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嘘つきアーニャの真っ赤な真実 の商品レビュー

4.4

374件のお客様レビュー

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  3. 3つ

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2016/10/21

惜しくも2006年に死去した著者の代表作。1960~64年の間に滞在したプラハでのクラスメイトの思い出と後年の再会の模様を描いている。 文章が読みやすく、人物描写がうまいので、話にどんどん引き込まれていった。 今更ながら惜しい人を亡くしたと思った次第。

Posted byブクログ

2016/10/07

作品の舞台であるプラハのソヴィエト学校は各国の共産党エリートの子弟が通う学校。作中では触れられていないけれど、著者の父である 米原昶だって、プラハ赴任の時点で元衆議院議員の経歴を持った政治エリート。そのような特殊な環境が舞台だから、描かれた日常からも歴史の重みを感じることができて...

作品の舞台であるプラハのソヴィエト学校は各国の共産党エリートの子弟が通う学校。作中では触れられていないけれど、著者の父である 米原昶だって、プラハ赴任の時点で元衆議院議員の経歴を持った政治エリート。そのような特殊な環境が舞台だから、描かれた日常からも歴史の重みを感じることができて、惹きつけられました。 イデオロギー、ナショナリズムや民族意識といったテーマも、一般の日本人の感覚とは違う角度から掘り下げられていて、一読の価値ありだと思います。

Posted byブクログ

2016/09/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 素晴らしいエッセイ。著者とその友人の関係という狭い社会と、冷戦時代の国際関係という大きな枠組みが絡み合って物語が紡がれていく。日本人にしてみるとソ連はまだ教科書などで見覚えがあるが、チェコなど東欧の衛星国となると何も知らないという人が大半だろう。そんな認識すらされていないような国でも、そこにはそれぞれの暮らしがあって、学校があって、著者をはじめ50を超える国の子供たちが学んでいたという事実になぜか感動した。  社会主義国の政治、暮らしにはマイナスイメージしかなかったが、このエッセイを読むことでそのような表面的な知識、認識から一歩先に進んでリアルな人々の生活や考え方を知ることができた。そこには社会主義が抱えていた貧富の格差という矛盾も確かにあったが、日本と変わらないところも多いと感じた。  そして何より著者と彼女の友人との友情に胸が熱くなった。

Posted byブクログ

2016/08/25

多感な時期をプラハという極めてややこしい場所で過ごすことが、これほどドラマチックな学友との再会ドラマを生む。多様な人種のるつぼの中、国家、民族、宗教…の差異は容赦なく人間関係を引き裂いていく。自分も含め、日本人は総じてこのような差異に鈍感だと思うが、それは良くも悪くも幸福な場所に...

多感な時期をプラハという極めてややこしい場所で過ごすことが、これほどドラマチックな学友との再会ドラマを生む。多様な人種のるつぼの中、国家、民族、宗教…の差異は容赦なく人間関係を引き裂いていく。自分も含め、日本人は総じてこのような差異に鈍感だと思うが、それは良くも悪くも幸福な場所にいることの証左なのだろう。 「幸せは、私のような物事を深く考えない、他人に対する想像力の乏しい人間を作りやすいのかもね」と。この幸福のつけが我々に回ってくることは、今後無いだろうか。

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2016/08/04

中華学校に通っていた友達からお勧めされた本。 なんでだろう、その友達のことがもっと好きになった。 作者の3人の友達それぞれ、とても素敵で魅力的。 珍しい少女時代を送った作者が、プラハの春を経て成長した旧友に会い、感じたこと。 ナショナリズムとか、繊細な話だけれど、ただ感じたことを...

中華学校に通っていた友達からお勧めされた本。 なんでだろう、その友達のことがもっと好きになった。 作者の3人の友達それぞれ、とても素敵で魅力的。 珍しい少女時代を送った作者が、プラハの春を経て成長した旧友に会い、感じたこと。 ナショナリズムとか、繊細な話だけれど、ただ感じたことを素朴に書いただけで、分かりやすく、考えさせられる本だった。 リッツァみたいな無二の親友とか、アーニャみたいな友達思いな子とか、ヤスミンカみたいに魅力的な人とか、良い友達ってこういうことだと思う。

Posted byブクログ

2016/07/07

非常に面白くためになった。 著者の日本人を含め、様々な国のバックボーンをもつ少女たちの交流を描いた自伝的ノンフィクション。 共産主義やイデオロギーの対立などの大人の都合で翻弄される様子やそれぞれの少女がいかに捉えて生きていったのか。 まるで自分がその場にいるかのように追体験す...

