1,800円以上の注文で送料無料

文庫版 塗仏の宴 宴の始末 の商品レビュー

4

200件のお客様レビュー

  1. 5つ

    74

  2. 4つ

    61

  3. 3つ

    51

  4. 2つ

    6

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2019/10/11

韮山でお祭り騒ぎ。まさに宴。 これまでの事件と登場人物が錯綜し、暴れ回り、ひとつにまとまり、収束する。 これがシリーズ最終巻かと思う程の収まりの良さ。 京極堂が(榎木津曰くの)三馬鹿を騙さなかったのが知れる場面に、うるっときた。 「許した女、癒した男、呪った男」ーでは、憑物落とし...

韮山でお祭り騒ぎ。まさに宴。 これまでの事件と登場人物が錯綜し、暴れ回り、ひとつにまとまり、収束する。 これがシリーズ最終巻かと思う程の収まりの良さ。 京極堂が(榎木津曰くの)三馬鹿を騙さなかったのが知れる場面に、うるっときた。 「許した女、癒した男、呪った男」ーでは、憑物落としは誰かを祝うのか?

Posted byブクログ

2019/09/23

宴の支度で壮大に広げた風呂敷を畳にかかる、塗仏の始末の後半となる本作。ミステリーというよりも冒険小説と呼ぶ方がふさわしい、敵味方入り乱れる「宴」が韮山の地で展開される。 本作をミステリーというよりも冒険小説というのには2つの理由がある。 1つには、本作では解くべき謎が明確に提示...

宴の支度で壮大に広げた風呂敷を畳にかかる、塗仏の始末の後半となる本作。ミステリーというよりも冒険小説と呼ぶ方がふさわしい、敵味方入り乱れる「宴」が韮山の地で展開される。 本作をミステリーというよりも冒険小説というのには2つの理由がある。 1つには、本作では解くべき謎が明確に提示されるわけではないということだ。確かに「各人が目指す韮山には何があるのか」という大きな謎は存在するものの、物語全体の主題とはなっていない。 もう1つには本作の黒幕とされる人物が使うことができる能力が、人の記憶を自由に操作することが出来るというものだからだ。 狭義の謎解きミステリーにおいてはいくつかの「お作法」が暗黙の前提として置かれているが、犯人が記憶を捏造することが可能というのは、そのお作法などから外れてしまっている。とはいえ、ここでいうお作法はあくまで「狭義の謎解きミステリー」向けのものなので、それを理由として本作の価値が下がるわけではない。ただ、純粋な謎解きではなくなったというだけだ。

Posted byブクログ

2019/09/22

 『絡新婦の理』が静なら、こっちは動。  占い師、霊感少年、気功道場、漢方薬局、風水経営指南、自己啓発講習、私設研究団体、新興宗教と怪しい面々が、住民の消えた「へびと村」を目指して、狂騒を繰り広げ、ついに乱闘騒ぎになっていく。霊感少年は京極堂に「出てくるな」という伝言を寄越す。 ...

 『絡新婦の理』が静なら、こっちは動。  占い師、霊感少年、気功道場、漢方薬局、風水経営指南、自己啓発講習、私設研究団体、新興宗教と怪しい面々が、住民の消えた「へびと村」を目指して、狂騒を繰り広げ、ついに乱闘騒ぎになっていく。霊感少年は京極堂に「出てくるな」という伝言を寄越す。  京極堂が動かないのは、これが彼と関わりのある事件、旧陸軍研究所にかかわった事件だからである。そんな京極堂をプッシュするのは、その特殊な能力によって真相に到達している探偵・榎木津である。結局、京極堂も「へびと村」に乗り込んでいくのだが、今回、ケンカも強い榎木津の活躍は著しいので、榎木津ファンは喝采されよ。  キーワードは本末転倒。塗仏はじめ「宴の支度」でタイトルに挙げられた妖怪は、名称と図像しか残っておらず、その内実がわからないものばかりである。

Posted byブクログ

2019/09/01

 事件らしい事件が起こっているのかも分からず、物語は収縮して行き、最後は京極堂の語りで閉じられる。だが、首謀者である堂島に制裁を加えられるでもなくてすっきりとはしない。綺麗にたたんでいるが、こんなに風呂敷をでかくしなくても良かったのにとは思う。長すぎて、考えることを止める効果のあ...

