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朗読者 の商品レビュー

3.8

399件のお客様レビュー

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    96

  2. 4つ

    135

  3. 3つ

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2018/11/04

・「でもわたしは大人たちに対しても、他人がよいと思うことを自分自身がよいと思うことより上位に置くべき理由はまったく認めないね」「もし他人の忠告のおかげで将来幸福になるとしても?」父は首を左右に振った。「わたしたちは幸福について話しているんじゃなくて、自由と尊厳の話をしているんだよ...

・「でもわたしは大人たちに対しても、他人がよいと思うことを自分自身がよいと思うことより上位に置くべき理由はまったく認めないね」「もし他人の忠告のおかげで将来幸福になるとしても?」父は首を左右に振った。「わたしたちは幸福について話しているんじゃなくて、自由と尊厳の話をしているんだよ」 ・「傷ついているとき、かつての傷心の思い出が再びよみがえってくることがある。自責の念にかられるときにはかつての罪悪感が、あこがれやなつかしさに浸るときにはかつての憧憬や郷愁が。ぼくたちの人生は何層にも重なっていて、以前経験したことが、成し終えられ片が付いたものとしてではなく、現在進行中の生き生きとしたものとして後の体験の中に見出されることもある。ぼくにはそのことが充分理解できる。にもかかわらず、ときにはそれが耐え難く思えるのだ」

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2018/09/17

初めましての作家さん。 重い・・・重過ぎる・・・・ 色々と考えさせられるというか、考え過ぎてしまう作品です。 「ぼく」は物語の語り手であって、正に朗読者でしかない。 ハンナの内面を想像することはできても知る事はできなかった。 何も答えてもらえずに結末が来て、消化できない思いが 澱...

初めましての作家さん。 重い・・・重過ぎる・・・・ 色々と考えさせられるというか、考え過ぎてしまう作品です。 「ぼく」は物語の語り手であって、正に朗読者でしかない。 ハンナの内面を想像することはできても知る事はできなかった。 何も答えてもらえずに結末が来て、消化できない思いが 澱となって残り続けるんだろうなぁと・・・ ハンナの最後の決断は、そんな彼に対する優しさですか? 彼の人生に踏み込まないという・・・ やはり難しいです。 映画化されてたんですね。

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2018/07/20

映画「愛を読むひと」の原作です。 映画が良かったので、原作も読む事にしました。 映画はほぼ忠実に原作をなぞってました。

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2018/07/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

過去に戦争犯罪を犯していた人を愛することは罪になるのか 組織的とも思想操作とも言える戦争犯罪を誰がどう裁くべきなのか 自ら体験したわけではない悲惨な出来事にどう向き合うべきか 人に言える関係、言えない関係、言いたくない関係 法廷でミヒャエルと目があった時、ハンナはなにを感じた?当時ハンナはミヒャエルをどう思っていた? 清潔で綺麗好きなハンナが刑務所生活の中で突然身なりに気を遣わなくなったのは、そして釈放直前に死を選んだのはなぜ? わたしがミヒャエルだったらハンナが文盲であることを裁判官に言っただろうか 本人に気づいたと告げただろうか わたしがハンナだったら答弁にどう答えただろうか 戦争に対しても、人と人の関係に対しても、自分や過去との向き合い方に対しても、考えさせられる部分の多い物語だった

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2018/06/14

ドイツの友人からおすすめされて日本語訳版で読んだ。男の子が大人になっていく。ドイツの歴史を少しずつ知っていきたいと思える。

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2018/04/07

私たちは「あの出来事」を、どう思い出すべきなのか。 無機質を気取って、他者の過ちだと斬って捨てるのか、理解しようと努め、苦しみ続けるのか。

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2018/01/14

私にとって素晴らしい作品とは「分からない/判断がつかない部分がある」点で共通していると思う。 登場人物の発言や行動にうまくは飲み込みきれない何かがある。だから二回、三回と読み返し、演劇や映画といった別の手法による表現に触れて、あらためて考える。 そういった「繰り返し」に耐える力の...

私にとって素晴らしい作品とは「分からない/判断がつかない部分がある」点で共通していると思う。 登場人物の発言や行動にうまくは飲み込みきれない何かがある。だから二回、三回と読み返し、演劇や映画といった別の手法による表現に触れて、あらためて考える。 そういった「繰り返し」に耐える力のある物語が、時の審判の中で古典になっていくのだと思う。 きっと、この作品も古典になるのだろう。普遍性のある物語である。 一方で、ある世代の生々しさや戸惑いが含まれていることが私にも伝わってくる。発刊当初はもっとリアルな感覚として共有されていたのだろう、後ろめたさのようなもの。 「朗読者」は、確か高校生の時に途中で読むのを止めてしまったのだった。その時の気持ちはもう思い出せないが、読めて良かった。

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2018/01/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

