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オイディプス王 の商品レビュー

4.1

93件のお客様レビュー

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2020/08/02

古代ギリシャ三大悲劇詩人の一人、サポクレスの作品(戯曲) なんと紀元前427年頃の作品 完成度が高過ぎて驚く これほど時代が移り変わっても、違和感なく受け入れられる不条理作品だ ネタバレ…というか内容が世間的にあまりにもオープンになっているのでネタバレにあたるのかよくわからな...

古代ギリシャ三大悲劇詩人の一人、サポクレスの作品(戯曲) なんと紀元前427年頃の作品 完成度が高過ぎて驚く これほど時代が移り変わっても、違和感なく受け入れられる不条理作品だ ネタバレ…というか内容が世間的にあまりにもオープンになっているのでネタバレにあたるのかよくわからないが… ネタバレ有りです テバイの王ライオスは、 自分が、やがて生まれる子供の手にかかって亡き者にされ、 またその子は母親とまじわる運命にあることを神託に告げられる その男の子であるオイディプスは、お前は父親を殺し、母親とまじわるだろうと告げられる そしてオイディプスは4人の男女の子供を授かる ああ、悲劇以外の何ものでもない どうして、こんなひどい運命を授かるために生まれてきたのか 物語は劇として進行するため、登場人物もそう多くなく、シンプルでわかりやすい いちいち「宮殿の扉が開かれ、〇〇が登場」 といった感じの注釈がある また劇の本編の対話部分が一段落するごとに、コロス(合唱隊)が登場し正歌と対歌で構成される 作品の補足的かつ、重要な役目をし、韻律を踏んだコーラス部門という感じなのだが、これを訳して活字にしてしまうと、難しく、非常にわかりづらい 想像力が不足し、コロスの重要さが伝わらずとても残念だ 結構な紙面を使っているだけに、もったいないなぁ… というわけでコロスは気になりつつも、本編に集中することに 不運のオイディプスは、ある時、真実をなんとしても追求しようと、躍起になる 徐々に真実が明らかになる過程の緊張感は、答えを知っていても、ページをめくるのが恐ろしいほどだ オイディプスが躍起になればなるほど、自分自身が追い詰められていく 読んでいて酸素が薄くなって苦しくなる 皆が楽観的な結論を望み続ける中、悲劇の真実が明らかになるこの逆行する展開もなんとも胸が痛い 全てを知ったオイディプスはどうするのか オイディプスの母であり、妃は、子供達は… 現代の小説からすればツッコミどころは満載だが、なんせ紀元前に書かれたものである よくできた構成と、真実に近づいていく緊張感、オイディプスや彼の母親兼妃の心情が手にとるようにわかる 親子、近親者、異性、運命… 人間の本質を突いた作品だからこそ、何世紀に渡って、受け入れられているのではないか 前々から一度きちんと読んでみたかったので満足 コロス部分以外、とても読みやすい(笑)

Posted byブクログ

2020/01/02

オイディプスが自らの人生を知って絶望していく中でも、それを逃げずに恐怖しながらも受けれていき、そして自分の子どもにも自らの口で伝えていくことは、私が目標としている自己受容のお手本と言ったら軽くなるかもしれないが、本当に尊敬できる態度である。 自分が仕事を放置してしまい、今明るみ...

オイディプスが自らの人生を知って絶望していく中でも、それを逃げずに恐怖しながらも受けれていき、そして自分の子どもにも自らの口で伝えていくことは、私が目標としている自己受容のお手本と言ったら軽くなるかもしれないが、本当に尊敬できる態度である。 自分が仕事を放置してしまい、今明るみに出ると評価が下がるだろうな こわいなとおもって事実から目を背けていることが本当に恥ずかしく思う。 こんな自分の弱さを伝える勇気も与えてくれた自分にとって1つのきっかけとなる良書であった。

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2019/09/01

2019.9.1 下劣な感想だと思うが、イオカステは余程美しかったんだろうな。 じゃないとちょっとなー。 物語の強度について考えさせられた。

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2019/08/27

ギリシア悲劇として名高い作品。 恐ろしい神託から逃れようとし、自分の治める国のために努力し、予言通りの悲惨な道を辿る。 「父親を殺し」「母親と交わる」とても有名な予言だけに誰もが結末を知っているわけだけれど、それだけに、自分の罪を知らぬ主人公が、国が衰退した訳を探し周り、故郷から...

