ジーキル博士とハイド氏 の商品レビュー
「一度だけ、一度だけでございますが、彼の泣き声を聞きました。」 「泣き声だって。それはどんな具合かね。」と弁護士は不意に悪寒を覚えながらたずねた。 「女の泣き声、あるいは神に見放された者の泣き声というべきでしょうか。」と執事は答えた。 「わたしはひどく心をゆすぶられ、その場を離れ...
「一度だけ、一度だけでございますが、彼の泣き声を聞きました。」 「泣き声だって。それはどんな具合かね。」と弁護士は不意に悪寒を覚えながらたずねた。 「女の泣き声、あるいは神に見放された者の泣き声というべきでしょうか。」と執事は答えた。 「わたしはひどく心をゆすぶられ、その場を離れたときは、自分が泣きたいほどでした。」 思ったより面白かった!こういう、手紙とか手記で語られる話は好きだ。 自分と自分の愛憎の話。 ハイド氏が魅力的というか人間臭い部分のある人物で驚いた。ジーキルの方がさりげなく嫌な人格だと思ってたら作者もそんなようなことを言ってたらしい(訳者あとがき)。 ずっと「自分の中の悪に負けた男」の話、「戻れなくなる」ことが一番重要で致命的なんだと思ってたら、「好き好んで自分を分割して人生楽しもうとした男の話」で、「戻れなくなる」ことの意味合いが思ってたのとちょっと違った。 友情が責任ってものとほぼ同義の世界だったんだな。と思いつつ。 あとロンドンの霧の描写が体に悪そうで不気味で良かった。 完全に巻き込まれ損(楽しい人生だった、って言い残してたけど)のラニョン博士と度胸のある名執事プール、筆跡鑑定家(マニア)ゲスト、の脇役三人も良かった。
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こんなに悲しい話だなんて思わなかった。 自分じゃない自分に支配される恐怖。ジーキル博士が死んだのは命が終わったときじゃなくて戻れなくなった瞬間なんだろうな。 あー泣きそう
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もっと怖い小説なのかと思いきや、案外そうではなかったです 名作であるのがわかるくらいよく出来た話ですが私にはイマイチパンチが足りなかった
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ジーキル博士が薬を作り、それによって凶悪な人物ハイドに変身してしまう。ジーキル博士は善人のような感じだが、それに対してハイドは凶悪で恐ろしいと感じた。元々人間というものは善の心、悪の心を持つが、完全な悪というものは存在しない。この作品でハイドという完全な悪を見つけた。この本を読ん...
ジーキル博士が薬を作り、それによって凶悪な人物ハイドに変身してしまう。ジーキル博士は善人のような感じだが、それに対してハイドは凶悪で恐ろしいと感じた。元々人間というものは善の心、悪の心を持つが、完全な悪というものは存在しない。この作品でハイドという完全な悪を見つけた。この本を読んでみてもう一人の人格があったら現実にいたら怖いなと思った。人格が違うというのもおもしろい発想だと思った。
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ジーキル博士とハイド氏といえば、二重人格で有名ですよね。誰もが心に持つ「善」と「悪」がそれぞれ別の人格になってしまったら・・・やはり彼のような最期を遂げるような気がします。
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SFホラー小説。作品中全体を通して不気味な雰囲気がかもし出されており、また話の筋も面白い良作。特に最後のジーキル博士の屋敷への突入シーンはかなりの緊迫感である。
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訳が固い。岩波で比べてもとりわけ固く感じる訳。…ま、それはいいとして、着想としては面白いものの、構成に問題があるように感じる。まあ、人間心理の恐怖を取り扱ったものの端緒として評価するべきなのだろう【061125古/061129】
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多分誰もが簡単な話は知ってるであろう名作。前々から読みたかったんですけど読んだのは結構最近。訳に無駄がないので普通に小説として読みやすいです。二重人格の怖さを思い知らされる。話を知ってる人も読んでみたらいいなじゃないかなあと思います。
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読む前はハイドが博士だっけ?ジキルが博士だっけ?という状態のアホでした。短いので、あまり本読まない人にもオススメではないでしょうか。古典文学って敬遠されがちですが、これは推理小説やSF小説としても読めます。
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ミステリー好きな自分にとっては中学時代に読んだこの作品は「キター!」な本でした。己の中の善と悪の完全分離に成功した博士だが、次第にその「悪」の人格ハイドが残虐非道な事件を起こしていくのに苦悩する、なかなかドキドキするストーリーで、一気に読んでしまった覚えが。 この作品、実は歴史上...
ミステリー好きな自分にとっては中学時代に読んだこの作品は「キター!」な本でした。己の中の善と悪の完全分離に成功した博士だが、次第にその「悪」の人格ハイドが残虐非道な事件を起こしていくのに苦悩する、なかなかドキドキするストーリーで、一気に読んでしまった覚えが。 この作品、実は歴史上モデルとなった人物がいるそうなんですが…。
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