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嘘つきアーニャの真っ赤な真実 の商品レビュー

4.4

374件のお客様レビュー

  1. 5つ

    191

  2. 4つ

    101

  3. 3つ

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2021/01/03

舞台はプラハのソビエト学校。主人公のマリは父親が日本共産党の幹部であり、党を代表してプラハにある○○(名称は忘れたが革マルの世界版みたいなやつ)へ出向している。当時のソビエトと周囲の衛星国(チェコ、ルーマニア、ポーランド、ベラルーシ)で社会主義が理想の社会であると、当然のごとく信...

舞台はプラハのソビエト学校。主人公のマリは父親が日本共産党の幹部であり、党を代表してプラハにある○○(名称は忘れたが革マルの世界版みたいなやつ)へ出向している。当時のソビエトと周囲の衛星国(チェコ、ルーマニア、ポーランド、ベラルーシ)で社会主義が理想の社会であると、当然のごとく信じられている。しかし徐々に不協和音が生じ始め、プラハの春とその後の弾圧等をへてソ連は崩壊する。その後主人公のマリが当時のソビエト学校の友人と再会するという物語。今だからこそ明かされる、当時の抑圧と弾圧、そこからの変節と転向、時を経て再開する喜びと、感じざるを得ない違和感。友情を描いた本でありながら、現実の厳しさを著者独自の経験から導き出した傑作。

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2020/12/13

人から勧められたものの、なんとなく積読されてた本 これからは勧められた本はどんどん読もうと思うと心から思う それほど傑出したできだった 作者が個人的な体験を本当に大事にしながら思索をしているのがよくわかる あの時代のあの場所でないとあり得ないような稀有な体験をこの作者が余すとこな...

人から勧められたものの、なんとなく積読されてた本 これからは勧められた本はどんどん読もうと思うと心から思う それほど傑出したできだった 作者が個人的な体験を本当に大事にしながら思索をしているのがよくわかる あの時代のあの場所でないとあり得ないような稀有な体験をこの作者が余すとこなく表現できる筆力をもった奇跡に感謝したい ある種の世界の縮図ともいえる学校で新時代の思想のもと行われた教育が結果として、民族意識を強烈に意識する結果になるというのは、今グローバリズムが結果として民族主義の再燃をもたらすのを東側は先取りしていたのかと思う 共産主義という構造上民族を統合する方向に向かうかと思いきや、かえって民族主義や独裁がはびこり挫折したように、グローバリズムも民族主義や格差によって危機を迎えるのかもしれない 対照的なアーニャとヤーナスと真剣に向き合うことがいまこそ必要なんだろうと思う

Posted byブクログ

2020/11/30

何度も読む本の一つ。 NHKの番組企画で著者の母校へ行った時の記録。 生き別れた時友人達の消息を探す気持ちがありありと伝わってくる。

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2020/09/04

米原万里さんは、9歳から14歳までの間、プラハのソビエト学校に通われている。米原さんのお父様が日本共産党の幹部としてプラハに派遣されるにあたり、家族を帯同されたもの。ソビエト学校は、プラハに派遣された各国の共産党幹部の子弟が通う一種のインターナショナルスクールで、50カ国の生徒で...

米原万里さんは、9歳から14歳までの間、プラハのソビエト学校に通われている。米原さんのお父様が日本共産党の幹部としてプラハに派遣されるにあたり、家族を帯同されたもの。ソビエト学校は、プラハに派遣された各国の共産党幹部の子弟が通う一種のインターナショナルスクールで、50カ国の生徒で構成されていた。授業は、ロシア語で行われる。 米原さんは、14歳の時、1964年に日本に帰国される。それから、30年を経た1990年代の半ばに、当時、仲の良かった、ソビエト学校の3人の同級生を探すことにトライする。3人の国籍は、ギリシア、ルーマニア、ユーゴスラビア。 3人を探す旅は、NHKで「わが心の旅 プラハ・4つの国の同級生」という番組として、1996年2月3日に放送されている。この番組は、実際にYou Tubeで視聴可能だ。私も観た。 本書の発行は、2001年なので、米原さんは、テレビ放送の後で、この話を書籍化されたのだと思う。本書は、2002年の大宅壮一ノンフィクション賞作品でもある。 14歳と言えば、日本では中学生。ただ、この話は、中学校の同級生を30年ぶりに訪ねるという簡単な話ではない。30年の間に歴史は大きく動いている。 ■ベルリンの壁崩壊が1989年 ■ソビエト連邦解体が1991年 ■ユーゴスラビア内戦は1991年から ソビエト学校のおおもとのソ連自体がなくなり、その衛星国であった東欧の社会主義国は体制が大きく変わり、また、ユーゴでは内戦が始まる。その過程で、共産主義そのものの力、東欧各国の共産党の力は弱体化する。それは、当然、各国の共産党幹部の子弟であった、米原さんの3人の同級生のその後の人生に大きな影響を与えずにはいられない。 と考えると、米原さんの同級生探しは、とてもスケールの大きな、激動の歴史の影響を探る旅でもあったのだ。 どちらが先でも構わないと思うが、本書とYou Tubeでの番組の両方を見られると、より立体的にストーリーを楽しむことが出来ると思います。

Posted byブクログ

2020/05/27

旧友と再会するふわふわ物語かと思ったら全然違った件。 社会主義と資本主義、共産主義、民族紛争、人種差別……激動の時代を生き抜いた少女達の歴史ノンフィクションエッセイ。ページを捲る指が止められなかったし、読了したら目に見えない何かに圧倒させられた。 そして、如何に自分が“この時代...