ギリシア悲劇として名高い作品。 恐ろしい神託から逃れようとし、自分の治める国のために努力し、予言通りの悲惨な道を辿る。 「父親を殺し」「母親と交わる」とても有名な予言だけに誰もが結末を知っているわけだけれど、それだけに、自分の罪を知らぬ主人公が、国が衰退した訳を探し周り、故郷から離れ、羊飼いを問いただす様子が、あわれで、救いがない。無知の罪を知る瞬間の絶望感。あらすじを知っているだけでは、主人公の衝撃と絶望は伝わらないのだと思った。 一度、劇で見てみたい。

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2019/08/03

運命を聞いて逃げようとしたのに、結局予言通りになってしまった悲しい話。オイディプスの娘たちへの想いを語るとき、とても辛い気持ちになった。

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2018/03/31

戯曲を読むというのは苦手です。この話の大筋もなんとなく知っていました。それでも、読んでみると、圧倒されました。全体に尋常ではない緊迫感が詰まっていました。真相の追求と真相の現れ、そしてそれによる運命の変転。構成の仕方が見事でした。この本がものすごい昔に書かれたということを考えると...

戯曲を読むというのは苦手です。この話の大筋もなんとなく知っていました。それでも、読んでみると、圧倒されました。全体に尋常ではない緊迫感が詰まっていました。真相の追求と真相の現れ、そしてそれによる運命の変転。構成の仕方が見事でした。この本がものすごい昔に書かれたということを考えると、なんだか気が遠くなります。(2015年6月16日読了)

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2018/03/07

ギリシア神話。率直なところでは、非常な驚愕と共に心の内で叫びをあげる程に恐るべき作品だと感じた。まさに驚異・驚嘆であり、その震えをこの身で感じたまま、作品そのものを抽象的に述べることが許されるならば、爆破と爆発であったと表現しても過言ではない程の、怒涛の劇的進行だった。オイディプ...

ギリシア神話。率直なところでは、非常な驚愕と共に心の内で叫びをあげる程に恐るべき作品だと感じた。まさに驚異・驚嘆であり、その震えをこの身で感じたまま、作品そのものを抽象的に述べることが許されるならば、爆破と爆発であったと表現しても過言ではない程の、怒涛の劇的進行だった。オイディプス王は、所謂フロイトの提唱したエディプス・コンプレックスで有名であり、並のひとであれば知る物語であるし、ラカンにおいても最重視する項目であるから、概要はわたしも以前から知っている。むしろ知っているからこその驚異が文面にあり、最低でも二度読むか、確実に記憶に留めて序盤を正確に回想することが想定されているだろうと考えられてしまう程に、緻密に言葉が選ばれているように思われた。オイディプスは、終局において装飾品を手に取り、絶叫と共にこれを自らの両目に幾度も幾度も突き刺すが、その常軌を逸した行動を自然だと思わせてしまえる程の(それでも読んでいるだけの者は身を縮めてしまうが)、真に迫りくる運命の足音があり(これを演出とひとは言う)、納得させてしまえる程の隠喩・換喩があった。ラカンにおいて我々は何人たりもエディプス期を逃れられない運命にあり、ギリシアにおける一(いち)神話が、全人類が必ず遭遇したであろう悲劇を描いていると想像すると恐ろしい気持ちがこみ上げられるのは至極当然と言える。ソポクレスはエディプス期のことなど絶対に考えなかっただろう。しかし、人類を観察する過程でこのようなもの、あるいはこれに準ずる悲劇を見、そして書いたのであれば、その縮図はひとつの幾何学として、我々の幼少期にも現れるようなかたちで浮かんでくる。そうして見たとき、オイディプス王は、エディプス期の悲劇と、社会基盤の上に拡大されたその再現とも言える二度目の悲劇を被ったことになる。我々は、どのような人であれ、幼少期を懐古するならば、ひとりの偉大な小さな王であったし、オイディプス王に登場する幾人かの人物も、我々の小さな身近な人物の抽象である気がしてならない。

