羊をめぐる冒険(下) の商品レビュー
面白かった。最後のシーンが主題であるのだろう、かなり力が入っている描写だと感じた。一つ一つの文章が緻密に前後の文脈と絡みあって非常に読み心地の良いリズムを生み出している。不覚にも最後のシーンでは泣いてしまった。1つの物語を追う上でずっと固定されていた主人公は、とても読者に寄り添っ...
面白かった。最後のシーンが主題であるのだろう、かなり力が入っている描写だと感じた。一つ一つの文章が緻密に前後の文脈と絡みあって非常に読み心地の良いリズムを生み出している。不覚にも最後のシーンでは泣いてしまった。1つの物語を追う上でずっと固定されていた主人公は、とても読者に寄り添った存在であると感じた。
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やあ、どうも。ここまで村上春樹さんの作品を読んできた皆さん。お疲れ様でした。きっと感想なんて書かなくても村上春樹さんの文体やユーモア、そして物語を愛してやまないハルキストになってしまっていることだろうね。 ただ、まだ村上春樹さんのこの三部作を読んでいないそこのあなたに忠告だ。 ...
やあ、どうも。ここまで村上春樹さんの作品を読んできた皆さん。お疲れ様でした。きっと感想なんて書かなくても村上春樹さんの文体やユーモア、そして物語を愛してやまないハルキストになってしまっていることだろうね。 ただ、まだ村上春樹さんのこの三部作を読んでいないそこのあなたに忠告だ。 必ず、順番通りに読むこと。 一つ一つの作品を味わいながら読むこと。例え途中で自分に合わない作品が合ってもだ。これで君もハルキストの世界へようこそ。ってなもんです。はい。 でも、たった一つだけ、本当に大事な忠告さ。例えば、ネズミ三部作に続きがあると知っても見る時は、このネズミ三部作とは別作日だと思ってみるんだ。それが最高の結果を君に送ることになるだろう。
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「今晩荷づくりをして、明日にはひきあげるよ。彼に会ったらそう伝えておいてくれ。たぶんその必要もないと思うけれどね」 -羊をめぐる冒険、村上春樹 最後まで読んでここへ戻ってくると、なぜ彼がそれほど怒ったのか、このセリフを言ったのか、よくわかります。 何度も立ち止まって感心してしま...
「今晩荷づくりをして、明日にはひきあげるよ。彼に会ったらそう伝えておいてくれ。たぶんその必要もないと思うけれどね」 -羊をめぐる冒険、村上春樹 最後まで読んでここへ戻ってくると、なぜ彼がそれほど怒ったのか、このセリフを言ったのか、よくわかります。 何度も立ち止まって感心してしまうストーリーです。
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色々考察とか読まないと全体像は理解できない気がした。でも面白かった。きっと色々な含みのある話なんだろうなって思う。読み取ることはあんまりできなかったけど。
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いるかホテルが印象的。後半で主人公に孤独を強いるが、その寂しさは例によって悪くないものとして捉えられる。
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おもしろかったけど、あまり話がよくわからんかった。でも村上春樹さんの作品はまた読みたい。情景描写の表現はほんと素晴らしい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
『羊をめぐる冒険(下)』 村上春樹 (講談社文庫) 北海道に到着した「僕」とガールフレンドは、彼女の直感の導きで「いるかホテル」に辿り着く。 そこで「羊博士」と出会い、背中に星を持つ羊の写真が撮られた場所、山の上の牧場へと向かう。 この下巻で圧巻だったのは、「十二滝町の歴史」だ。 極寒の山地に村を切り拓いたアイヌ人の青年と、18人の開拓民の話である。 小説のストーリーとは直接の関係はないが、その貧しい農民たちの苦労話は、これから起きることの前触れのように不吉に心の底に溜まった。 さて、山の別荘に到着したのも束の間、ガールフレンドが姿を消す。 「鼠」はおらず、しかし人が暮らすには十分な準備が別荘にはあった。 「僕」は、冬の足音が迫る閉ざされた山荘で一人ぼっちになる。 実を言うと、もうこのあたりで現実か非現実かの境目が、私には分からない。 村上春樹を読むといつも迷子になる。 あの「嫌なカーブ」が何やら中陰めいていたのは、そこを越えることで何かが変わることを意味していたのかもしれない。 そして。 