 事件らしい事件が起こっているのかも分からず、物語は収縮して行き、最後は京極堂の語りで閉じられる。だが、首謀者である堂島に制裁を加えられるでもなくてすっきりとはしない。綺麗にたたんでいるが、こんなに風呂敷をでかくしなくても良かったのにとは思う。長すぎて、考えることを止める効果のある催眠にかかっているようだった。  関口は、刑事になじられるだけなじられて、最後まで出てこないという、らしいと言えばらしい展開。普通になって戻って来れるのだろうか。そこが心配。  刑事部屋や村で、ずっと堂島が見ていたのだが、堂島は刑事たちに対しても効きの早い催眠術を使えるのだろうか。ある意味、無敵の存在だ。会いたくはない。この先にも出ては来ないだろう。一回限りのボスと見た。  記憶から消えると歴史から存在しなくなる。正しいのは何なのだろうか。記憶なんて曖昧なものだが、体は存在している。それだけで良いのかも。  塗仏の宴とは何だったのだろうか。塗仏がよく分からないので、何もわかってない奴らの宴なのか。妖怪研究家の多田克己は、塗仏は目が出ていて尻尾があるから、目出度いとかけているのかもと書いてあったので、洒落なのかもしれない。佐伯家の面々の名称も洒落だったし。或いは、塗仏の絵は仏壇の前でふざけている人でもあり、仏壇で目出度いというのも不謹慎を表していて、人でゲームをする堂島のことになるのかな。無理矢理な気もする考えだけど。  結局は不老不死を探す過程で消された家族が、インチキ商売をやって競わされていたという話。長いだけあって読んだままに終わったのでそこはスッキリしている。

Posted byブクログ

2019/06/16

京極さんの最高傑作は「魍魎の匣」だと思っているが、一番調子に乗っていたのは、この本が出たころじゃないのかなという気がする。 何しろ次はもっと、もっと、と期待させるシリーズだし、作者もそれに応えるべく、内容も本の分厚さも際限なく膨らんでいった。 大風呂敷もここまで広げたか、と感嘆す...

京極さんの最高傑作は「魍魎の匣」だと思っているが、一番調子に乗っていたのは、この本が出たころじゃないのかなという気がする。 何しろ次はもっと、もっと、と期待させるシリーズだし、作者もそれに応えるべく、内容も本の分厚さも際限なく膨らんでいった。 大風呂敷もここまで広げたか、と感嘆するしかない。 さすがに広げすぎて、たたみ切るのに苦労したか。 ミステリー的要素がやや弱く感じるから始末のつけ方に不満も残る。 それでも面白い。 これだけのストーリーテラー、文章の使い手はちょっと他にはいないなあ。 センテンスが突き刺さる。 中禅寺の奥さんが、すっくと立ち、「猫も連れて行きます」 こういうところがたまらん。

Posted byブクログ

2019/04/22

後の始末をお願いします――。京極堂、覚悟を決める。 「愉しかったでしょう。こんなに長い間、楽しませてあげたんですからねえ」。その男はそう言った。蓮台寺温泉裸女殺害犯の嫌疑で逮捕された関口巽と、伊豆韮山の山深く分け入らんとする宗教集団。接点は果たしてあるのか? ようやく乗り出した...