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2018/01/21

言わずと知れた名著。 人間世界を支配する無気味で非情な運命を、最高度の技法で描かれているという評価の通りの作品。 古典にはいつも圧倒されます。

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2015/07/02

(2015.07.02読了)(2015.07.01拝借) Eテレの「100分de名著」取り上げられたので、再読しました。 どのような話かは、知っているのですが、構成が見事です。島田雅彦さんが絶賛するのももっともです。 まさかと思われる事実が、少しずつ明らかになってゆくのをハラハラ...

(2015.07.02読了)(2015.07.01拝借) Eテレの「100分de名著」取り上げられたので、再読しました。 どのような話かは、知っているのですが、構成が見事です。島田雅彦さんが絶賛するのももっともです。 まさかと思われる事実が、少しずつ明らかになってゆくのをハラハラドキドキしながら、作中人物と一緒になって、味わうことになります。 神によって予言されたことを、必死になって回避しようとしているのですが、知らず知らずのうちに予言通りになってしまう恐ろしさを。 【目次】 凡例・まえがき プロロゴス(序章)  パロドス(入場のうた) 第一エペイソディオン  第一スタシモン 第二エペイソディオン  第二スタシモン 第三エペイソディオン  第三スタシモン 第四エペイソディオン  第四スタシモン エクソドス(終章) 解説 ●名前の由来(80頁) オイディプス=腫足 (オイディプスは捨てられるとき両足は、留め金で刺し貫かれていた) ●オイディプスの運命(91頁) 生まれるべからざる人から生まれ、まじわるべからざる人とまじわり、殺すべからざる人を殺したと知れた ●ソポクレスのアイスキュロス評(117頁) 「たとえあなたの作品が、しかるべき立派なものだとしても、しかしあなたは知りながら(自覚的・意識的に)創作してはいない」と、彼はアイスキュロスに言ったと伝えられる。 ●ソポクレスとエウリピデス(117頁) エウリピデスについては、「自分は人間のあるべき姿を詩作の中に描き、エウリピデスはあるがままの姿を描く」といって、その作風の違いを意識していた。 ●オイディプスの子供(121頁) オイディプスの二男二女(エテオクレス、ポリュネイケス、アンティゴネ、イスメネ)に関するかぎりは、イオカステとの間の子供ではなく、イオカステの死後めとったエウリュガネイアという名の妻との間に生まれた子供とされていることが、断片的な資料から確かめられている。 ☆関連図書(既読) 「プラトンの哲学」藤沢令夫著、岩波新書、1998.01.20 (2015年7月2日・記) (「BOOK」データベースより)amazon オイディプスが先王殺害犯人の探索を烈しい呪いの言葉とともに命ずる発端から恐るべき真相発見の破局へとすべてを集中させてゆく緊密な劇的構成。発端の自信に満ちた誇り高い王オイディプスと運命の運転に打ちひしがれた弱い人間オイディプスとの鮮やかな対比。数多いギリシア悲劇のなかでも、古来傑作の誉れ高い作品である。

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2014/10/04

フロイトの精神分析や大学の講義でよく耳にしたこの話を初めて読んでみた。「近親相姦」というテーマはさておき、「親殺し」といテーマはインドが舞台の「ブッダ」でも登場した(マガダ国のアジャセ王子による国王殺し)ので、結構昔から東洋・西洋でとりあげられたトピックなのではないかと知り興味深...

フロイトの精神分析や大学の講義でよく耳にしたこの話を初めて読んでみた。「近親相姦」というテーマはさておき、「親殺し」といテーマはインドが舞台の「ブッダ」でも登場した(マガダ国のアジャセ王子による国王殺し)ので、結構昔から東洋・西洋でとりあげられたトピックなのではないかと知り興味深かった。

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