朗読者 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
大学のドイツ語の先生に薦められて読みました。 坊やの心情やハンナの裁判での葛藤が映画よりも細かく描かれていると感じました。 特に、裁判でのハンナの一言が印象的です。 そして、最後のハンナの選択には涙が止まりませんでした。 さらに、最後の一文にも涙が溢れました。 20代の私にはハンナの選択が理解できません。 これから読み込んでいきたいと思います。
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前半は冗長で中盤も中弛みして読む手が止まることが多かった...。文盲なるが故の選択・決断とその先にある過去の行いに対する贖罪…。「わたしは…わたしが言いたいのは…あなただったら何をしましたか?」この言葉が深く突き刺さった…。
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15歳の少年が母親のような年齢の女性と関係を持ち、次第に溺れていくという展開に目が行ってしまいがちだが、この小説の主題はドイツにおける戦後世代のさまざまな葛藤だと感じた。 多くの収容所を擁していたドイツでは、親世代に対する反発心等は、同じ敗戦国の日本とはまた異なると思う。 愛...
15歳の少年が母親のような年齢の女性と関係を持ち、次第に溺れていくという展開に目が行ってしまいがちだが、この小説の主題はドイツにおける戦後世代のさまざまな葛藤だと感じた。 多くの収容所を擁していたドイツでは、親世代に対する反発心等は、同じ敗戦国の日本とはまた異なると思う。 愛した人が実はナチ時代の戦争犯罪者だった。その時自分は何ができ、何をしたいのか。悩み、苦しむ様子が丁寧に描かれている。
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久々の海外文学。 主人公の年齢は若干15歳、ヒロインのハンナは主人公の母親くらいの年齢。 年の差を超えた愛とそこに潜む深い葛藤の物語。 前半は甘い恋愛小説。 そして、後半は一転して深く重たい物語。 もし、愛する人が戦争犯罪を犯した人だったのなら、あなたはどうするだろう? ...
久々の海外文学。 主人公の年齢は若干15歳、ヒロインのハンナは主人公の母親くらいの年齢。 年の差を超えた愛とそこに潜む深い葛藤の物語。 前半は甘い恋愛小説。 そして、後半は一転して深く重たい物語。 もし、愛する人が戦争犯罪を犯した人だったのなら、あなたはどうするだろう? 僕も戦争を経験していない世代。 戦時の状況等、必死に思い浮かべようとしても、わかるはずもなく。 それでも、主人公はハンナを信じずにはいられない。 僕だったら、苦しみながら、関わり続けるか距離をとってしまうか、それくらいしかできないのかもしれない。 何故、ハンナが文盲で、それを隠そうとしたのか。 それは、僕の中で一つの大きな謎だった。
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親子ほど年の離れた相手との恋愛。 強制収容所で働くということの罪。 文盲を隠したいプライド。 過去を秘密にしていたことが裏切りなのか、その秘密を知った時に救いの手を差し伸べなかったことがことが裏切りなのか。 ただの恋愛小説ではない、重~いお話。
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感受性の強い少年と年上の女性のぎこちない恋愛で幕を開け,別れと「アウシュビッツ裁判」に物語が進む中,人間の自由や尊厳といった哲学的な問題へと続く.愛の記憶残滓に苦しみながら,大学生になったミヒャエルは裁判を見届ける.そして何より朗読,これがハンナが文盲だと知る鍵ではあるが,この朗...
感受性の強い少年と年上の女性のぎこちない恋愛で幕を開け,別れと「アウシュビッツ裁判」に物語が進む中,人間の自由や尊厳といった哲学的な問題へと続く.愛の記憶残滓に苦しみながら,大学生になったミヒャエルは裁判を見届ける.そして何より朗読,これがハンナが文盲だと知る鍵ではあるが,この朗読によって流れる静謐な時間を想うと抱きしめたくなるような気持ちになった.とても重いテーマを抱えていながら,美しい描写と深い考察,素晴らしい本です.
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・「でもわたしは大人たちに対しても、他人がよいと思うことを自分自身がよいと思うことより上位に置くべき理由はまったく認めないね」「もし他人の忠告のおかげで将来幸福になるとしても?」父は首を左右に振った。「わたしたちは幸福について話しているんじゃなくて、自由と尊厳の話をしているんだよ...
・「でもわたしは大人たちに対しても、他人がよいと思うことを自分自身がよいと思うことより上位に置くべき理由はまったく認めないね」「もし他人の忠告のおかげで将来幸福になるとしても?」父は首を左右に振った。「わたしたちは幸福について話しているんじゃなくて、自由と尊厳の話をしているんだよ」 ・「傷ついているとき、かつての傷心の思い出が再びよみがえってくることがある。自責の念にかられるときにはかつての罪悪感が、あこがれやなつかしさに浸るときにはかつての憧憬や郷愁が。ぼくたちの人生は何層にも重なっていて、以前経験したことが、成し終えられ片が付いたものとしてではなく、現在進行中の生き生きとしたものとして後の体験の中に見出されることもある。ぼくにはそのことが充分理解できる。にもかかわらず、ときにはそれが耐え難く思えるのだ」
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初めましての作家さん。 重い・・・重過ぎる・・・・ 色々と考えさせられるというか、考え過ぎてしまう作品です。 「ぼく」は物語の語り手であって、正に朗読者でしかない。 ハンナの内面を想像することはできても知る事はできなかった。 何も答えてもらえずに結末が来て、消化できない思いが 澱...
初めましての作家さん。 重い・・・重過ぎる・・・・ 色々と考えさせられるというか、考え過ぎてしまう作品です。 「ぼく」は物語の語り手であって、正に朗読者でしかない。 ハンナの内面を想像することはできても知る事はできなかった。 何も答えてもらえずに結末が来て、消化できない思いが 澱となって残り続けるんだろうなぁと・・・ ハンナの最後の決断は、そんな彼に対する優しさですか? 彼の人生に踏み込まないという・・・ やはり難しいです。 映画化されてたんですね。
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映画「愛を読むひと」の原作です。 映画が良かったので、原作も読む事にしました。 映画はほぼ忠実に原作をなぞってました。
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過去に戦争犯罪を犯していた人を愛することは罪になるのか 組織的とも思想操作とも言える戦争犯罪を誰がどう裁くべきなのか 自ら体験したわけではない悲惨な出来事にどう向き合うべきか 人に言える関係、言えない関係、言いたくない関係 法廷でミヒャエルと目があった時、ハンナはなにを感じた?当時ハンナはミヒャエルをどう思っていた? 清潔で綺麗好きなハンナが刑務所生活の中で突然身なりに気を遣わなくなったのは、そして釈放直前に死を選んだのはなぜ? わたしがミヒャエルだったらハンナが文盲であることを裁判官に言っただろうか 本人に気づいたと告げただろうか わたしがハンナだったら答弁にどう答えただろうか 戦争に対しても、人と人の関係に対しても、自分や過去との向き合い方に対しても、考えさせられる部分の多い物語だった
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