選手の腕が取れたり。何かの寓意と言う訳ではなく、作者の何かに対するイメージなのだともいます。 ...
難しいですね。いかにも純文学。 最後の「リンデンバウム通りの双子」を除いては、何らかの不条理が存在します。例えば中国野菜が夜光性だったり、下水から過去の料理の残骸が出てきたり、元水泳選手の腕が取れたり。何かの寓意と言う訳ではなく、作者の何かに対するイメージなのだともいます。 イメージは見事に伝わってきます。そこらの筆力は素晴らしい。でもそのイメージをどう捉えるべきかで悩んでしまう感じです。 どちらも余り読んではいないのだけど、どこと無く倉橋由美子を思い出させる雰囲気です。
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8編の短編集。まぶたを閉じて現実と夢とが混ざりあっている時のような感覚になる。読後は「?」が並ぶ話ばかりであったし紐解きたいとも思わないけれど悪い心地もしなかったのは文章が読みやすいからだろう。特に「リンデンバウム通りの双子」は雨の憂鬱さと温もりとが感じられ、心も湿った気がした。
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【私がタイピストになった理由】 私が通う専門学校はもともとタイピスト養成学校だった。今でこそ、IT専門学校などと名乗っているが、昔この場所には女学生が溢れ、溢れ返っているのに皆無口でひらすらに細かい活字の海を飛び回っていたのだ。 小川洋子にタイプライターはとてもお似合いだった...
【私がタイピストになった理由】 私が通う専門学校はもともとタイピスト養成学校だった。今でこそ、IT専門学校などと名乗っているが、昔この場所には女学生が溢れ、溢れ返っているのに皆無口でひらすらに細かい活字の海を飛び回っていたのだ。 小川洋子にタイプライターはとてもお似合いだった。それもとても古くそして、管理の行き届いた美しいタイプライターだ。適度に使い込まれ、それでも汚れてはいないタイプライター。小川洋子がタイプライターという七文字を打ち込む姿を想像しただけで、私は幸せな気持ちになるのだ。私にとってタイプライターは特別な存在になった。小川洋子の作品にはその描写がなくても、いつもどこかでカタカタとタイプライターの音が聞こえるように思える。新しく読む作品の中にその七文字を見つけた時は私は舞い上がってしまった。そして、この作品の中にも幸せな七文字はひっそりと紛れ込んでいる。 私は思う。今でも、タイピストという仕事があったなら、私はなにを置いてもタイピストを目指しただろう。無口で言葉を愛せる仕事にもしもつくことが出来たのなら、とても幸せなのにと夢想した。
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読友さんの感想を拝見し、小川洋子さんってこういう作風も書くのか?と気になり手に取ってみた。悪夢なのか?それとも現実なのか?そんな感覚を行き来する不思議で奇妙な話が連続する短編集である。フェチや執着心が狂気を誘い、かと思えば心温かくさせて独特の世界観を堪能した。妙な緊張感とモヤモヤ...
読友さんの感想を拝見し、小川洋子さんってこういう作風も書くのか?と気になり手に取ってみた。悪夢なのか?それとも現実なのか?そんな感覚を行き来する不思議で奇妙な話が連続する短編集である。フェチや執着心が狂気を誘い、かと思えば心温かくさせて独特の世界観を堪能した。妙な緊張感とモヤモヤ感を併せ持つこの幻想譚こそきっと小川ワールドなのだろう。
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新聞で紹介されていたのを機に再読、★3.5ですがおまけで★4。手元に過去読んだ本を置いておくとこういった好機に直ぐ読めるというのは捨て難いです。その逆に狭い家がどんどん乱雑になっていくという代償は払わねばなりませんが。 まぁさておき小川洋子の世界が全開。フェティシズム、収集癖等々...
新聞で紹介されていたのを機に再読、★3.5ですがおまけで★4。手元に過去読んだ本を置いておくとこういった好機に直ぐ読めるというのは捨て難いです。その逆に狭い家がどんどん乱雑になっていくという代償は払わねばなりませんが。 まぁさておき小川洋子の世界が全開。フェティシズム、収集癖等々全てが死に結節する独自の感覚と言って差し支えないんでしょう。そのほとんどが非現実的なお話であるのに、今まさに眼の前にあるような不思議な感じを受ける。 更にさらっと読めてしまうのもこの作家の力量がなせる技かと思われ。
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