五年の梅 の商品レビュー
すこしざっくりとしている印象。
後瀬の花、行き道、小田原鰹、蟹、五年の梅 すこしざっくりとしている印象。書きたいことがはっきりしているということか。 山本周五郎賞受賞作とのこと。なるほどと思った。
長束
人生に追われる市井の…
人生に追われる市井の人々の転機を鮮やかに描く。生きる力が湧く全五篇。
文庫OFF
<読了した文庫を文庫…
<読了した文庫を文庫OFFに売却する前に記念としてレビューを書きます。>藤沢周平亡き後代わりのお気に入り作家を探している最中の私ですが、その中の出会いの作家の一人が乙川優三郎でした。表題作のほか全5篇の短編集です。表題作も秀作ですが「小田原鰹」がよかったです。逆境におかれた主人公...
<読了した文庫を文庫OFFに売却する前に記念としてレビューを書きます。>藤沢周平亡き後代わりのお気に入り作家を探している最中の私ですが、その中の出会いの作家の一人が乙川優三郎でした。表題作のほか全5篇の短編集です。表題作も秀作ですが「小田原鰹」がよかったです。逆境におかれた主人公の強さと優しさが読者を感動させます。
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短編5編収録。テーマ…
短編5編収録。テーマは再生でしょうか。切なくて温かい話が多いです。「蟹」がオススメ。
文庫OFF
五年の梅のほかに4篇。 「小田原鰹」が良かった。先に「かずら野」を読んだためか、主人公おかつがどうしようもない亭主を置いて家を出て、自分ための人生をつかめたことにほっとした。
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男女の機微を丁寧に細やかに描き上げてらっしゃいます。乙川勇三郎「五年の梅」、独立5編、2003.10発行。第3話「小田原鰹」が一番のお気に入り。第4話「蟹」、第5話「5年の梅」も秀作です。
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美しく良い話達でした。五年の梅と小田原鰹と蟹…みんな良かったけどこの三話が特に好きですね。乙川先生、時代小説も凄くいいです。今回は短編集でしたが次は長編を読みたいと思います。
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2001年第14回山本周五郎賞を受賞した短編集。 どんな時代にも生きるのに苦しいことがあり、その悩みはなかなか拭い去れないものでもある。そうした苦しさに心折れそうになりながらも、生きる目的・意味を見出し懸命に生きていこうとする姿を描いている。 そうした目的・意味を見出す転機...
2001年第14回山本周五郎賞を受賞した短編集。 どんな時代にも生きるのに苦しいことがあり、その悩みはなかなか拭い去れないものでもある。そうした苦しさに心折れそうになりながらも、生きる目的・意味を見出し懸命に生きていこうとする姿を描いている。 そうした目的・意味を見出す転機は意外な形で訪れることも多い。そんな転機をどう捉え、どう行動に移していくのか。人生の転機を鮮やかに描き出した作品集である。
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時代物の形を借りながら、現代人的な心理や会話の描写に身がつまされる感じで楽しめた。藤沢周平で江戸の女性の不自由な暮らしぶりを見慣れて免疫ができたからか、本作の女性たちは辛い境遇でも概ねもっと救いや主体性が確保されている。あるいは舞台を江戸時代にしてもやはり書かれた時代の影響が大き...
時代物の形を借りながら、現代人的な心理や会話の描写に身がつまされる感じで楽しめた。藤沢周平で江戸の女性の不自由な暮らしぶりを見慣れて免疫ができたからか、本作の女性たちは辛い境遇でも概ねもっと救いや主体性が確保されている。あるいは舞台を江戸時代にしてもやはり書かれた時代の影響が大きく、20世紀と21世紀の違いが見える気がする(作家にもよるとは思うけど)。一作目と五作目は急な展開の部分で(僭越ながら)もしかして書くの下手?と思えるほど整理できてない感じがしたが、総じて前向きで、ハッピーエンドでなくても読後感の良い作品が多い。 後瀬の花 いきなり奇抜な話。「地図を読めない女と話を聞かない男」を時代物にして突然死後の世界?喧嘩の口論が多いが、そこがなかなかいいことを書いているというか勉強になる。一方的に攻められた女の子の反撃がいちいち図星で妙に冷静かつ天真爛漫なところが面白かった。 行き道 同じ中年女性の分岐点を描いて次作では思い切りがうまくいき本作は踏み留まる、二人の境遇や性格の違いからそれぞれそのほうがよかったと思える、常識的で安心して読める感が良かった。自分が病気をしたときの相手の態度に対し「目には目を」的なことを繰り返し描いているので子供っぽく且つ執念深い主人公に見えるが、実際にはそこに至るまで積年のものがあっただろう。 小田原鰹 一組の夫婦を起点に上下三世代を自在に行き交いバラバラな家族とそれぞれの孤独を点描しながら少し長めの短編でまとめる、という離れ業的な作品と言えるかもしれない。出奔するおつねさんは応援したくなるような元気をくれる人物像。鹿蔵の、今でいう中高年の引きこもり的な状態からの再生は悲惨ながらも、彼女が贈り続けた鰹が世間との関わりに大きな一助となり、彼も最期結局よかったと思えたのでは。 蟹 漫画っぽいけど一番好きかも。複雑で微妙な境遇のヒロインが斬新。卑劣な男たちは時代物にはうんざりするほど出てきて、成敗されてもなんかすっきりしないことが多いけれど、現実には絶対いなさそうな岡本岡太が清々しく、彼の活躍がはっきり描かれていないところが逆にこの作品の魅力になっている気がする。 五年の梅 周りから豪胆と評されるような人の内面が、わりと単純で素直に描写されて、実際そういうものかもしれない、と思った。
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ほぼ15年ぶりに再読。一度目には読み取れなかった登場人物の心情が身につまされて、放り出したくなるくらいに辛い話もありました。特に「後瀬の花」。出会って、魅かれて、結婚して、でも時が経つほどに『何か違う…』という違和感が積もっていき、ある時気付かされるのです。『相手の姿を見ていたのではない。相手に、勝手に自分の希望を重ねて見ていたのだ』と。勝手に自分に都合よく、事実を曲げて受け取っていたのだと。誰のせいでもない、相手を選んだ自分が悪いのだと。 それでも、諦めずに投げ出さずに添い続けてみるもんですね。今は良かったと思えます。今のタイミングで再読したのも良い機会でした。 登場人物はみな、失敗や躓きを経験しています。つまり“しくじり先生”ですね。時代は違えど、良い先生ばかりですょ。
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