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オイディプス王 の商品レビュー

4.1

92件のお客様レビュー

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2012/11/01

さすが三大悲劇作家と呼ばれるソフォクレスの作品。 読みやすいし、素朴な人間の姿を描く先駆。 古代も現代も、人間なるものは大きく変わらなかったのだろうなーと思った。

Posted byブクログ

2012/10/20

結末知って読んでいるので、アオディプスが「真犯人は誰だ!」ってやってると「あああ」ってなります。 一番不憫なのはイオカステだと思う。結局最初から最後まで見届けた当事者は彼女だけなんですよね。父親死んじゃうし。

Posted byブクログ

2012/10/16

「すなわち、物語を構成するにあたっては、たとえその情景を目で見なくとも、事の成行きを聞いているだけで、そこに起る出来事におののいたり、いたましさを感じたりするようにつくらなければならないのである。『オイディプス王』の物語を聞く者は、まさにそのとおりのことを経験するだろう」 上の...

「すなわち、物語を構成するにあたっては、たとえその情景を目で見なくとも、事の成行きを聞いているだけで、そこに起る出来事におののいたり、いたましさを感じたりするようにつくらなければならないのである。『オイディプス王』の物語を聞く者は、まさにそのとおりのことを経験するだろう」 上の文は、解説に転載されたアリストテレス『詩学』からの引用だ。オイディプスは、人々の、そしてオイディプス自身の、解決への導きによって、ありていにいえば幸せになるために、そのために己に刻まれた業を知る。恐ろしい話だ。 『オイディプス王』の物語のなかでは、何も起こらない。すでに起こったことを、オイディプスたちは人伝いに知ってゆくだけである。悲劇のうちにすでにあったことを知ること、それがオイディプスの悲劇の始まりなのだ。読者は薄皮をめくるように、その真実へと近づいていく。なんとスリリングな小説が古代ギリシアにあったことか。

Posted byブクログ

2012/09/21

ギリシア古典のうちの一つ、いわゆる「悲劇」。オイディプスという名前は、思春期の精神状態の一つとして現れる「エディプス・コンプレックス」の語源なので、医療系の方はそちらの語の方が馴染みがあるかも。 息子に殺されるという預言に怯えて子供を遠ざけようとしたものの、預言からは逃れられず...

ギリシア古典のうちの一つ、いわゆる「悲劇」。オイディプスという名前は、思春期の精神状態の一つとして現れる「エディプス・コンプレックス」の語源なので、医療系の方はそちらの語の方が馴染みがあるかも。 息子に殺されるという預言に怯えて子供を遠ざけようとしたものの、預言からは逃れられずに父親が死ぬ(殺される)という点は、実は手塚治虫ブッダのビンビサーラ王とアジャセ王子の間にも起きたエピソード。手塚先生がどれぐらいの程度で仏典にオリジナリティを交えたのかまでは詳しく知らないけど、もしオリジナルの仏典にこのエピソードが伝えられているのであれば、古今東西を問わず、占いというものが時の為政者たちにどれほど大きな影響を与えていたのかを、この作品から窺い知ることができる。 作品としてはとても読みやすく、訳も舞台となった時代の雰囲気を損なわずに、かつ古さをあまり感じさせない素敵な状態。刊行されたのが1967年であることを考えると、驚異的と言ってよいでしょう。 しかし、この手の古典を読む時は、結婚相手の年齢とか、そういうところを深く詮索しちゃいけないんでしょうね。そうじゃないと、劇としてのリアリティがなくなるから。

Posted byブクログ

2012/08/14

初めて読んだ時に、この作品は「完璧」だと思いました。悲劇のお手本のような作品です。私は物書きでもなんでもありませんが、作者に「こんな面白い作品を生み出すことができるなんて…」と嫉妬するくらい。オイディプスの話は有名ですが、その結末を知っていたとしても、そんなことは関係なく、読者(...

初めて読んだ時に、この作品は「完璧」だと思いました。悲劇のお手本のような作品です。私は物書きでもなんでもありませんが、作者に「こんな面白い作品を生み出すことができるなんて…」と嫉妬するくらい。オイディプスの話は有名ですが、その結末を知っていたとしても、そんなことは関係なく、読者(あるいは観客)を話に引きずり込む力を持っていると思います。  先代の王が殺害され、オイディプス王が下手人を探すことから物語は始まります。そこから次々に恐ろしい事実が明らかになり、それを否定するために登場人物たちは良かれと思って様々に行動しますが、それが結果的に更なる悲劇を招き、坂を転がり落ちていくように破滅に向かっていきます。その過程を一分の隙も無く積み重ねていく緻密な構成と、そこから生み出される緊迫感が圧倒的です。  内容自体も面白いのですが、もう一つこの作品で素晴らしいと思うのは、時代や場所を越えて、物語は人の心を動かす力を持っているということです。2500年前に書かれたものが、今も傑作として生き続けていることに心が震えます。

Posted byブクログ

2014/08/19

現在を生きる自分はそりゃあもう沢山の物語に囲まれています。それなのに遥か昔のギリシアで書かれた物語が今でも人々の心を掴むことは良いものに時代は関係ないということを示してくれているのでしょう。自分はなにも懐古主義者というわけではありませんが時の洗礼を受けてもなお人々に読み継がれてき...

