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完璧な病室 の商品レビュー

3.6

100件のお客様レビュー

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2011/12/03

収録作品 ●完璧な病室 ●揚羽蝶が壊れる時 ●冷めない紅茶 ●ダイヴィング・プール 共感できる部分がないわけでもないけれど、 暗いというか、悪い感じの空気が 自分の気持ちに合わなかった。

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2011/11/28

漂白したように真っ白で どこまでも無機質で 冷たくて 汚れてる私には 到底踏み込めない世界

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2011/09/30

洋子さんの書く、壊れかけた家族像は好きです。 静謐で温い、透き通った愛情とか、生々しい生活の彼処にあるもの・音とか。

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2011/07/01

静かな空気。 病室の匂い。 消えそうな繊細さがものすごくキレイにかかれていて イメージしてしまう景色に衝撃を受ける。 どことなく寂しい雰囲気。 なのに心地良い流れで、 読み終わった後も余韻に浸りたくなる。

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2011/05/26

小川洋子女史の最初期の作品です。 彼女の文学って、身体のどこかに何かしら欠如部分が有るんです。そこを埋めようと必死になっている様子がどこか切なくて、官能的で美しい気がします。 標題にも成っている「完璧な病室」は病院という閉ざされた空間で死にゆく弟との時間を描いたもの。隔離された...

小川洋子女史の最初期の作品です。 彼女の文学って、身体のどこかに何かしら欠如部分が有るんです。そこを埋めようと必死になっている様子がどこか切なくて、官能的で美しい気がします。 標題にも成っている「完璧な病室」は病院という閉ざされた空間で死にゆく弟との時間を描いたもの。隔離された世界で美しくブドウを食べる弟と、外の世界に住む私の薄汚れた食事や生活の対比をすることで、弟の特別な存在感がとても鮮明に浮き上がってくるような気がします。 他に三篇のお話がありますが、私はなかでも「ダイヴィング・プール」にかなりやられました。やられたというのは、本当に精神的に落ちてしまいまして。 あらすじは、孤児院で一緒に暮らす純に心を寄せる彩。優しい心と美しく泳ぐ彼に夢中な彼女は毎日彼の泳ぎを見に行くが、彼はけしてそのことに触れようとはしない。けれど、無垢な幼子のリエの愛し方がわからない彩は、泣きだしたリエにいじめ傷つけるという残酷な気持ちを太らせることしかできない。そうして、腐ったシュークリームを与え入院にまで追い込んでしまう。けれど、純には全てを見破られてしまう。「いつも彩ちゃんをみていたから」というまるで愛の告白のような言葉とともに、ようやく後悔と罪深さと自分の澱んだプールの中に純は飛び込んでくれないのだと、思い知る。 私自身、別に何か罪深いことをしたことは有りませんが、こういった感情に覚えはあります。何より、ここまでの負のオーラで溢れた文章でいて美しい世界を作り出せる作者に尊敬の念を抱いてしまいます。

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2011/09/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

文章がきれい。 官能を避けてる、抑圧してる、あるいは何でもないことのようにさらっと扱うところが、どことなくエロティック。 心に澱が溜まっていって、それがときどき舞い上がっては、全体が濁るような感じ。 3編に通してみられた、食べ物(有機物)に対する嫌悪はちょっと異常に思えたんだけど、作者は拒食症なのか?

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2011/04/10

珍しく今一つ。 食べるとか生活することの醜さをテーマにしたような…。描写は好きだけれど、その高慢な感じが受け入れられなかった。 特に最後の話は主人公の高慢で身勝手なところが本当に受け入れられない(ていうか純はが「純粋」というより、主人公がけがれているだけでは…)まま終わりました。...

珍しく今一つ。 食べるとか生活することの醜さをテーマにしたような…。描写は好きだけれど、その高慢な感じが受け入れられなかった。 特に最後の話は主人公の高慢で身勝手なところが本当に受け入れられない(ていうか純はが「純粋」というより、主人公がけがれているだけでは…)まま終わりました。読みながらずっと、「この主人公が報われちゃったらどうしよう」って思って読んでいたし。共感が全く出来なかった。 食事も生活も醜いことだけれど、 それが無いと生きていけないんだから、しようがないよね。 生活感のない美しい短編や、生活の中から小さな美しさを見つけるような短編。小川さんのそういう小説が好きなんだって気が付いた。

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2011/04/04

小川さんが新人賞を受賞された「揚羽蝶が壊れるとき」が、 入っているので、前々から読みたかった一冊です。 小川さんのうっとりする繊細な筆致が随所にちりばめられた一冊です。 「(蛇口の)あまり大きな音を立てると、二人のこの特別な時間が 破れてしまいそうだったので、水はほんの少ししか...

小川さんが新人賞を受賞された「揚羽蝶が壊れるとき」が、 入っているので、前々から読みたかった一冊です。 小川さんのうっとりする繊細な筆致が随所にちりばめられた一冊です。 「(蛇口の)あまり大きな音を立てると、二人のこの特別な時間が 破れてしまいそうだったので、水はほんの少ししか出さなかった」 ―ダイヴィング・プールより

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2011/02/10

「完璧な病室」。実に病的なタイトルである。ストーリーは割愛する。この小説の魅力は、日常に潜むグロテスクな一面であり、その美しさであると私は思う。 日常の裏返しであるそれを生々しく描く、ねじれた美しさを持つ世界観が、読者を日常の水底にまで連れて行く。それは危険な魅力に満ちた体験であ...

「完璧な病室」。実に病的なタイトルである。ストーリーは割愛する。この小説の魅力は、日常に潜むグロテスクな一面であり、その美しさであると私は思う。 日常の裏返しであるそれを生々しく描く、ねじれた美しさを持つ世界観が、読者を日常の水底にまで連れて行く。それは危険な魅力に満ちた体験である。

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2011/01/27

短篇集。 病気の弟の死に触れて、初めて弟をあいしていると気づく。 無駄なものがひとつもない真っ白な病室で、弟は透明になっていく…。食べることを拒むようになった身体を、清らかになっていく透明になっていくととらえる、摂食のグロテスクさのとらえ方がするどいと感じました。(表題作)...

短篇集。 病気の弟の死に触れて、初めて弟をあいしていると気づく。 無駄なものがひとつもない真っ白な病室で、弟は透明になっていく…。食べることを拒むようになった身体を、清らかになっていく透明になっていくととらえる、摂食のグロテスクさのとらえ方がするどいと感じました。(表題作) 「揚羽蝶が壊れる時」でもこのテーマがあって。全体を通して、生に性に静につくしていると思いました。 一番印象に残ったのは最後の「ダイヴィング・プール」。小川さんのこころの捕らえ方は、独特で鋭くて真理だ、と感じずにいられません。 彼の優しさの一番奥にある泉の水に身体を浸してみたい 惹かれていることを自覚しながらも、わからないままにごまかしている感情のゆれが絶妙。 それにしても、小川さんの描く女性はみんな大人っぽく、扇情的で欲望的なのに純粋。

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