幸福な食卓 の商品レビュー
前回読んだ『卵の緒』と同じく、ちょっと変わった家族のお話だなーと思って読み進めていたら、最後の最後にガツンとやられました。ちょっと衝撃が大きくて、その前の幸せなホワホワとした気持ちが吹き飛んでしまった…。
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この作者の文章は読みやすい。スイスイ読めるけど物語の内容には納得がいかない、内容がない、そんな本は多々ある。 「幸福な食卓」この本は、私は 好きだ。 まず 登場人物に嫌な人間が一人もいない。個性的だけれど嫌味がない。その人々が淡々と日常を進めて行く姿が この作家の上手な文章に乗せられていく。読みながら大変心地よい時間を過ごさせてもらった。 生きる為に真剣に取り組むのをやめ、また生きる為に真剣に取り組み始める。経緯も動機も描かれ方が、イイ。 登場人物達の素直で正直な言葉達が、穏やかに心に染み入ってくる。 大浦くんが死んでしまったことは それまでこの作家の文章に乗せられて幸せも幸せの境地に自分も立っていただけに 「なんで殺すの?」と恨むぐらいに泣いてしまった。 だけれども その展開に続く 家族の対応、ヨシコの人柄も、最後の弟君の態度、どれをとっても嫌味がなくて、哀しさと穏やかな幸せな気持ちを味わせてもらった。良い本です。
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淡々とした性格の登場人物かと思いきや夫々が悩みを抱えそれをしっかり乗り越えていく、清々しいお話だと思った。お父さんの自殺未遂が原因で梅雨が苦手、宗教めいた会合にせっせと通い、家族とは繋がりを保ちつつ一人暮らしをする母、何でも出来るけどいまいち掴み所のない兄、父を辞め薬剤師を目指し...
淡々とした性格の登場人物かと思いきや夫々が悩みを抱えそれをしっかり乗り越えていく、清々しいお話だと思った。お父さんの自殺未遂が原因で梅雨が苦手、宗教めいた会合にせっせと通い、家族とは繋がりを保ちつつ一人暮らしをする母、何でも出来るけどいまいち掴み所のない兄、父を辞め薬剤師を目指し猛烈に勉強するものの受験には受からない父。とんでもない設定なのに読んでて無理がなく、すっと受け入れて読んで行けるのが不思議だった。でもまさかの展開で息が止まる思いだったけど、それも家族やヨシコに支えられて見守られゆっくり乗り越えることが出来るのだろうという希望を感じながら、あたたかい気持ちで読み終えることが出来た。こういう優しい本が今自分には合っているのかな。
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食卓をとおして家族がそっと向き合っている風景。 支え合うってきっと激しいことでもドラマ的な展開でもなく ただそこにいて、その人のことを大事に思って 思われていること。 ただそれだけのことが人を支えるんだなぁ。
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平成31年4月 今年の本屋大賞受賞。作者。だけど、それそのものの本ではない。。。 図書館で特設会場となっていたので、手に取る。 自殺未遂をしたお父さんと家出をしたお母さん。 優秀だけど、高校を卒業し、農業をしているお兄さん。 と普通な私。 家族って大変だよね。演じる部分も必...
平成31年4月 今年の本屋大賞受賞。作者。だけど、それそのものの本ではない。。。 図書館で特設会場となっていたので、手に取る。 自殺未遂をしたお父さんと家出をしたお母さん。 優秀だけど、高校を卒業し、農業をしているお兄さん。 と普通な私。 家族って大変だよね。演じる部分も必要だけど、演じるだけだと、、疲れちゃう。 でもやっぱりその人にはその人の役柄があるわけで、…。 気を張らずにやるってことですかね。 読みやすくはありました。
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せつない。ちょっとだけ歪な家族の話。みんながみんなどっかズレているけど憎めない人ばかり。これから幸せに普通の日々が送れますようにと願うばかりです。
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胸くそな小説を読んだあとだったので、気分よくなりたいと思って借りて読んだら、死にネタだった。 子どもが死ぬのは小説の中であってもいやだ。
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少し変わった形の家族が織りなす絆のお話。 父親の自殺未遂のために、母は家を出て、父は父を辞めようとし、兄は奔放に生きている家族の中で、佐和子は中学生、高校生と成長していく。 一度捻れてバラバラになりかけた家族が、兄や佐和子の恋人や、友人によって、少しずつ近づき、大切な家族...
少し変わった形の家族が織りなす絆のお話。 父親の自殺未遂のために、母は家を出て、父は父を辞めようとし、兄は奔放に生きている家族の中で、佐和子は中学生、高校生と成長していく。 一度捻れてバラバラになりかけた家族が、兄や佐和子の恋人や、友人によって、少しずつ近づき、大切な家族の絆に気付いていく。 「愛」というものを直球に表現せず、曖昧に家族の大切さを気付かせてくれる作品でした。
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映画がとても面白かったので読んでみたところ、映画では本当に内面描写等をかなり省略していたのだということがつくづくわかり面白かった。 ほかにも、大浦くんが最初は違う少年でしかもイガグリ頭だったり、佐和子が直ちゃんにいろいろと作戦を伝授していたり、父さんが3回受験に失敗していたり。 ...
映画がとても面白かったので読んでみたところ、映画では本当に内面描写等をかなり省略していたのだということがつくづくわかり面白かった。 ほかにも、大浦くんが最初は違う少年でしかもイガグリ頭だったり、佐和子が直ちゃんにいろいろと作戦を伝授していたり、父さんが3回受験に失敗していたり。 お母さんが家を出た理由がきちんと描かれていたりと、映画だけではモヤモヤしていた点が解消されて気持ちがいい。 欲を言えば、父さんが大学を目指した理由や心情、直ちゃんの色恋以外の人生ついてももうちょっと知りたかったところ。 小説としてどうこういうわけではなく、どうやら僕はこの小説の登場人物たち(家族+大浦くん+ヨシコ)のファンになってしまったようなのだ。 大浦くんの性格には親近感を感じる。また、映画を先に見たせいもあってか、各々の人物の外見や仕草もとても魅力的に感じる(小説を先に読んでいたら、お母さんを思い浮かべるときに石田ゆり子ではないただの子ども思いのオバサンを思い浮かべてしまったかもしれないし)。 続編があったら読んでみたいけれど、きっと蛇足になるだろうからないほうがいいのだろう。 でも、佐和子が母であり妻になったときの家庭の話ならいいかもしれない。 ※文庫版の解説も読了。 4 (2012.3)
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後半、悲しくて苦しくて、読みながら涙が止まりませんでした。 自分の大事な人がいつでも元気に生きていてくれる保証なんてどこにもないんだなあと、思ったら、もう、ひたすらに辛かったです。佐和子の大浦くんに対する気持ちに飲み込まれて、身体ごと掴まれて揺さぶられているような、どうにもならない悲しさに襲われました。 でも、その佐和子の悲しみの先で、自分たちも傷つきながら、それでもそっと待ってくれている直ちゃんや、父さんや、母さんや、ヨシコさんたちの優しさが、とてもあたたかく感じられました。 人の中で生きるとか、家族でいるとか、すごく難しいことばかりで、そのせいで傷つくことも、生きているのが嫌になることもたくさんあります。でも、人が周りにいるから、癒されたり、生きていたいと思えたりすることも同じようにたくさんあって、人って愛おしいなあと改めて思いました。
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