現在を生きる自分はそりゃあもう沢山の物語に囲まれています。それなのに遥か昔のギリシアで書かれた物語が今でも人々の心を掴むことは良いものに時代は関係ないということを示してくれているのでしょう。自分はなにも懐古主義者というわけではありませんが時の洗礼を受けてもなお人々に読み継がれてきた作品はやっぱり充分な魅力をたたえていると思っています。 今は昔と違い手軽に本を読めるようになり読者の層も広がっていますね。そのせいか教養、あるいは文化としての読書から娯楽のためだけの読書になっている気がしてなりません。もちろんそれが一方的に悪いことだとは思いません。けれどもこのような風潮の中でギリシアの偉大な作品たちのように時代を超えて人々を虜にする物語が生まれるかどうかには疑問が残ります。そしてもしそういったものが生まれないとしたらそれはすごく寂しいことだと思います。 これから、いったいどのように本と向き合ったら良いのでしょうか。売れる作品だけが世に蔓延りまだ見ぬ名作が陽の光も浴びぬうちに埋れているようで、すごく寂しく感じます。って何様。

Posted byブクログ

2012/04/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 ギリシアの有名な悲劇の一つとして挙げられることが多いため、そして個人的にギリシアに興味があることから手にとって読んでみました。この一冊を読み終わった時に、フロイト思想であるエディプスコンプレックスの所以やら、悲劇というものがどんなもので、など、今でも忘れられない感動をそしてギリシア文学への興味を掻き立てて貰った本です。おすすめ。

Posted byブクログ

2012/01/22

いわずと知れたギリシア悲劇だが,これまで読んだことがなかった。もちろん,この作品はフロイトの「エディプス・コンプレックス」,そしてそれを批判したドゥルーズ・ガタリ『アンチ・オイディプス』として有名で,男の子どもが母親を性愛の対象として欲望し,その障害である父親を殺害するという物語...

いわずと知れたギリシア悲劇だが,これまで読んだことがなかった。もちろん,この作品はフロイトの「エディプス・コンプレックス」,そしてそれを批判したドゥルーズ・ガタリ『アンチ・オイディプス』として有名で,男の子どもが母親を性愛の対象として欲望し,その障害である父親を殺害するという物語であることは知っていたが,まずは原典を読まなくては。 私は以前にアポロドーロスの『ギリシア神話』を読んでいたし,旧約聖書も『創世記』は読んでいた。わたしたちが「物語」という言葉で表現される文章を読む際に頭のなかにある文学形式は歴史のなかではかなり新しく形成されたもので,本書のように紀元前には当然当てはまらない。それを知りつつも,『ギリシア神話』や『創世記』のなかの多くの物語はわたしにとって意味不明だった。なので,本書もある程度は覚悟をして読んだのだが(だからこそ,今まで読むのを避けていたのかもしれない),その心配は無用だった。 この作品はまず演劇のために書かれたことを念頭に置く必要がある。この頃の劇の特徴として途中途中に合唱隊の歌詞が挿入される。もちろん,それも物語と関係するものだ。それ以外は台詞とト書きによって構成される。訳者によって冒頭に「劇がはじまるまでの出来事のあらすじ」が書かれてしまっていて,いわゆる「ネタバレ」なのだが,そのことは作品を読み進める上での興奮の妨げにはならない。さきほど私が書いた物語の短い概要によれば,父親を殺害するオイディプスはそもそも自身の性愛の相手が自身の母親であることを知り,殺害する相手が父親であることを知っているような書き方であったが,この作品では違っていた。オイディプスは人を殺したことがあることは認めていたが,その相手が父親であることは知らなかったし,その後結婚して子どもをもうけることになる相手が自分の母親であったことも知らなかった。だからこそ,その事実が少しずつ明るみになる過程で,自分が犯した罪の大きさを知る瞬間が読者に大きな衝撃を与えるのだ。もちろん,それはオイディプスだけでなく,その母であり妻である女性にとっても。 ともかく,この21世紀に読んでも全く遜色のない物語であった。先日観た映画『灼熱の魂』の土台にもこの物語があるのだと改めて知る。

Posted byブクログ

2011/12/11

運命に抗えない王を描いたところにソフォクレスの権力批判が現れてるような気がした。 村上春樹が「海辺のカフカ」のヒントを得た古典。

Posted byブクログ

2011/11/06

筋と結末を知っていても心をうたれた。運命からは逃れられないのか。国を救った英雄であり王から一転して二重に罪深い罪人への転落。死ぬことも能わず生きて贖わねばならない。真実を追求し正義を行うことにより自ら墓穴を掘ってしまい、善意が逆に仇となる。ライオスは自らの所行に対する罰だが、運命...

筋と結末を知っていても心をうたれた。運命からは逃れられないのか。国を救った英雄であり王から一転して二重に罪深い罪人への転落。死ぬことも能わず生きて贖わねばならない。真実を追求し正義を行うことにより自ら墓穴を掘ってしまい、善意が逆に仇となる。ライオスは自らの所行に対する罰だが、運命に翻弄されたオイディプス、イオカステに何の罪があったのか。盲目の予言者テイレシアスの知っているとはなんと恐ろしいことかという言葉は重い。知っていても避けられないものが運命だから。 19世紀にハーバード大学で専門家を総動員して完全に再現し台詞もギリシア原語で上演すると観客は最初から最後まで呪縛されたかのごとく魅せられて動かず、深い沈黙、爆発的な歓声と拍手、静粛な沈黙のうちに帰ったという。完全再現した舞台で是非観てみたい。

Posted byブクログ