オイディプス王 の商品レビュー
言うまでもなく、古代ギリシャ悲劇最高傑作との誉れ高いソポクレスによる戯曲。成立は紀元前427年と言われ、エディプス・コンプレックスの語源としても有名。知人からオススメされて初読。 もちろんオイディプスのエピソードは知っているので、話の筋は判って読んでいるのだが、それでも次々と提...
言うまでもなく、古代ギリシャ悲劇最高傑作との誉れ高いソポクレスによる戯曲。成立は紀元前427年と言われ、エディプス・コンプレックスの語源としても有名。知人からオススメされて初読。 もちろんオイディプスのエピソードは知っているので、話の筋は判って読んでいるのだが、それでも次々と提示される恐ろしい予言と、徐々に破滅への道を突き進むオイディプスの姿には惹き込まれた。翻訳も非常に読み易く、これは確かに人にオススメできる傑作だ。
Posted by
「オイディプス王」ソポクレス/藤沢令夫 訳 悲劇。石色。 第26回さいたま読書会課題図書。 たいへん読みやすかった。読了。 どんな分野でもそうなんだと思うんですが、古くて完成されているモノというのは、後続に真似されて、いろいろ付け加えられて、当代風にアレンジされてと、更新され...
「オイディプス王」ソポクレス/藤沢令夫 訳 悲劇。石色。 第26回さいたま読書会課題図書。 たいへん読みやすかった。読了。 どんな分野でもそうなんだと思うんですが、古くて完成されているモノというのは、後続に真似されて、いろいろ付け加えられて、当代風にアレンジされてと、更新されていく。 当代風のオモシロさを知った上で古典の傑作の素晴らしさを味わうのは難しいことだと思います。 (3)
Posted by
これはすごい。 こんなものが2400年以上前に書かれていたなんて。 デュレンマット「巫女の死」に関連する。
Posted by
藤沢令夫、高津春繁、呉茂一など。 このオイディプス王でも複数の訳本を、 その他のギリシア悲劇のものもあわせて 複数の訳者の本を読んで、本当に印象が 大きく変わることを実感。 この藤沢訳本は、原典に忠実でない、というような評価があるが、私が読んだ中では感じ入りやすいものだった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
古代ギリシャで生まれ、長きにわたり世界中で読まれてつづけている一冊。当時の人たちの罪悪感や価値観がよく伝わってくる。 国を苦しめていたスフィンクスを滅ぼして王となったオイディプスは、飢饉と疫病から国を救うために、彼の前の王を殺害した犯人を探し出して罰しようと試みる。しかし、物語が進むにつれ、オイディプスは自らの恐ろしい運命と向き合わざるをえなくなる‥。 偶然の要素が重なりすぎているとか、キャラクターに個性がないとか、色々と文句はいえる。でも、この物語が生まれたのが紀元前だと知れば、この物語はいま世界中にあふれるすべての物語の原点のひとつだったのではないかとも思える。
Posted by
オイシプスシンドロームの語源となりましたギリシャ悲劇です。自身の母親と知らなかったとはいえ関係を持ってしまい、それを知った時の主人公の心情がよく描かれています。 九州大学 ニックネーム:津田冬樹
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
初演から2500年後の今に至るも、劇として上演されているばかりか、フロイトはエディプス・コンプレックスの概念を、ストラヴインスキーはオペラを作り、パゾリーニは映画を撮った。それだけ普遍的なテーマを内包しているからだろう。全く予備知識なしに、この劇を見たとするならば、現代作家による不条理劇に見えるのではないか。アポロンの神託は、まさしく不条理以外の何ものでもないからだ。劇の構成もまた見事だ。個々の登場人物の葛藤と緊張の高まり、そしてクライマックスもこれ以上ないほどにドラマティック、かつ本質において悲劇的だ。
Posted by
世界史でも習う超有名な悲劇。 父を殺し、母と結ばれて子どもまで設けるなんて、まあクレオパトラの時代ならありだと思いながら読んでしまうと感情移入できないのですが、自分に置き換えて想像した時のエグさといったら相当なものです。おえ。 生まれた時から悲劇が判明するまでをずっと追うのかと思...
