おぞましい二人 の商品レビュー
4.7 これを芯に理解することは難しい。 だけど、 愛を育むことはできない二人だと痛感する。 手元にほしい!!!
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イギリスで本当にあった事件を元にした絵本。 エドワード・ゴーリーの作品は立ち読みしたり、友人のを読ませてもらっていただけで、ちゃんとしっかり読んだことが無かったので、今回のが初めてちゃんと読んだ。 サッと読むよりしっかり読む方が不気味さは薄れる。
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本書は1960年代にイギリスで実際に起きたムーアズ殺人事件をモデルにしている。 イギリス在住のあるカップルが4年間にわたって5人の子供を惨殺、荒野に埋めたのだが、裁判時に子供への拷問の様子を収録したテープが証拠品と提出され、母を求めて泣き叫ぶ少女の生々しい断末魔が衝撃を与えた。 ...
本書は1960年代にイギリスで実際に起きたムーアズ殺人事件をモデルにしている。 イギリス在住のあるカップルが4年間にわたって5人の子供を惨殺、荒野に埋めたのだが、裁判時に子供への拷問の様子を収録したテープが証拠品と提出され、母を求めて泣き叫ぶ少女の生々しい断末魔が衝撃を与えた。 フレッド&ローズのウエスト夫妻が通称「恐怖の館」と呼ばれる自宅にて、下宿人や実子を拷問・殺害しては庭に埋めた70年代の事件と混同されがちだが、たった数年の間に、愛人関係にある男女の殺人鬼が続けて登場したことに怖さを感じる。 本書では後に殺人者になる男女の生い立ちから描かれるのだが、両者とも悲惨な家庭に生まれている。そして二人が出会い、結ばれ、恋人になる。ここまではいいのだが、何故か道を踏み外して子供をさらって殺し始める。 その何故が何故なのか、正直よくわからない。 二人の心情描写は作中まったくなく、余白から想像するしかない。 表題通りおぞましい二人が出会い、やがて破滅するまでを描いた話なのだが、世界一おぞましいとか戦慄したとか持ち上げる気にもなれず、読後は乾いた虚しさだけが残る。もちろん何を得る得ないは人それぞれなので、何も得なかったとしても間違いじゃない。 二人の間に愛情があったかどうかもわからない。そもそも愛情の概念自体が共同幻想だ。彼らにしてみれば殺人は、連帯感を強めて破局を先送りにする為の刺激的な共同作業に過ぎなかったのかもしれない。 大人向けの残酷絵本というふれこみだが、自分は海外のシリアルキラーや猟奇事件に興味がある一部の層におすすめしたいと思った。 ストーリーは淡々と進むし、視覚的にショッキングな絵もないので人によっては退屈に感じるかもしれないが、ムーアズ殺人事件の全容を頭に入れてから読むと、ゴーリーが語り起こそうとした何か……惨劇に走る人間の計り知れなさともいうべき靄の輪郭が少しだけ濃くなって読後感が変わる。
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絵本では夢や希望、子供たちの感性を引き出したり作者の世界感を描いたもの ゴーリーの絵本はリアルが入っている。 1枚の絵から感情を伝えるって最早、芸術家
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フィクションだけど、淡々と事実が記されているスタンスを取ったのはゴーリーが、判断は読者に委ね、こういうことが本当にあったという事実を多くの人に知らしめたいからだったのだろう。柴田元幸さんがこの本の出版すべきかを東京、大阪の朗読で問うたところ、前者はすべきでなく、後者はすべきであっ...
フィクションだけど、淡々と事実が記されているスタンスを取ったのはゴーリーが、判断は読者に委ね、こういうことが本当にあったという事実を多くの人に知らしめたいからだったのだろう。柴田元幸さんがこの本の出版すべきかを東京、大阪の朗読で問うたところ、前者はすべきでなく、後者はすべきであったそうな。大阪で育った俺的に、大阪での支持に誇りを感じました。
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この作品は実際の事件を元に描かれている。子供達を殺し続けた現実の殺人者の事件に彼はひどく動揺したという。 悪魔的で、運命的で、詩的で、味気ない空虚なボーイミーツガールだが、これが現実に通底する虚無感そのもので、読めばただ打ちひしがれる。
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実際の事件を題材にした絵本。 静かで淡々とした描写が怖さを掻き立てる。 最後、病院でのモナにぞっとした。 表紙の真ん中の大人、モナとハロルドなんだ。
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この話は今まで読んできたゴーリー本の残酷さとは違い本当におぞましい話でした。ゴーリーらしい緻密な絵とあらゆる部分で計算されたと思われる背景や小物はいつも通りなのですが、このおぞましさに思わずページを早くめくらずにはいられません。あれだけ本の中で子供を酷い目に遭わせてきたゴーリーが...
この話は今まで読んできたゴーリー本の残酷さとは違い本当におぞましい話でした。ゴーリーらしい緻密な絵とあらゆる部分で計算されたと思われる背景や小物はいつも通りなのですが、このおぞましさに思わずページを早くめくらずにはいられません。あれだけ本の中で子供を酷い目に遭わせてきたゴーリーが実際に起きた事件であるこれを描かずにいられなかったということが理屈で想像できても感覚ではとても理解できませんでした。おぞましい二人が育ってしまった背景は現代では決して珍しいものではない気がします。それがまた恐ろしい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
実際にあった事件に衝撃を受けた作者が、それを昇華するために書いたらしいが、この内容を絵本で表現する感性がすごいと感じた。 これを描く(書く)ことで、何かが変わったのだろうか。 殺人を犯す者の気持ちが理解できたのだろうか。 人格形成において恵まれない子供時代だった。 やはりそこに帰結するのだろうか。 なぜ、この事件に興味を抱いたのか。 作者自信に興味を抱いた。
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エドワード・ゴーリー展にて読了。 実在する事件の犯人をモデルにしたという2人のお話。 巻末解説にも載ってたけど、子どもを殺した翌朝2人が朝ごはん(詳細なメニューまで描かれる)を食べるシーンが怖かった。 あと寒い材木置き場で寄り添う2人の寂しい背中が何ともいえなく哀しい。 「おぞ...
エドワード・ゴーリー展にて読了。 実在する事件の犯人をモデルにしたという2人のお話。 巻末解説にも載ってたけど、子どもを殺した翌朝2人が朝ごはん(詳細なメニューまで描かれる)を食べるシーンが怖かった。 あと寒い材木置き場で寄り添う2人の寂しい背中が何ともいえなく哀しい。 「おぞましい2人」を擁護したいわけではなく、かといって糾弾したいわけでもないのであろう、事件や犯人そのものに対する著者のやるせなさや哀しみが伝わる1作だった。
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