銀の匙 の商品レビュー
言葉や表現がとても美しい! 感動するとか面白いとか刺激を受けるとかではなく「味わう」って感じの作品だと思います。 くどくなく、それでいて印象に残るその表現力は読んでいてとても心地よかったです。
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話の展開はゆるやかだが、お蕙との出会い・別れ、叔母さんとの再開、姉様への慕情を通じて大人になってゆく。後篇ではひねくれてるというか、気難しい性格(文壇で孤高を貫いたというのも分かる気がする)も見せるが、同時にあまりにも豊かな感受性を見せてくれ、波の音に涙を流すシーンなどはとても...
話の展開はゆるやかだが、お蕙との出会い・別れ、叔母さんとの再開、姉様への慕情を通じて大人になってゆく。後篇ではひねくれてるというか、気難しい性格(文壇で孤高を貫いたというのも分かる気がする)も見せるが、同時にあまりにも豊かな感受性を見せてくれ、波の音に涙を流すシーンなどはとても印象的。 叔母さんたちから受けた溢れんばかりの愛情は、お蕙を想う気持ちから、強さと優しさを身につけて彼を立派な男の子へと導いてくれる。再開した叔母さんと別れる際、門の前でいつまでも見送っていた叔母さんを見て、彼は何を想っていたのか・・・ただただ切ない。叔母さんも彼も、一緒に暮らしていた時の自分自身とは大きく変化していることをつよくにんしきさせられただろう。お蕙との別れ、姉様との別れでそれぞれ流した涙の対比が、彼の成長を色濃くあらわしているように思える。 人生の節目に差し掛かった時毎に、また読み返してみたいと思う小説だった。
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幼年期というものをこれほど完全に再現した作家はいない。作者はもはや「大人」ではなく、幼年期を今に生きている。 胸に苦しいくらいの浪漫。決して西洋のでない、明治の。だから泣ける。特に、主人公が成人して四国だかに乳母を訪ねるシーン。目の見えなくなった乳母は、十年ぶりに会うかつての「...
幼年期というものをこれほど完全に再現した作家はいない。作者はもはや「大人」ではなく、幼年期を今に生きている。 胸に苦しいくらいの浪漫。決して西洋のでない、明治の。だから泣ける。特に、主人公が成人して四国だかに乳母を訪ねるシーン。目の見えなくなった乳母は、十年ぶりに会うかつての「坊っちゃん」に、大量のカレイの煮付けをふるまう。カレイの煮付けっていうのがなんとも。
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小学生の時に読んだ時は何とも思わなかったが、成長してから読むと涙が出てきそうになる本。 この本を読んで、今はもう忘れ去ってしまった子供の頃の気持ちや、自分がいかに大人たちから愛されていたかを、登場人物を通して感じることが出来るのは、長い年月を生きてきた人間の特権だと思う。 銀...
小学生の時に読んだ時は何とも思わなかったが、成長してから読むと涙が出てきそうになる本。 この本を読んで、今はもう忘れ去ってしまった子供の頃の気持ちや、自分がいかに大人たちから愛されていたかを、登場人物を通して感じることが出来るのは、長い年月を生きてきた人間の特権だと思う。 銀の匙を見つける所や、鰈が出てくるシーンは、子供から大人になったからこそ感じる郷愁の念があり、個人的に一生手放すまいと思える作品。
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漱石が未曾有の作品と賛美したこの「銀の匙」は、 筆者である中勘介の幼年時代の自叙伝的小説である。 誰もが手に取るように主人公の幼少年期の追憶に浸ってしまう。 どうして、いつまで経ってもこの作品が風化することなく、 心の想念として輝きを失わないのであろうか。 だれにとっても子ど...
漱石が未曾有の作品と賛美したこの「銀の匙」は、 筆者である中勘介の幼年時代の自叙伝的小説である。 誰もが手に取るように主人公の幼少年期の追憶に浸ってしまう。 どうして、いつまで経ってもこの作品が風化することなく、 心の想念として輝きを失わないのであろうか。 だれにとっても子どもの頃のノスタルジーな回想録は、 貴重である。 そんな心理を髣髴とさせる名作だからこそ、いつまでも記憶の中の「銀の匙」が錆びない輝きをもって、光り続けるのであろう。
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夏目漱石が絶賛してから世の中の日の目を見た云われる本作。誰もが潜在的に抱く幼少時代の記憶や経験、季節の香りを丁寧な描写で綴ってある。 文学という分野に幾つかの方向性やベクトルが存在するならば、本作は幼少時代に抱く普遍的な感受性というベクトルにおいて最高峰の作品だろう。
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きれいで優しいイメージ。 枕元に置いておいて、気が向いたときにパラパラ開いたところからちょっと読んだりするのが合いそう。
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子供は、泣いても笑っても祝福された存在だ。 世界はどこまでも広く、鮮やかに輝いている。 こんな世界を自分も生きていたのだと、思い出す。
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某所で薦められていたので、読んでみました。 灘高の国語の授業で3年かけて読んでるんですね。 とても素直で美しい文章で、中也的にいうと、 月夜の浜辺の波打ち際に落ちていたひとつのボタンを 役立てようと思うわけではないけれど、 たもとにいれるような、そんな感じの大事な本に...
某所で薦められていたので、読んでみました。 灘高の国語の授業で3年かけて読んでるんですね。 とても素直で美しい文章で、中也的にいうと、 月夜の浜辺の波打ち際に落ちていたひとつのボタンを 役立てようと思うわけではないけれど、 たもとにいれるような、そんな感じの大事な本になりました。 漱石が絶賛したのはなんかわかります。 一瞬で好きな作家になりました。 レビューを大勢書いているのでびっくりしました。
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何度読んでも変わらない、言葉や情景の美しさ。 家に何冊もあるのに、店頭で見かけるとつい、買ってしまう不思議な本。
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