嘘つきアーニャの真っ赤な真実 の商品レビュー
政治、宗教、民族の影響を受けて、大人になって再開した米原さんの友達。 大きな力に翻弄され、その力への怒りを始めとした思いを持つ彼女たちと、大きな力がそれほど強くない日本で育つ私たち。どちらが幸せなのかは決められない。でも、両方の存在を知っておかなければいけないと思う。 また社会主...
政治、宗教、民族の影響を受けて、大人になって再開した米原さんの友達。 大きな力に翻弄され、その力への怒りを始めとした思いを持つ彼女たちと、大きな力がそれほど強くない日本で育つ私たち。どちらが幸せなのかは決められない。でも、両方の存在を知っておかなければいけないと思う。 また社会主義が破綻してしまったことに、人間がどうしても自己利益に走ってしまう、弱さを実感した。 単純にエッセイとしても楽しめるし、考えさせられるところも多い一冊。
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中欧・ユーゴスラビアにきっかけを持つための一冊として良い本。自分の知っている世界と違う光景が見えておもしろかった。
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著者が少女時代過ごしたプラハ、ソビエト学校で出会った親友3人を30年後に探して会いにいく物語。 国籍、言葉、文化が異なる子供達が通う学校で、各自が祖国を説明する授業では皆それぞれが生き生きと自慢気に語っていた。先生たちが個性を尊重する教育、生徒の才能を見出した時には歓喜の声を上...
著者が少女時代過ごしたプラハ、ソビエト学校で出会った親友3人を30年後に探して会いにいく物語。 国籍、言葉、文化が異なる子供達が通う学校で、各自が祖国を説明する授業では皆それぞれが生き生きと自慢気に語っていた。先生たちが個性を尊重する教育、生徒の才能を見出した時には歓喜の声を上げ、他の先生を呼びに行くなど、才能は国の財産という考え方は、日本にはあまり無い感覚で、ただただ羨ましい。 不安定な社会情勢の中、明日にも爆撃されるかもしれない場所に居る友を案じ、亡命しないのか?と聞く場面は涙なしには読めなかった。祖国とは何か?ルーツとはなにか?を改めて考えされらた。
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著者が少女時代の一時期を過ごした、プラハのソビエト学校での同級生の当時のエピソードとその後久しぶりに再会したときの話をまとめたもの。 東西冷戦という時代について体感として分からないのですが、日本人としてこんなにも冷戦の影響を「直接」に受けて育った人はあまり多くないのではないでしょ...
著者が少女時代の一時期を過ごした、プラハのソビエト学校での同級生の当時のエピソードとその後久しぶりに再会したときの話をまとめたもの。 東西冷戦という時代について体感として分からないのですが、日本人としてこんなにも冷戦の影響を「直接」に受けて育った人はあまり多くないのではないでしょうか。 クラスはとてもインターナショナルで、インターナショナルで故国を離れている人が多いからこそ、愛国心も高まる。そして国と国との関係が変わると同級生同士でも付き合いづらくなったり、また仲良くなったりする。少年少女にとってはかなりしんどい部分もあったんじゃないかと思ってしまいます。とくにヤスミンカの話ではそう感じました。 ただ辛いこともありつつ、著者の語り口の中には、当時の学校生活を楽しい思い出と感じてるのもひしひしと伝わってきます。そうやっていろんな国の友達と仲良くなって、いろんな国の文化を知ることができる、なかなかできない素敵な環境だったんだろうなと思います。 約30年ぶりの再会のシーンもそれぞれ感動的であり、悲喜こもごもでした。
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『ジョコビッチ』の(また)翻訳者が、『ジョコビッチ』を理解するために読んだ本の中の一冊。旧ユーゴスラビアのことがわかるというので借りて読んだ。 この著者の本が初めてで、一章読んで、著者の思い出話?(中二のときにチェコにあるソビエト学校へ通っていた)と思ったが、三賞の、まさに旧ユー...
『ジョコビッチ』の(また)翻訳者が、『ジョコビッチ』を理解するために読んだ本の中の一冊。旧ユーゴスラビアのことがわかるというので借りて読んだ。 この著者の本が初めてで、一章読んで、著者の思い出話?(中二のときにチェコにあるソビエト学校へ通っていた)と思ったが、三賞の、まさに旧ユーゴスラビアの話に感動した。 当たり前のことだけれど、『空爆なんてしてはいけない』と改めて思った。普通の人が普通に生活しているのに、と。 そして、あまりにも自分が世界の歴史を知らないことに愕然とした。
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冷戦時代にプラハのソビエト学校で過ごした作者が出会った東欧の国のクラスメート達。彼らに対する作者の思いも素敵。色んな要素が詰まっている一冊。当時の歴史を振り返りたくもなった。
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米原万里を知ったのは、佐藤優の本からだ。政治家のロシア語通訳を務めながら、下ネタも平気なスゴイ人。実際に本を読めば、よく分かる。彼女オリジナルな人生は、そしてまた稀有な友人を獲得し、彼女自身を成長させたのだろう。共産党員である父にドップリと影響を受けた学生時代に、これだけの貴重で...
米原万里を知ったのは、佐藤優の本からだ。政治家のロシア語通訳を務めながら、下ネタも平気なスゴイ人。実際に本を読めば、よく分かる。彼女オリジナルな人生は、そしてまた稀有な友人を獲得し、彼女自身を成長させたのだろう。共産党員である父にドップリと影響を受けた学生時代に、これだけの貴重でタフな人生を歩んだ。それは正に財産だ。本著は、その学生時代の友人を訪ねながら回想するというタッチで描かれている。面白く無いわけがないのである。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
--- 一九六〇年、プラハ。小学生のマリはソビエト学校で個性的な友だちに囲まれていた。男の見極め方を教えてくれるギリシア人のリッツァ。嘘つきでもみなに愛されているルーマニア人のアーニャ。クラス1の優等生、ユーゴスラビア人のヤスミンカ。それから三十年、激動の東欧で音信が途絶えた三人を捜し当てたマリは、少女時代には知りえなかった真実に出会う! 大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。
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小説にしては妙に淡泊な構成と思ったらノンフィクションだった。何を勘違いしてたんだ。さておき、起こっている歴史的事件とそれに振り回される人々の話は読み応えがあるのだが、前述の通り淡泊に「え、ここで終わり?」となりもったいない感。
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男の良し悪しの決め手は歯である(リッツァ) 日本人は当人の人間としての本質とは無関係な、容貌上の特徴をあげつらって呼ぶ。チェコ、プラハのソビエト学校では、最低の恥ずべきことであるという暗黙の了解があった 他人の才能をこれほど無私無欲に祝福する心の広さ、人の好さは、ロシア人特有...
男の良し悪しの決め手は歯である(リッツァ) 日本人は当人の人間としての本質とは無関係な、容貌上の特徴をあげつらって呼ぶ。チェコ、プラハのソビエト学校では、最低の恥ずべきことであるという暗黙の了解があった 他人の才能をこれほど無私無欲に祝福する心の広さ、人の好さは、ロシア人特有の国民性 良いエッセイだった。 「不実な美女か貞淑な醜女か」も読んでみる
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