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まぶた の商品レビュー

3.6

171件のお客様レビュー

  1. 5つ

    25

  2. 4つ

    56

  3. 3つ

    62

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短編小説集。ダーク系…

短編小説集。ダーク系のものが多いので、そちらが好きな方にお勧めです。

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表題作の「まぶた」……

表題作の「まぶた」…ラストのやるせなくて気だるい感じの情景が、読み手の目に浮かんで来そうな程、景色描写が上手い物語だと思いました。

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表題作の「まぶた」は…

表題作の「まぶた」は、「ホテル・アイリス」の短編版ですね。物憂げな世界が描かれています。

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2024/09/04

不穏で美しい。例えるなら廃墟の遊園地みたいな本だと思います。 私は特に匂いの収集からのバックストロークの流れが大好きです。しん、とした閑けさと、現実ではありえないような情景がありありと浮かぶ繊細な描写は、ページを読まなくても思い浮かぶくらい何度も読みました。 私にとっては誰もいな...

不穏で美しい。例えるなら廃墟の遊園地みたいな本だと思います。 私は特に匂いの収集からのバックストロークの流れが大好きです。しん、とした閑けさと、現実ではありえないような情景がありありと浮かぶ繊細な描写は、ページを読まなくても思い浮かぶくらい何度も読みました。 私にとっては誰もいない夏休みの、湿っぽいでも冷ややかな図書室を想起させる本です。

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2024/07/02

この不穏さが大好き。 どの話もどの人物も何にも自分に共通点が無いのに、なんでかわからないけど地続きで、逆に全部自分事みたい。 難しい表現は何一つない、スッと心に入ってくる書き方も好き。 しばらく小川さんにはお世話になりそうですり

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2024/06/15

コスメ広告などに使われるレトロ調のイラストような雰囲気だった。(これで伝わるのか?) 小川洋子さんの小説は印象深い思い出を思い出しているような文章だ。 個人的でひっそりとした感情の動きが描かれているのだけれど、遠い感じがする。主観的なんだけど俯瞰しているような不思議な感じ。

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2024/02/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

どの登場人物も、音もなく崩壊していくようだった。彼らが纏う空気には確実に死が感じられるのに、誰もそれを恐れてはいないように見える。 死とは息をひそめればいつでもそこにあり、生き物が必ず辿り着く終わりの時。でもきっと怖いものではないのだ。 それぞれに悲しい出来事や上手くいかなかった事を抱えながら、今多くを求めず穏やかに生きている人々を見ると、心が静けさに満ちてくる。手の届く範囲の、目の前のものを愛していくことの大切さを教えてくれる。 繋がりのない短編集なのに、全てにどこか共通したものがあった。 「お料理教室」だけは誰も話が通じない感じがして、フワフワして拠り所がない感覚になった。確かなものがいつもあるのに、この話にはそれが無い不安感があった。

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2024/02/07

「飛行機で眠るのは難しい」「中国野菜の育て方」「まぶた」「お料理教室」「匂いの収集」「バックストローク」「詩人の卵巣」「リンデンバウム通りの双子」を収録した短編集。 いずれも滑らかで柔らかく丁寧な感触の中に一点、針で、あるいは指の先で突いたかのような闇を含んだ、小川洋子さんらしい...

「飛行機で眠るのは難しい」「中国野菜の育て方」「まぶた」「お料理教室」「匂いの収集」「バックストローク」「詩人の卵巣」「リンデンバウム通りの双子」を収録した短編集。 いずれも滑らかで柔らかく丁寧な感触の中に一点、針で、あるいは指の先で突いたかのような闇を含んだ、小川洋子さんらしい作品。個人的に「匂いの収集」が1番わかりやすく好みであった。

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2023/12/20

目次 ・飛行機で眠るのは難しい ・中国野菜の育て方 ・まぶた ・お料理教室 ・匂いの収集 ・バックストローク ・詩人の卵巣 ・リンデンバウム通りの双子 小川洋子の小説の体温は低い。 それはひんやりと湿ったものだったり、かさかさに乾いたものだったりするが、決して温かくはない。 た...

目次 ・飛行機で眠るのは難しい ・中国野菜の育て方 ・まぶた ・お料理教室 ・匂いの収集 ・バックストローク ・詩人の卵巣 ・リンデンバウム通りの双子 小川洋子の小説の体温は低い。 それはひんやりと湿ったものだったり、かさかさに乾いたものだったりするが、決して温かくはない。 たとえひとの命を救ったとしても。 そこに「ない」ものを書くのも上手い。 「ありえない」と言うほど強い「無」ではなく、気づくとそこには「ない」」ものの持つ気配。 この絶妙な塩梅が、心地よかったり不気味だったりと、作品に彩りを与える。 ストーリーを味わう作品集ではないと思うので、具体的なことを書いても意味わからんことになるだろう。 ただ、これらの作品は、現実だとか事実だとかのしがらみとは無縁なところで味わえばよいのだ。 私にとって小川洋子は、エンタメ小説から純文学への橋渡しをしてくれた作家の一人。 未だ純文学はちょっと苦手意識があるけれど、小川洋子を読んだら、また次の純文学を手に取ろうと思えてくる。

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2023/08/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

多くのブグ友さんの本棚にあったのでお取り寄せ。 薄暗い中で物語が進んで、淡々とした中に結末が急にやってくる。寒気を催すような不安のまま置いてけぼりされるような感覚や、忘れていた心の隅の想い出に気づくような不思議な感覚。 「不可能な愛が一番美しいって、昔から言うじゃない?」(飛行機で眠るのは難しい) 朝と夜で野菜の雰囲気はずいぶん違っていた(中国野菜の育て方) わたしたちは宿題を忘れた子供のように立ちすくんでいた(まぶた) 先生は気づいたものを、いちいち口に出さないではいられない様子だった(お料理教室) 匂いに関して、彼女は容赦がない(匂いの収集) 「物事にすべて事情があるとは限らないものね」(詩人の卵巣)

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