何度も読み返したくなる、とても好きな本。すごくきれいな小説だなと思う。ミヒャエルやハンナの思い、自尊心、こだわりが、鮮明にかつ赤裸々に描かれている。 15歳のミヒャエルと30代半ばのハンナとの恋から物語は始まる。毎日のようにミヒャエルはハンナの家に行き、朗読をしてセックスをする。しかしある日突然、ハンナはいなくなる。 2人の再会は、ミヒャエルが大学の授業で傍聴した裁判所だった。それはナチス時代にユダヤ人の強制収容所で看守を務めていた女性たちを裁く裁判であり、その被告としてハンナはいた。 裁判ではハンナは非常に正直にふるまった。しかし1度だけはっきりと嘘をつく。ある報告書を誰が執筆したのか、ということが問題になった時だ。裁判官が筆跡鑑定をしようとしたところ、ハンナが自分が書いたと嘘をつくのだ。ハンナは文盲だった。書けるわけがなかった。しかし文盲だからこそ、それがバレてしまうことを最も恐れたからこそ、ハンナは嘘をついた。 ミヒャエルはハンナが文盲だということに気づいていた。だから苦悩する。文盲だということを裁判官に伝えるべきか、伝えないべきか。ハンナを説得して文盲だと告白させるべきか、そうしないべきか。。。 ”そうだ、彼女はそれを(量刑を軽くし早く自由になる事--引用者)求めて闘っていた。しかし、勝利するために文盲を暴露するという代償を払うことまでは望んでいなかった。彼女は、軽を何年分か短くするために、ぼくが彼女の自己演出を暴いてしまうことも望まないだろう。自分でもそうした取引をすることができたのに、彼女はやらなかった。つまり、やりたくないわけだ。自己演出を守ることに、刑務所何年分もの価値があるわけだ。でも、その演出はほんとうにそれほど重要なのだろうか?こんなふうに彼女を束縛し、麻痺させ、自己発展を妨げている偽りの自己演出から得るものがあるのだろうか?これほどのエネルギーを費やして嘘をつき続けるくらいなら、とっくの昔に読み書きを学ぶこともできたのに”pp159 ”君は裁判官に、何がどうなっているかを言うかい?考えてごらんよ、彼はホモで、その犯行はホモでは行い得ないのに、ホモであることを恥じている。左利きやホモを恥じるべきかどうかという話じゃないんだ。考えてごらん、被告が恥ずかしがっているということが問題なんだ”pp160 ミヒャエルは結局、裁判官に何も言わなかった。そしてハンナは無期懲役になる。数年間、ミヒャエルはハンナと何も接触しない。しかし数年後、ミヒャエルは、物語の朗読を吹き込んだテープをハンナに郵送する。何もメッセージは送らず、ただ朗読だけを送り続ける。 するとある日、ハンナから短い、一言だけの手紙が届いた。ハンナは、ミヒャエルからの朗読テープを使って、字の練習をした。朗読テープと実際の本の文字とを照らし合わせながら練習したのだ。 そして、ハンナがついに仮釈放になるとの手紙がミヒャエルに届き、ミヒャエルはハンナに会いに行く。そして、釈放後の家の準備をして、釈放の前日もハンナに会いに行く。しかし、釈放の日の朝、ハンナは自殺する。 なぜ、ハンナは自殺したのだろうか。ミヒャエルにとってハンナはどんな存在だったのか。ハンナにとってミヒャエルとは。読みながら、そして読んだ後、いろんな疑問がわく小説だ。 何より、ミヒャエルとハンナがそれぞれとても魅力的な人物として描かれている。 ハンナは文盲であり、その一方で知識欲が非常に旺盛であり、誇り高くかつ非常に誠実で人望のある人物だ。ミヒャエルは、様々な葛藤の中を生きている。ハンナへの思いも複雑で、対立する思いが同居してもいる。著者のシュリンクは、そんなミヒャエルの悩みや葛藤を赤裸々に描き出す。それは、思春期における恋愛の悩みであり、あるいはナチス時代の戦犯を裁かなければならないという時代の風潮とハンナへの愛情との葛藤であり、ハンナの文盲を公開すべきかどうかという苦悩であったりする。 僕は、これは人間の誇りについての話だと思った。文盲を隠して生きていくこと、これがハンナの人生を貫く一つの大きな原理だった。それは確かに歪んでいる。文字の練習をすればよかったじゃないか。そういうのは簡単だ。しかし、文字の練習をするということは、文字が書けない自分と向き合わざるを得なくなるということでもある。ミヒャエルはそんなハンナの強い自尊心に直面し当惑したのだ。しかしそんな中、ミヒャエルが送った朗読テープを使って、ハンナは文字の練習を始める。これはとてもすごいことだ。本のなかのミヒャエルと一緒に僕は興奮した。ハンナの強さに、勇気に、感動した。 ハンナは、しかし自殺をする。いや、「だから」自殺をしたのだろうか?なぜ彼女は自殺をしたのだろうか?いまだによくわからない。 また読みたい。

Posted byブクログ

2018/01/01

強制収容所へのヒッチハイクなど,映画では省かれたシーンもある. 映画よりも詳細な描写があるので,心の機微が見えてくる.

Posted byブクログ

2017/12/18

小説の登場人物が、この時、何を想ったのだろうかという余白がある。その余白に色々と考えさせられる作品。読みやすく色々な要素を兼ね備えている作品。一昔前に、売れた理由が読んでわかったような気がする。

Posted byブクログ