白い巨塔(第5巻) の商品レビュー
五巻に及ぶ長い小説が遂に完結。 胸が締め付けられる。なんとも言えない辛い気持ち。 気づいたのですが、財前教授に感情移入し過ぎて、もっと活躍して欲しい。もっともっと困難に打ち勝って自信に満ちた物語を見せて欲しい。そう願いながらこの小説を読んでいたようです。 最期まで誇り高い態度で人...
五巻に及ぶ長い小説が遂に完結。 胸が締め付けられる。なんとも言えない辛い気持ち。 気づいたのですが、財前教授に感情移入し過ぎて、もっと活躍して欲しい。もっともっと困難に打ち勝って自信に満ちた物語を見せて欲しい。そう願いながらこの小説を読んでいたようです。 最期まで誇り高い態度で人生を駆け抜けた財前五郎に本当に感動した。 ありがとうございました。
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最後は怒涛の展開だった。 学術会議選挙に勝ち、医療裁判や学内の政治に多忙な日日を送る財前に遂に病魔が… 最後は本作らしい結末だった。
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実際には、40年ほど前の新潮文庫、白い巨塔(上・下)、続白い巨塔を本棚から取り出して再読。 映画やドラマで何度も公開されて好評だった名作だが、原作は大阪の国立浪速大学医学部を舞台にした医事紛争裁判を深く抉った社会派小説。 大学医学部の医局内での派閥争いや医学界におけるドロドロと...
実際には、40年ほど前の新潮文庫、白い巨塔(上・下)、続白い巨塔を本棚から取り出して再読。 映画やドラマで何度も公開されて好評だった名作だが、原作は大阪の国立浪速大学医学部を舞台にした医事紛争裁判を深く抉った社会派小説。 大学医学部の医局内での派閥争いや医学界におけるドロドロとした内情などの中で翻弄される患者の運命。 医療技術の進歩により、原作当時(昭和37年前後)の医療知識や治療法とは隔世の感があるのは否めないが、癌というものに対して初見時には深い感情を抱かなかったが、癌というものを身近に感じる年齢になった今、ちりょおうや手術、解剖の場面などは身につまされる思い。 主人公の財前五郎をはじめ、同僚で裁判では対立する里見助教授、鵜飼医学部長、病理の大河内教授、担当医の柳原、弁護士の関口、死亡した患者の佐々木とその妻で告訴人の佐々木よし江など、他にも登場するすべての人間の感情が生き生きと描かれており、素晴らしいヒューマンドラマでもある。 数ある山崎豊子作品の中でも代表される名作。
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シリーズ全体を通して思ったことは、特に4巻以降は裁判の話が多くて正直なところ冗長に感じてしまった。その疲れによって読み進めるペースが落ちたのは事実。しかし、解説によれば当初は3巻までの想定で作られたもので、読者からの批判を勘案して4.5巻を追加したようだ。確かに分量としては3巻ま...
シリーズ全体を通して思ったことは、特に4巻以降は裁判の話が多くて正直なところ冗長に感じてしまった。その疲れによって読み進めるペースが落ちたのは事実。しかし、解説によれば当初は3巻までの想定で作られたもので、読者からの批判を勘案して4.5巻を追加したようだ。確かに分量としては3巻までがちょうど良いと感じたし、それ以降の展開が5巻まで想定して作ったにしては何か違和感があると感じた。著者の言う植林小説ということになるだろう。そこから昭和40年代の小説に対する一般人の熱量を感じ取ることができたし、小説といえども作ったら終わりではなく、常にフィードバックを受けて変化する生き物のようなものと思える。そのスタンスをとっている著者は直向きであると思う。
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控訴審となった財前の誤診をめぐる裁判。 原告側弁護人・関口や、里見の努力によって、財前は窮地に… 控訴審に、学術会議選挙に、追われる財前に病魔の影が… 結局、財前がちゃんと診察していれば…ということなんだろうが。 本当にそうなんだろうか。 財前だからこそ、初期噴門癌を見つけて...