後の始末をお願いします――。京極堂、覚悟を決める。 「愉しかったでしょう。こんなに長い間、楽しませてあげたんですからねえ」。その男はそう言った。蓮台寺温泉裸女殺害犯の嫌疑で逮捕された関口巽と、伊豆韮山の山深く分け入らんとする宗教集団。接点は果たしてあるのか? ようやく乗り出した京極堂が、怒りと哀しみをもって開示する「宴(ゲーム)」の驚愕の真相。 消化不良の感が否めない。 長々と続いたが、最後の憑き物落としはちょっといただけない。 ただ、次につなげる意味ではアリなのかとも思う。 ボスも出て来たし良しとしよう。 ただ初見では感想もたどたどしいなぁ。

Posted byブクログ

2018/12/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

長すぎて手に取れなかった大好きなシリーズ。 電子書籍でようやっと。 長すぎるから読むのも時間かかるかと思いきや、 久々の京極ワールドにどっぷりはまってしまい、 一気読み。 どうやって韮山に収束するのか 不安になった宴の支度。 見事に1箇所に集まってきた宴の始末。 とりあえずわたしの大好きな木場さんが 生きてて泣きそうになった。 ほんとうによかった、、、、 関口さんをもっとちゃんと救ってあげてほしかったけど笑 京極堂の心の中が少しわかった気がした

Posted byブクログ

2018/05/29

宴という壮大なゲーム、嫌がらせの終わり。 これまでの事件の当事者が韮山で入り乱れる。早くなんとかして! そして、この宴の首謀者がついに登場。京極との対決にはわくわくした。 京極や美馬坂なんかの上官なのだから、手強くて当然。 どこかからずっと自分が仕掛けたゲームを...

宴という壮大なゲーム、嫌がらせの終わり。 これまでの事件の当事者が韮山で入り乱れる。早くなんとかして! そして、この宴の首謀者がついに登場。京極との対決にはわくわくした。 京極や美馬坂なんかの上官なのだから、手強くて当然。 どこかからずっと自分が仕掛けたゲームを見ていたということがわかったとき、首謀者の(榎木津ですら化け物と認める)邪悪さに感服した。 徐福伝説の決着が、個人的にすごく気に入っている。 車で伊豆方面に出かけたとき、韮山の表記を見るために、巻き込まれた気の毒な村と家族、そしてかわいそうな関口を想ってしまう。。

Posted byブクログ

2019/01/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

京極堂がこれまで解決してきた事件の関係者や佐伯家、村上家、旧日本陸軍と人物相関図がごちゃごちゃしている。 旧日本陸軍の堂島大佐と今は亡き山辺が本事件の発端。 恒例の京極堂の憑き物落としが、尾国を落とす所までは威厳がありいつも通り「落ちた」感触があった。 ただ、堂島が出てきてから空気が変わったように感じた。 堂島の行いに理解はできないし人として間違ってると思ったが、京極堂の言葉をもってしても堂島を否定しきれず改心させることができなかった。 今後の堂島と京極堂の対決が楽しみ。 本編の事件(?)については、催眠術が事件関係者に的確に効いているためか、構図は壮大だが謎解き感はしなかった。読んでいくなかで明かされる事実を受けて、「なるほど」と感じた。

Posted byブクログ

2018/01/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

宴の支度に続いて、宴の始末。 どういう始末になるのかな…と思ったら、まぁそもそも支度がごちゃごちゃしていたから、始末もごちゃごちゃしていました。 たくさんの人が出てきて支度をしたら、支度をした人たちがそのまま宴の参加者で、始末は京極堂さんがネタばらしって感じで興を冷ます感じだったよ。 登場人物たちが実はみんな消えた村の血縁者で記憶を操作されていましたってのは「ほぅ…」って思ったけど、どういう過程やテクニックで記憶を操作されていたのかは「そういうものだから」って感じるしかないのかなぁ? そもそも塗仏とはなんぞや? ……ってのと同じ?! 最後の最後に塗仏にはナマズのような(うなぎだったかも?)尾っぽがあるような記述があったんだけど、それってタヌキとかムジナが化けてるような感じ? ※刑法におけるタヌキ・むじな事件には触れません。 結局は考えれば考えるほどわからなくなるけれど、案外複雑怪奇に見えたものの本体はシンプルなものなのかもしれないね。 まぁ、らじはタヌキさんは見たことがあるけれど、ムジナさんは見たことないけどね。 イモリさんとヤモリさんの違いみたいな感じなのかねぇ?

Posted byブクログ