非常に面白くためになった。 著者の日本人を含め、様々な国のバックボーンをもつ少女たちの交流を描いた自伝的ノンフィクション。 共産主義やイデオロギーの対立などの大人の都合で翻弄される様子やそれぞれの少女がいかに捉えて生きていったのか。 まるで自分がその場にいるかのように追体験する事ができる。 歴史書を読むよりも現場に生きた人の声の方が遥かに生々しい。

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2016/07/10

自分の知らない現実についても少しは知らなきゃいけないと思い、フィクションだけでなくノンフィクション小説にも手を出すことにした。その第1冊目である。 最近はずっと自分個人に意識が向かっていて、読む小説も個人的な葛藤を描いたものに偏っていた。そのため、民族や国家という大きな規模の問題...

自分の知らない現実についても少しは知らなきゃいけないと思い、フィクションだけでなくノンフィクション小説にも手を出すことにした。その第1冊目である。 最近はずっと自分個人に意識が向かっていて、読む小説も個人的な葛藤を描いたものに偏っていた。そのため、民族や国家という大きな規模の問題に巻き込まれる人々の生の声を書いた本書は、より俯瞰的な視点を与えてくれるように感じた。旧友との感動の再会にも喜びだけでなく価値観の相違を目の当たりにするなど、フィクションにはない現実の味わいがあった。 社会主義と資本主義の対立、民族紛争、人種差別。在プラハ・ソビエト学校時代の旧友との対話により明らかにされるのは、こうした大きな枠組みの問題に人生を左右されることの理不尽さと不幸である。当事者の口から語られる体験や想いにはずしりとした重みがあった。枠の大きな問題も細かく拡大して見れば、そこには常に一人一人の生身の人間がいて、個々の信念や立場があり、それぞれの感情を抱えているということを実感させられる。『抽象的な人類の一員など一人も存在しない』という言葉に大切にすべきことがすべて詰まっていると感じた。そして、社会というのは巨大すぎて抽象的なものと捉えがちだが、個人からなる具体的なものであると気づかされた。

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2016/05/15

高校生の頃に読んだ米原万里は難しくて挫折した。10年の時を超えて彼女の文章に触れたら、なんだこんなに面白いなんて。 外国といったら洋も欧も東も西もぜんぶ一緒だったあのころ、知識と興味が大きく欠如していたのだな、と自覚する。 友人たちも、マリも、なんて魅力的なんだろうと一気に読みふ...

高校生の頃に読んだ米原万里は難しくて挫折した。10年の時を超えて彼女の文章に触れたら、なんだこんなに面白いなんて。 外国といったら洋も欧も東も西もぜんぶ一緒だったあのころ、知識と興味が大きく欠如していたのだな、と自覚する。 友人たちも、マリも、なんて魅力的なんだろうと一気に読みふけってしまった。

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2016/03/29

ずっと気になっていた、近代中東欧のノンフィクション。 狭い世界で、この目で見て肌で感じ、信じられるものは限られていると思うけれど……歴史はいつでも地続き。繋げてくれる一冊。

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2015/12/21

ぼちぼちでしたね。 ノンフィクションの作品ということでよんでいましたが、きっと良いことだと思いますが、なんとなく物語的でとてもよみやすかったですね。 ただ、読むタイミングが悪かったのか、政治や国際情勢にあまり知識がなかったからなのか、気持ち的に、はまることができずに読み終わりまし...

ぼちぼちでしたね。 ノンフィクションの作品ということでよんでいましたが、きっと良いことだと思いますが、なんとなく物語的でとてもよみやすかったですね。 ただ、読むタイミングが悪かったのか、政治や国際情勢にあまり知識がなかったからなのか、気持ち的に、はまることができずに読み終わりました。 それでも、それぞれの友達との再会のシーンは理想と現実のギャップの重さが感じられてよかったですね。

Posted byブクログ