薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木 の商品レビュー
この話、“主役”が9人。まともに読めるか心配だったのだけど、それぞれの人物がありありと浮かんでくるのがすごい。 いろんな夫婦や恋人たちが描かれていて、その人たちの人生がみんなそれぞれどこかで重なり合っている。最初私は、「こういう人ムカツクなぁ…」という読み方をしていたのだけど、読...
この話、“主役”が9人。まともに読めるか心配だったのだけど、それぞれの人物がありありと浮かんでくるのがすごい。 いろんな夫婦や恋人たちが描かれていて、その人たちの人生がみんなそれぞれどこかで重なり合っている。最初私は、「こういう人ムカツクなぁ…」という読み方をしていたのだけど、読んでいくうちに、もしこういう人と結婚していたら、こういう兄弟がいたら、自分もこうしたかも(言ったかも)しれない、と思うことがぽろぽろ出てきた。解説で唯川恵が、誰かに自分を重ね合わせて読むのではなくて、状況や環境によって自分もその9人のうちの誰かになりえたかもしれない、もし誰それだったら…という読み方をする、と書いているのがよく分かる。 私が一番近いと思ったのは、陶子。「結婚ていいものよ」と何のためらいもなく思ったり言ったりするところ。夫の趣味で服も行く店も決められるような生活に、苦痛も何も感じない。さすがに私はそこまでいかないが(というか何のこだわりもない夫なので…)、もし水沼のような夫を選んでいたら、陶子になっていても不思議ではない。 “大人”たちをバカみたいと斜に構えて冷静に観察しながらも、今どきめずらしいイイ子を演じる桜子も、分からんでもない。私が21歳だとしても、子どもじみた思考で、れい子を心のどこかで軽蔑したりするかもしれない(だからといって彼女の夫を奪おうとはしないが)。 他にも、綾みたいな(子どもを自分の所有物のように扱いながら全く子どもを理解できない)お母さんはやだなぁ(でもめっちゃいそう)…とか、衿はフシギちゃんすぎて近寄れないけど、奔放さは素敵だなぁ…とか、いろんなタイプの人たちが出てきて楽しめた。 いろんな夫婦のかたちがあって、なんだかドロドロしてたりするし、どれもどこか不幸そうなんだけど、読後感は爽やかだった。
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ページ数が多くてちょっと読むのが大変。 長い時間を書けてじっくりと読むもヨシ、一気に全部読み終えるもヨシ。 沢山の愛の形を見ることができます
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9人の女性と、彼女達に関わる男性達を通して描かれる恋愛模様。はっきりとした起承転結があるわけでも、劇的な流れがあるわけでもなく、ごく淡々と日常が描かれている。それだけに 余計に「なんかわかる」っていう 想いにかられる。見えている生活だけが、その人の生活全てではないのだ。
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本の装丁は 本を選ぶ要因のひとつだとおもうけれど 先に 装丁が気にいって 手にとってから 江國さんの本と知った。 立ち読みはじめると 止まらなさそうだったので 購入。
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テレビのチャンネルが変わるように、いろんなシーンでいろんな人たちがいろんな事をしていろんな事を思ってる。この方の小説はトリックではなくてマジックなんだよね。すごい。(でもわかりにくかった…)
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