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悲劇の誕生 の商品レビュー

3.8

25件のお客様レビュー

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ギリシャ神話について…

ギリシャ神話について書かれた作品。レポートの課題として読みましたが、非常に難解で、理解するのにはかなりの努力を要しました。読む前に、下敷きとして、『ニーチェ入門』や『これがニーチェだ』などを読んでおくといいと思います。難解ですが、じっくり読めばわかります。そして、僕は、ニーチェの...

ギリシャ神話について書かれた作品。レポートの課題として読みましたが、非常に難解で、理解するのにはかなりの努力を要しました。読む前に、下敷きとして、『ニーチェ入門』や『これがニーチェだ』などを読んでおくといいと思います。難解ですが、じっくり読めばわかります。そして、僕は、ニーチェの人生観は嫌いです。

文庫OFF

ワーグナーの楽劇を、…

ワーグナーの楽劇を、現代ドイツ精神の復興、「悲劇の再生」として謳歌する。この書でニーチェは、早くも論理の世界を超えた詩人の顔をのぞかせる。

文庫OFF

2023/09/18

「君たちはまず此岸の慰めの芸術を学ぶべきだろう、――若い友人たちよ、君たちがあくまでもペシミストにとどまる気なら、笑うことを学ぶべきなのだ。」(28) ―― ニーチェの処女作。 ギリシャ悲劇を主題材とした芸術・音楽論。 ギリシャ悲劇・芸術の本質を、造形芸術である「アポロ的な...

「君たちはまず此岸の慰めの芸術を学ぶべきだろう、――若い友人たちよ、君たちがあくまでもペシミストにとどまる気なら、笑うことを学ぶべきなのだ。」(28) ―― ニーチェの処女作。 ギリシャ悲劇を主題材とした芸術・音楽論。 ギリシャ悲劇・芸術の本質を、造形芸術である「アポロ的なもの」と非造形的な芸術(音楽)である「ディオニュソス的なもの」の対立・二重性から解釈している。悲劇の誕生は、生と死の耐え難い苦痛を癒やすためのディオニュソス的な音楽・陶酔であり、そこに美しい仮象であるアポロ的な夢が覆いかぶさり、芸術として結実していた。しかし「ソクラテス」に象徴される過度な理性主義・理知主義・科学的認識あるいは「精神」が、ディオニュソス的な悲劇を殺したのだ――というのがニーチェの論旨と思われる。 ニーチェ思想の萌芽を感じる書物。確かにこの本が「論文」として提出されていたのであれば、アカデミックな領域からは黙殺されるだろうなぁという印象。哲学者というよりは思想家、文献学者というよりは詩人に近しいニーチェ「らしさ」が、若き28歳のニーチェからも滲み出ている。文章からニーチェのエネルギーが伝わってくるかのよう。 造形芸術と非造形的な音楽芸術との対比論は、レッシングの『ラオコオン』における造形芸術と文学との対比論ともパラレルで、芸術・美学的に重要なテーマだと思う。民謡において、「詞がメロディーを模倣しようとしてぎこちなくなっている」といった指摘は興味深かった。歌が志向しているのは言葉や詩ではなく、メロディーのほうなのだ。 この時のニーチェはギリシャ悲劇の仮面を「ぶかっこうな」小道具、造形的な仮象にすぎないものと捉えているきらいがあるが、演劇や儀礼における仮面・マスクは、演者が「自己」から忘我・離脱し、超越的存在や芸術表現と一致するための重要なファクターでもあるわけで、その意味でディオニュソス的恍惚との関連は無視できないのではないか、という点は個人的に指摘しておきたい。

