ジーキル博士とハイド氏 の商品レビュー
アタスン氏の語りにより進められる、博愛家で有名なジーキル博士と残忍なハイド氏の奇妙な関係。なんとなく二重人格の話?という印象を持っていたのですが、読んでみると、そんな単純な話ではありませんでした。 良い人と思われたい。だけど、欲望のままに自分を満足させたい。清さや愛を求める心と、...
アタスン氏の語りにより進められる、博愛家で有名なジーキル博士と残忍なハイド氏の奇妙な関係。なんとなく二重人格の話?という印象を持っていたのですが、読んでみると、そんな単純な話ではありませんでした。 良い人と思われたい。だけど、欲望のままに自分を満足させたい。清さや愛を求める心と、罪や享楽を求める欲望を併せ持つのは、いたって普通な人間の姿だと思います。だけど罪にふけりすぎると結果自分自身を滅びへと招いてしまう。でも相反する二つの心を持っているのはつらい。人の持つ葛藤をこの物語はよく現していると思います。 そう、そして、ジーキル博士に言いたいのは、そんな罪人のあなたを主は愛している、ということです。
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哲学とか文学史的な価値はともかく,一つの短編小説として,面白い。 二重人格という結末が分かっていても。
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ジーキル博士の中にある、正(生)の部分と悪の部分を分離した結果起きた事件と、その顛末。 ハイドは純粋な悪として分離した一方で、残ったジーキル博士の心は、その悪を後悔していた。 悪は次第に膨張し、ジーキル博士の心をむしばみ、恐怖させた。それでも博士は悪であるハイドになることを本能的...
ジーキル博士の中にある、正(生)の部分と悪の部分を分離した結果起きた事件と、その顛末。 ハイドは純粋な悪として分離した一方で、残ったジーキル博士の心は、その悪を後悔していた。 悪は次第に膨張し、ジーキル博士の心をむしばみ、恐怖させた。それでも博士は悪であるハイドになることを本能的に求めてしまう。 悪はドラッグだ。常に人はそれを善良なる心と、迷いによって統制しているからこそ、それを純粋に求めてしまったときには、こぼれてしまったインクのように、もう取り返しがつかないのである。
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名作であるだけあってジーキル博士=ハイドという関係はあらかじめわかっていた。もしそのことが分からないまま読み進めていたらまた面白かっただろうなぁ。 てっきりジーキル博士を主人公に書かれているのかと思ったけど、終盤を除いて殆どが友人のアターソン氏の行動を介してジーキル博士の謎に迫...
名作であるだけあってジーキル博士=ハイドという関係はあらかじめわかっていた。もしそのことが分からないまま読み進めていたらまた面白かっただろうなぁ。 てっきりジーキル博士を主人公に書かれているのかと思ったけど、終盤を除いて殆どが友人のアターソン氏の行動を介してジーキル博士の謎に迫る、という構造でなかなか興味深かった。 ジーキル博士もハイドも主題でありながら、主人公でない。
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医師ジーキルは自ら発明した秘薬によって兇悪な人物ハイドに変身するが、くり返し変身を試みるうちにやがて恐るべき破局が…。
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あまりに有名な本ですが実はきちんと読んだことが無かったので図書館で借りて読んでみました。 何と言うのかお話の筋は知ってしまっていたのであらすじの再確認と言うような作業になってしまったのはもったいないな、と思いました。でも今の情報社会で知らないでこの本に巡り合うのも少し難しそうだ...
あまりに有名な本ですが実はきちんと読んだことが無かったので図書館で借りて読んでみました。 何と言うのかお話の筋は知ってしまっていたのであらすじの再確認と言うような作業になってしまったのはもったいないな、と思いました。でも今の情報社会で知らないでこの本に巡り合うのも少し難しそうだしなあ。化学と宗教のせめぎ合いのような感があり面白かったです。
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初めてiPhoneで読んだ本。電車の往復だけで読んだのでかなり時間がかかったけど、さすが世界的に有名な一冊で、人間の深層心理描写が面白い。体が変わることは興味深いが、ハイド的面ばかりが露呈していくのは辛いとジーキルが記していることに、人生の面白さがある。 2012.1.23
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※このレビューにはネタバレを含みます
またレビューで無知をさらけだしにきた。 善と悪との絶えざる闘争。人間は善と悪という二元性を併せ持つ存在として描き出される。 私のお気に入りは、変身がたび重なる中でジキルがアタスンに対して、「自分で自分が信じられない」と言い放って、現実世界についての判断をゆだねてしまうシーンである。 これはまさにスティーブンソンが、善と悪との闘争の中で、自分を見失う人間の姿を克明にえぐり出した場面と言える。 人は、認識において「一貫性」を求めたがる。ある部分までは、理性的な判断によって対処が行われるが、対応できない部分に関しては、拒絶し遠ざける傾向にある。善と悪という正反対の事象が並立し、自己矛盾を日々生成する。そしてその断絶が大きくなり対処できなくなったとき、結果的に人をある種の絶望=思考停止状態に追いやるのではないか。 ジキルは彼の研究内で人を「二元的存在」として結論づけるとともに、多元性をもつものであることを示唆する。 社会的動物として、様々な役割を期待される人間は、大小様々なコミュニティの中に適した自分を創造し、時と場合に応じてそうした自分にアクセスする。しかし、それは究極的には二元論的世界観に収斂されていくというわけであろう。 社会が複雑化している今も、善と悪に引き裂かれる・あるいはそれを使い分ける人間存在の永遠的宿命。ジキルはその宿命からの脱却を試みた一例である。
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※このレビューにはネタバレを含みます
ジーキル博士とハイド氏が同一人物だという結末は、おそらく多くの人がすでに知っているだろう。しかし、だからと言ってこの作品を読む価値が薄れるという訳では決してない。 私がこの著作の中で最も鮮明を受けた部分は、最終章のジーキル博士の独白である。なぜ、彼がハイド氏に変身することになったのか、それを中止しようとはしなかったのか、などを語る。彼がハイド氏を自分の内に宿す前や、宿した後の話を聞けば聞くほど、彼の行動は決して奇怪なものではないと思われる。 この物語はジーキル博士だけのものではない。人類に共通する永遠の物語である。
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背徳を持たない善人にはなれなくとも、放縦自堕落を避けて己の中のハイドを成長できない不具者のままにしておくべきとの教訓を得ました。
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