それを裏付けるように、あまりにもあっさりと「羊男」はやってきた。 もう何がびっくりって、あの羊男のイラストでしょう。 ずんぐりとした漫画チックでユーモラスな羊男。 例えば「鼠」という存在は「僕」の一部であるとか、そういう読み解き方ってあるよね。 確かにそれはそうなんだと思うけれども、そういうのとは別のところで、あのあまりにも直球ストレートな羊男のイラスト、というか羊男そのものが、必要以上の深読みを拒絶しているように私には思えてしまう。 あなたが感じたままでいいですよ、と。 闇の中での「僕」と「鼠」の邂逅の場面がすごい。 暗くて重くて寒くて、哀しい。 弱くない人間なんていない、と「僕」は言う。 でも、そんな一般論は今の「鼠」と「僕」にとっては何の意味もない。 「本当の弱さ」「たえまなく暗闇にひきずりこまれる弱さ」を持つ「鼠」が最後に見せた強さが、羊を拒否することだった。 「鼠」が、自分の弱さが好きだと言ったところがじんとくる。 “弱さ”をきちんと認めることのできる人は、本当は強いのだ。 「同じ材料から全くべつのものを作りあげてしまった」彼らの別れの場面は、壮絶だけれどもとてもいい。 これは喪失の物語なのだ。 ガールフレンドは不思議な力を失い、羊博士は過去を失い、運転手は“神様”を失った。 「先生」は羊を失い、黒服の秘書は、いるはずのない「鼠」によって葬られる。 物語の最後、すべてを失った「僕」が訪れたのは、故郷の砂浜とジェイズ・バーだった。 何もかも無くなってしまっても、人は帰る場所があるものなのだなぁ。 この作品の頃ぐらいから、確か村上さんは専業作家になったと思うんだけど、ジェイズ・バーを帰る場所にしたのは村上さんらしいなと思う。 青春三部作の完結編なのに、主人公が30歳というのがとてもいい。 大人になれない大人はたくさんいるから。 何度も読み返したくなる、そんな物語でした。
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映画『ドライブ・マイ・カー』を観て、村上春樹の小説が読みたくなり、本棚に眠っていた『羊をめぐる冒険』を30年ぶりに読んでみた。 そう、この感覚。30年前に二十歳かそこらで読んだ時には、自分も30歳くらいになったら、主人公のように一人でバーで酒飲んだり、友だちや彼女と不思議な冒険...
映画『ドライブ・マイ・カー』を観て、村上春樹の小説が読みたくなり、本棚に眠っていた『羊をめぐる冒険』を30年ぶりに読んでみた。 そう、この感覚。30年前に二十歳かそこらで読んだ時には、自分も30歳くらいになったら、主人公のように一人でバーで酒飲んだり、友だちや彼女と不思議な冒険のような体験をすんのかなぁと漠然と思っていた。が、実際にはそんなことはなかった。これはやはりファンタジーなのだ。 村上春樹って、女性を身体でしか見てなくて、理解しようとしていないところが、あんまり好きじゃない。この小説の、彼女との会話もスノビッシュで面白くない。黒服の秘書や運転手との会話のほうがずっといい。 クライマックスの「鼠」との対話のシーンは情感というか情念が溢れ出ていてなかなか凄い。別荘のある草原に雪が降る描写も幻想的で素晴らしい。十二滝町という架空の地名は、確か映画『ドライブ・マイ・カー』にも似たようなのが出てきたような。北海道に思い入れがあるのだろうか。
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羊に乗り移られた人々は何を感じていたのだろうか。羊と僕と鼠の物語が穏やかに混じり合い闇に消えていく、
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久しぶりに村上春樹が読みたいと思って手に取った作品でした。そして、村上ワールドを堪能できました。正直、よくわからない。けど、独特の世界を感じたくて、感じられたのでよかったです。 あの羊はなんだっただろう。 そもそも、寝るときにベッドで読んでいまいした。思考を停止させていきなが...
久しぶりに村上春樹が読みたいと思って手に取った作品でした。そして、村上ワールドを堪能できました。正直、よくわからない。けど、独特の世界を感じたくて、感じられたのでよかったです。 あの羊はなんだっただろう。 そもそも、寝るときにベッドで読んでいまいした。思考を停止させていきながら読んでいくので、わからないだろうし、わからなかったけど、私にとっても村上ワールドを堪能できたので満足です。 この作品に限らず、過去に読んだ何作かも、また、機会を作って読んでみよう。そしたら、また、違う世界が感じられるのかもと感じています。
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