Posted byブクログ

2024/05/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 エウリピデスの劇につけられている序詞(プロロゴス)ほど、われわれの舞台芸術と逆行するものはない。個々の登場人物が作品の冒頭で、自分は誰であるか、どういうことが本筋の先にあるか、今までにどういうことが起り、それどころか、作品の進行中にどういうことが起るかといったようなことまで物語るときては、緊張の効果をそぐ気まぐれな許すべからざることだと、近代の劇作家なら言うところであろう。だって、これから起ることが全部わかっているのに、それが本当に起るのを待ってみようと思うものがあるだろうか?ーーというのは、、ここには、予言的な夢が、のちにあらわれる現実に対してもつ緊張関係は起こりえないからだ。エウリピデスはまったく違った考え方をした。悲劇の効果はなにも叙事詩的な筋の緊張にもとづくものではない。いま何が起り、あとからどういうことが起るかと言う、刺戟的な不確実性にそれはもとづくものではなかった。むしろ、主人公の情熱と弁論術がもりあがって堂々とした力強い流れとなる、あの壮大な修辞的・抒情詩的な場面にもとづくのである。すべては筋のための準備ではなくて、情熱(パトス)のためのお膳立てなのだ。そして情熱のお膳立てにならないものは、じゃまになると見られる。ところで、そう言う場面に打ち込んで鑑賞することをさまたげる最大のものは、話の続きぐあいが聞き手にわかっていないこと、本筋以前の物語の折り目に穴が空いていることだ。これやあれやの人物がどういう意味を持ち、愛情や意図のおこす葛藤の一つ一つが何を前提としているのか、聞き手がそんなことに頭をひねらねばならないようでは、主要人物の苦悩や行為に完全に没頭することも、息を飲むほど主人公と共に悩み恐れることも、またできるものではない。アイスキュロスやソフォクレスの悲劇は、きわめて気のきいた芸術手段を使って、いわば偶然のように最初の二、三場のうちに、理解に必要なさまざまの糸口をすべて観衆の手に与えるようにしている。やむをえない約束事にいわば仮面をつけて、それを偶然な出来事のように思わせる優れた芸術的手腕を立証する一つの特徴だ。それでもしかしエウリピデスは次のようなことを認めぬわけにはいかないと思った。すなわち、観衆はあの最初の二、三場のあいだ、本筋以前の出来事という計算問題を解くために独特な不安におちいっており、従って序幕の詩的な美しさや情熱(パトス)が観衆にとっては失われてしまうということだ。そこで彼は除幕の前にさらに序詞を置き、信頼できるような人物の口を通して、それを知らせることにした。時には神が出てきて、悲劇の経過を観客にむかっていわば保証し、神話の実在性に対するあらゆる疑惑を取り除かねばならぬこともよくあった。ちょうどデカルトが、経験的世界の実在性を、神は誠実でうそをつくことはできぬということに訴えて、初めて証明することができたのに似ている。この神の誠実をエウリピデスは彼の劇の結末でもう一度使い、彼の主人公たちの未来を観客に保証する。これが悪評高い機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキーナ)の任務なのだ。叙事詩的な回顧と展望の中間に、劇的・抒情詩的な現在、本来の「劇」がはさまれているというわけだ。

Posted byブクログ

2023/07/02

合唱が悲劇そのものであったとする予想外な結論に、ただただ驚くばかりである。 私は悲劇を含めた戯曲というのは、言葉と間に入るナレーションだと思っていたので、たいへんにショックを受けている。 その一方で、ニーチェの作品としては、処女作だけに、言葉の毒が弱いと思った。 アポロとデ...

合唱が悲劇そのものであったとする予想外な結論に、ただただ驚くばかりである。 私は悲劇を含めた戯曲というのは、言葉と間に入るナレーションだと思っていたので、たいへんにショックを受けている。 その一方で、ニーチェの作品としては、処女作だけに、言葉の毒が弱いと思った。 アポロとディオニュソスという二つの神を作ったのは意味があって、二項対立させやすいという面もあったと思う。このように二項対立させることで単純化させやすいと思った。 西田幾多郎がニーチェの影響を受けていると、解説にあったので、納得した。どうも似ているところがあったものだから。

Posted byブクログ

2023/04/25

めっちゃ昔に読んだから内容を全く覚えていないが、人間は自分が思っているよりもずっと芸術家だ。みたいな台詞がいまでずっと残っている。ただそれだけで名著。、

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2020/07/17

ニーチェの著作の中ではまだまともな論文調を保っている作品。 歴史学から追い出された問題作とされますが、なんともドラマチック、ロマンチックな作品。

Posted byブクログ

2019/07/15

高校生のころに、「ツァラトゥストラはこう言った」などを読んで、なぜか、ニーチェが言うことが理解できた気がしていたのですが、今、30年以上が経って、このニーチェの処女作を読んでみて、その熱にうなされたようなある意味、理路がはっきりしない文脈に、「理解できた」感を得られませんでした。...

高校生のころに、「ツァラトゥストラはこう言った」などを読んで、なぜか、ニーチェが言うことが理解できた気がしていたのですが、今、30年以上が経って、このニーチェの処女作を読んでみて、その熱にうなされたようなある意味、理路がはっきりしない文脈に、「理解できた」感を得られませんでした。これはなんなのか?今更ながら、改めて、読み直しが必要だと思いました。

Posted byブクログ

2019/01/04

訳:秋山英夫、原題名:DIE GEBURT DER TRAGÖDIE(Nietzsche,Friedrich)

Posted byブクログ

2018/08/15

読み通すには根気がいる。独断的持論が展開され、論旨の繰り返しには辟易させられる。ギリシャ芸術をアポロ的なものとディオニュソス的なものとの対立軸で両者が絡み合いながら発展する過程で悲劇の誕生を論じている。直観的理解を阻むかのように難解な表現が煙に巻く。著者の高揚感と反するように冷め...

読み通すには根気がいる。独断的持論が展開され、論旨の繰り返しには辟易させられる。ギリシャ芸術をアポロ的なものとディオニュソス的なものとの対立軸で両者が絡み合いながら発展する過程で悲劇の誕生を論じている。直観的理解を阻むかのように難解な表現が煙に巻く。著者の高揚感と反するように冷めた眼で読み進めることになる。

Posted byブクログ