完璧な病室 の商品レビュー
短編集。 小川さんのお話は、いつも甘美て色っぽい感じがします。 残酷で登場人物達からは、生活臭みたいなのがしないんだけど、人間的なところがある…上手く言えませんが、そんな雰囲気でした。 どの短編も素敵です。
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初めてのジャケ買いが『薬指の標本』で、小川洋子さんの危うげな雰囲気にひかれて、この本も読んでみた 「冷めない紅茶」が好き、ことん
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全ての短編が辛い内容。完結系ではなく、それぞれの主人公が病的に闇を抱えており、そこから抜け出せずにもがいている。タイトルの完璧な病室の主人公のあらゆる生活感、特に食に対する嫌悪感に何故か通じるものがあった。全てを真っ白にしてしまいたい欲望、無菌室の様な空間にいることに安心感を感じ...
全ての短編が辛い内容。完結系ではなく、それぞれの主人公が病的に闇を抱えており、そこから抜け出せずにもがいている。タイトルの完璧な病室の主人公のあらゆる生活感、特に食に対する嫌悪感に何故か通じるものがあった。全てを真っ白にしてしまいたい欲望、無菌室の様な空間にいることに安心感を感じる、それが過去のトラウマになっていること。自分ではどうしようも出来ない現状を見ない様に過ごすこと。果てしない無情が続くことに虚無感が押し寄せる。
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短編集。以下の2つが気に入った。 「揚羽蝶が壊れる時」 呆けてしまった祖母を"新天地"という老人ホームに預けることになった。 しかし主人公は、祖母ではなく自分が異常なのではないかという疑問に支配され続ける。 それは、一度考えると体中に広がる。自分が正常だとど...
短編集。以下の2つが気に入った。 「揚羽蝶が壊れる時」 呆けてしまった祖母を"新天地"という老人ホームに預けることになった。 しかし主人公は、祖母ではなく自分が異常なのではないかという疑問に支配され続ける。 それは、一度考えると体中に広がる。自分が正常だとどうして言えるのか―。 「ダイヴィング・プール」 幼い孤児リエの泣きじゃくる姿と、学生の孤児純の飛び込みの姿、筋肉だけが自分を気持ちよくしてくれる・・・。 孤児院を経営する親の元に生まれた彩の歪んだ何かが見える物語。
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『完璧な病室』と『揚羽蝶が壊れる時』の 二編を収録。 突然 病気になり姉の勤める病院に入院するコトになった弟。 弟の入った完璧なまでの清潔な病室と どんどんモノを食べなくなっていく弟に 何だか安心する『清純』さを感じました。 『揚羽蝶が~』もボケたお婆さんが食事をしなくなりま...
『完璧な病室』と『揚羽蝶が壊れる時』の 二編を収録。 突然 病気になり姉の勤める病院に入院するコトになった弟。 弟の入った完璧なまでの清潔な病室と どんどんモノを食べなくなっていく弟に 何だか安心する『清純』さを感じました。 『揚羽蝶が~』もボケたお婆さんが食事をしなくなります。 腐敗する食べ物をどんどん体内に入れていく自分と 腐敗するモノを体内に入れるコトを辞めたおばあさん。 狂っているのはどちらだろぅといぅ主人公の思いが とても印象的でした。
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言葉で表せない出来事があり、言葉でしか現せない何かがある。 はっきりと見えているのに触ることができなくて、カタチはあやふやなのに重いとか…世の中には不思議と理屈で捉えられないものがある。 ひとつも断定的に語られていないせいで、いくつもの可能性を思い描いて奇妙な気持ちになる。 無...
言葉で表せない出来事があり、言葉でしか現せない何かがある。 はっきりと見えているのに触ることができなくて、カタチはあやふやなのに重いとか…世の中には不思議と理屈で捉えられないものがある。 ひとつも断定的に語られていないせいで、いくつもの可能性を思い描いて奇妙な気持ちになる。 無関係なはずがとても共鳴してしまう。 ひやりと怖くて、ファンタジーにも思えるのにやっぱりシュール。 この世界感にしっとりと沈むのが心地よい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
病について、食欲について、夫婦について、医者について、美しい肉体について、陰湿、暗い、消毒液の香り、昭和の色、音をも吸い込む雪、だんだん透明になっていく弟、完璧でした。
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個人的な好みで言うと、『冷めない紅茶>>>>>完璧な病室>>>ダイヴィング・プール>=揚羽蝶が壊れる時』という感じ。特に、『冷めない紅茶』を読んだのは二度目だったのだけれど、静かで、狂おしくて、さみしくて、うつくしい話だなあと思った。 小川さんのお話を読んでいると、何だか拷問道具...
個人的な好みで言うと、『冷めない紅茶>>>>>完璧な病室>>>ダイヴィング・プール>=揚羽蝶が壊れる時』という感じ。特に、『冷めない紅茶』を読んだのは二度目だったのだけれど、静かで、狂おしくて、さみしくて、うつくしい話だなあと思った。 小川さんのお話を読んでいると、何だか拷問道具を眺めているような気分になる。残酷で、とてもうつくしい。
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やっぱり喪失がテーマの小川氏。ただ、初期短編集ということで、最近の作品よりはもう少し生臭さがあるように感じられました。もちろんそれは作者の意図するところでしょうけれど、初期には生臭さと表裏にあるどこか透明な感情や不安定さを描いていた人が、最近では生臭さを廃した硬質な透明さ(と喪失...
やっぱり喪失がテーマの小川氏。ただ、初期短編集ということで、最近の作品よりはもう少し生臭さがあるように感じられました。もちろんそれは作者の意図するところでしょうけれど、初期には生臭さと表裏にあるどこか透明な感情や不安定さを描いていた人が、最近では生臭さを廃した硬質な透明さ(と喪失)を表現していることが興味深いです。
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小川洋子さんの初期作品ということで、後期の作品に比べれば荒削りな印象をうけたが、透明な、それでいてグロテスクな矛盾する2つの要素が彼女の中でまじりあい、静謐さを生み出している描写は相変わらずで引き込まれた。
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