旧友と再会するふわふわ物語かと思ったら全然違った件。 社会主義と資本主義、共産主義、民族紛争、人種差別……激動の時代を生き抜いた少女達の歴史ノンフィクションエッセイ。ページを捲る指が止められなかったし、読了したら目に見えない何かに圧倒させられた。 そして、如何に自分が“この時代の史実”に関して無知であるかを実感させられる。と同時に平和や愛国心、情報などに対して考えさせられる。 深い。実に深い一冊だった。物凄いドキュメンタリーである。推薦されるのも納得。ふと思い立った時に絶対に読み返したいなと思う。 「こういう本だったよ」と説明するのは簡単なようで難しい。それに、なんだか勿体無いから「取り敢えず読め」と言いたくなる本でした。

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2020/05/24

毎年、毎年、読み返してしまう本です。 米原万里さんのプラハでの生活、当時の見ることができなかった東欧やソビエト連邦、たくさんの知りたかった東欧の国々、ロシア(ソ連)諸国の事を知ることが出来ました。 米原万里さんのお友達の方々も魅力的です。 こちらの内容の一部である、あの時のお友達...

毎年、毎年、読み返してしまう本です。 米原万里さんのプラハでの生活、当時の見ることができなかった東欧やソビエト連邦、たくさんの知りたかった東欧の国々、ロシア(ソ連)諸国の事を知ることが出来ました。 米原万里さんのお友達の方々も魅力的です。 こちらの内容の一部である、あの時のお友達たちを海外まで行き、探し歩く、ということをテレビで過去に放送されたようで、ネットで観たことがあります。 こちらを観たら、さらに雰囲気が伝わってきました。

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2020/05/22

フィクションかと思うほどの友人たちとの会話のテンポの良さと続きが気になるワクワク感。筆者の友人3人の姿が目に浮かぶようなわかりやすい描写。ただ、東欧の歴史の知識が浅いと理解できない点もあり、特にルーマニアについてはもっと勉強する必要があると感じた。

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2020/05/22

日本経済新聞で紹介! 著者はソビエト学校で個性的な友達と先生に囲まれ毎日を過ごした。30年後知り得なかった真実に出会う。

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2020/10/06

トップレベルで私に影響を与えた本。 初めて読んだのは中学2年生、14歳。 その後学生時代を通し、ヤスミンカの「白い都 ベオグラード」に憧れ続け、6年後、私は実際にバルカン半島に訪れた。ドナウ河とサヴァ河の合流地、ベオグラード。ヤスミンカの言う通り、白い都ではないことを確認し、満足...

トップレベルで私に影響を与えた本。 初めて読んだのは中学2年生、14歳。 その後学生時代を通し、ヤスミンカの「白い都 ベオグラード」に憧れ続け、6年後、私は実際にバルカン半島に訪れた。ドナウ河とサヴァ河の合流地、ベオグラード。ヤスミンカの言う通り、白い都ではないことを確認し、満足した。 それまで幾度となく読み返し、自分の見る光景と少女たちの視点を合わせようとした。 それはたぶん、私自身のナショナリズムを確かめたかったからではないか。私にはなかった、故郷への愛着と愛憎含む自国への強い関心。私は無意識に、それらを求めたのだと思う。 米原さんの描く、プラハに住む少女たちは、14歳の私とは違った。冷静に政局を把握しながら、望郷の念が募っていく彼女たち。しかしやわい郷愁に包まれる少女時代はいつまでも続いてくれるわけではない。あっけなくイデオロギーを覆すアーニャ、東西の生活環境の違い認識するリッツア、故郷を爆撃されるヤスミンカ。それぞれ故郷へ愛着を抱くからこそ、それに翻弄されながら生きていく。 国だけではない、宗教、言語、身分、コミュニティ、他者。人間は何かに属している。彼女たちもソビエト学校にいながら、それぞれの出身国文化にも帰属していた。「好きなもの」への帰属も違う。人間とはそういう帰属で成り立つ。 その無数の帰属先は、個々で微妙な差異を持つ。わずかではあれども、それぞれの差を尊敬できねば、戦いはすぐにでも起きてしまう。望郷とナショナリズムとはそういう、面倒で割り切ることのできない感情から成立するものなのだ。 私が正体をつかむことの出来なかったナショナリズムの本質が、このエッセイに詰まっているような気がした。 面倒で割り切れない感情から生まれた悲劇が、どうか忘れ去られることのないように、祈るばかりです。 もし手に取ることがあったら是非読んでみて。

Posted byブクログ

2020/05/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ノンフィクションと思えないほど、個性的で魅力的な登場人物がたくさん登場する。そしてドラマティックな再会の場面に引き込まれた。 日本でずっと暮らしてたらあまり分からないが、多民族で形成される社会に身を置くと、嫌でも自分の民族性やナショナリズムについて意識することになる。そしてそれは、大きくて強い国でない方が、その国に占める自分の割合が大きい故に、思い入れが強くなるとの記述が印象的だった。 それは豊かな経験である一方で、民族間の戦争などのきっかけにもあるんだなと実感。もっと寛容になれればいいのにと思う。

Posted byブクログ