世界史でも習う超有名な悲劇。 父を殺し、母と結ばれて子どもまで設けるなんて、まあクレオパトラの時代ならありだと思いながら読んでしまうと感情移入できないのですが、自分に置き換えて想像した時のエグさといったら相当なものです。おえ。 生まれた時から悲劇が判明するまでをずっと追うのかと思っていましたが、人の話を聞くことで過去の悲劇を紐解いていくという構図だったのにはちょっと驚きました。 翻訳は古い言い回しを多用していて読みづらいですが、まあ古代ギリシャ語よりはわかりやすいです。
Posted by
誰もが知っている有名な物語。奈落の底へ沈んでいく劇的な展開に思わずオイディプスの運命に憐れみを感じないではいられない。 アリストテレスが「悲劇とはあわれみと恐れをひき起こすことによって、この種の諸感情のカタルシスを達成するものである」(詩学)の例の挙げたほどの古典名作であるが、徐...
誰もが知っている有名な物語。奈落の底へ沈んでいく劇的な展開に思わずオイディプスの運命に憐れみを感じないではいられない。 アリストテレスが「悲劇とはあわれみと恐れをひき起こすことによって、この種の諸感情のカタルシスを達成するものである」(詩学)の例の挙げたほどの古典名作であるが、徐々に沈んでいき明るみにされる衝撃的事実に(筋は知っていても)自分は気持ち悪くなって、次に沈黙してしまった。まさにアリストテレスの言の通りに感じ入ってしまいました! スフィンクスの謎かけを解いた知恵者として、荒廃したテバイの民を慈しむ王として登場するオイディプスの末路はまさに悲劇といってよいが、その前後の対比が象徴的で劇場性に優れて大いなる見応えとなっている。特に呪いをかけた「敵」が実は自分であり、運命の中にあったと判明したときの落差はとても迫力がありすばらしい。ただ、王が占い師の発言で激こうし、猜疑心が強くなるくだりは同人物の性格破綻でないかとも思ったが、おそれおののいた裏返しでさらに最後の対比につながると思えば、これも演劇構成の妙といえるだろう。劇間に挿入される合唱隊(コロス)の正歌と対歌は、その時々の経過を印象深く歌い上げており、沈降していく舞台の雰囲気を読者(観客)へ効果的に植えつけている。 アリストテレスは「物語を構成する出来事の中には、不合理な事柄がすこしもあってはならない。やむをえない場合には、悲劇そのものの外におかれるべきである。」(詩学)と述べているとのことだが、読んでいて、オイディプスが自分の殺した相手をそんなにも記憶していないのかとか、先王のことを本当に今まで何一つ知らずにきたのかとか、コリントスから来た羊飼いの使者もあの時の子供がテバイ王になったとテバイの者にとっくに言ってだろう、とか物語として釈然としない疑問を浮かべていたのに、そんなに昔から織り込み済みのことだったのね。(笑)余談だが、さらにアリストテレスは本物語を、出来事と行為の必然性による「逆転」と「発見」の優れた例として挙げているとのことであるが、昨今のドラマ、とりわけサスペンス劇場風のドラマ・小説はこれを範としてほしいところだ。(笑) あれ!?藤沢令夫の解説が良かったせいか、アリストテレスの掌内の「レビュー」になってしまった・・・。(笑)
Posted by
次に読むハムレットと合わせて授業で選択した時に買ったのだが6年くらい積読していたので、重い腰を上げてオイディプス・コンプレックスとはなんぞやと読み始めた。 次々と伏線が現れていき、最後の一度に最悪の形で収束しており、これをもし演劇としてみていたら息をつく暇もなかっただろう。 正...
次に読むハムレットと合わせて授業で選択した時に買ったのだが6年くらい積読していたので、重い腰を上げてオイディプス・コンプレックスとはなんぞやと読み始めた。 次々と伏線が現れていき、最後の一度に最悪の形で収束しており、これをもし演劇としてみていたら息をつく暇もなかっただろう。 正確な訳ではないそうですが、コロスの擬古文訳の韻が読んでいて非常に心地よかった。 オイディプス王がギリシャの古い伝説を題材にしてソポクレス、アイスキュロスが脚本を起こしたそうで、アイスキュロスの物語も読んでみたい。 また、本文ではないが訳者のあとがきにある物語とは何ぞやというくだりが、非常に興味深く創作について必要な要素が凝縮されていて面白かった。
Posted by