控訴審となった財前の誤診をめぐる裁判。 原告側弁護人・関口や、里見の努力によって、財前は窮地に… 控訴審に、学術会議選挙に、追われる財前に病魔の影が… 結局、財前がちゃんと診察していれば…ということなんだろうが。 本当にそうなんだろうか。 財前だからこそ、初期噴門癌を見つけて、手術することができたはずでないか。 佐々木庸平に死をもたらしたものは、財前だけによるものではないはずだ。 医者としてあるべき姿は、里見なのかもしれない。 が、財前のように教授がひとりひとりの患者にまで細かい目配りができるだろうか… 里見のようにすべての患者に同じように寄り添うことができるだろうか… 控訴審で原告側勝訴となるが、財前の言う様に、医師が訴えらることを恐れ、医学の進歩を阻むことになるかもしれない。 財前には最後まで戦って欲しかった気がする。 もう一度這い上がる財前を見たかった… 癌が不治の病と言われ、情報が少なかった昭和40年代に、50年以上たった今、読んでも違和感を感じない作品を書いた山崎豊子の取材力の凄まじさを感じる。 4巻、5巻は『続 白い巨塔』だったのか… 3巻までの社会的反響が大きすぎたことを受けての、続編だったのか。
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一気読み。 財前の孤独が際立った最終章。 権力にら執着して、結局残ったものは何なのだろうか。 遺書が少しだけ救いというか、 医者としての尊厳みたいなものを感じられた。 根っこの部分は癌の究明だったろうにどこからこうなつてしまったのか。 作者のものすごいエネルギーを感じた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
圧倒的。その一言に尽きる。 各人の心理と謀略を事細かに表現されてある。 財前の手術に東教授が執刀し、開腹した場面で得た感情はどんな言葉を使っても表現できない。
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通勤途中の電車内で読んでいたので、眠い日や飲み会があったりして遅々と進まなかったけど、この巻は勢いよく、外出時は早めに家を出て現地で読んだりしていた。 今読んでも全然面白かった。 タイトルが白い巨塔とあったので、大学病院の医療関係者の権力争いの様なものが中心だと思ったが、加えて医...
通勤途中の電車内で読んでいたので、眠い日や飲み会があったりして遅々と進まなかったけど、この巻は勢いよく、外出時は早めに家を出て現地で読んだりしていた。 今読んでも全然面白かった。 タイトルが白い巨塔とあったので、大学病院の医療関係者の権力争いの様なものが中心だと思ったが、加えて医事紛争裁判がその割合を大きく占めていた。 裁判は互いの主張も理解出来るので良い悪いでは簡単に片付けられないけど、原告は進める過程で嘘偽りなく事実を事実として証言し、被告は名誉や権力を得るために事実を捻じ曲げる証言をするが、自分だったらどうだろう。 この様な選択は多くはないけど何度かあった。 普段の生活でも思いもしていない事を言い忖度する事もあった。 子供の頃に両親からいつも言われてた「人に迷惑を掛けてはならん」を思い出す。 今は定年を迎えたので全てが昔の話だ。
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圧倒的な筆力。 4、5巻が続編であったと解説にあったが、以前読んだときには見落としていた。続編なしにはここまでの満足感はないように思う。 財前の手術シーンの見事な表現、絶望的な状況が頭の中に映像として浮かび上がる。さすがとしか言いようがない。
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1-3巻が元の"白い巨塔"、4-5巻が"続・白い巨塔"。 大学病院内での教授の座をめぐる権力争いとその渦中で起こる医療ミスをめぐる裁判を描く。教授選挙の決着と医療ミス第一審判決までが本編、学術会議会員選挙と控訴審判決までが続編。 昭和の金...
1-3巻が元の"白い巨塔"、4-5巻が"続・白い巨塔"。 大学病院内での教授の座をめぐる権力争いとその渦中で起こる医療ミスをめぐる裁判を描く。教授選挙の決着と医療ミス第一審判決までが本編、学術会議会員選挙と控訴審判決までが続編。 昭和の金と力の時代を描き切った作品。その意味では本編完結までが純粋な作品。 本編の医療ミス裁判の現実社会での反響が大きく、作成された続編では、裁判と主人公の身に起こる異変が並行して進む。結末は裁判と天命により主人公の人生にけりがつけられる一方、単なる悪役ではない誇り高き医療者の一面を示して終わる。
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