五年の梅 の商品レビュー
2011.5.18(水)¥178。 2011.5.20(金)。 後瀬の花、行き道、小田原鰹、蟹、五年の梅。 2001年『五年の梅』で第14回山本周五郎賞。 メモ:「世話焼き長屋―人情時代小説傑作選 (新潮文庫)」 みんなのレビューページ 著者: 池波 正太郎、乙川 優三郎(小田...
2011.5.18(水)¥178。 2011.5.20(金)。 後瀬の花、行き道、小田原鰹、蟹、五年の梅。 2001年『五年の梅』で第14回山本周五郎賞。 メモ:「世話焼き長屋―人情時代小説傑作選 (新潮文庫)」 みんなのレビューページ 著者: 池波 正太郎、乙川 優三郎(小田原鰹)、北原 亞以子、村上 元三、宇江佐 真理。 http://goo.gl/c6c7L
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周五郎と優三郎の比較から政治と文学に思いをはせる《赤松正雄の読書録ブログ》 「この人ほど文章がうまい作家はそうざらにいませんよ」―古巣の公明新聞の編集室に立ち寄った際に、かつての仲間たちの乱雑な一つ机の上に、さりげなく置いてあった一冊の本に目がいった。乙川優三郎『五年の梅』だ...
周五郎と優三郎の比較から政治と文学に思いをはせる《赤松正雄の読書録ブログ》 「この人ほど文章がうまい作家はそうざらにいませんよ」―古巣の公明新聞の編集室に立ち寄った際に、かつての仲間たちの乱雑な一つ机の上に、さりげなく置いてあった一冊の本に目がいった。乙川優三郎『五年の梅』だ。知らない作家だなあ、と呟く私を嗜めるかのごとく、冒頭の言葉が飛んできた。 9年前にこの作品集(表題のものを始めとして5短編)で山本周五郎賞を受賞、よく年『生きる』で直木賞を取ったこの作家の存在すら知らなかった私は、早速買い求めて読んだ。「一貫して、市井の人々、とりわけ社会の隅のほうにいる人々の『悲しい思い』を描き続けている」のが乙川だと解説で評論家の川本三郎が書いている。「悲しい思いの中から、彼がどういうことを、しようとしたかということを探究するのが文学の仕事だ」との周五郎の言葉を引きつつ、乙川優三郎の姿勢に共通点を見出す。追い詰められた人間が最後のぎりぎりのところで、一気に生きる力をえようと立ち上がるところが描かれていて、なかなかに味わい深くはある。 周五郎や乙川優三郎の試みとは相違して、現実には追い詰められたまま自らの命を絶ってしまうケースが多い。例にだすのにはいささか気が引けるが、私が生きてきた政治の世界にもままみうけられる。歳月を経て振り返ってみれば、何も死を選ばずとも、との思いがよぎる。窮地に陥った人にとって文学が果たす役割がもっと大なるものならばと、思いを致さざるを得ない。 志を立て、政治家になりながら、カネごときで足元をすくわれ、大事ないのちを落すのは無念というほかない。それなのに、それが見えないというのは、文学とのかかわりが日頃からないからではないか、との仮説を立ててみた。「政治と文学」のテーマは、古くて新しい命題との思いが改めてつのる。
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第14回 山本周五郎賞 乙川氏の作品には、常に悲しさと涙がある。それは何より氏の小説世界が、常に民衆を描き、比較的平和な時代とされる江戸の市井に存在したであろう悲哀を描き出しているからに他ならない。 本作品『五年の梅』は5編から成る作品集だが、そのどの作品にも、そう若くはない人...
第14回 山本周五郎賞 乙川氏の作品には、常に悲しさと涙がある。それは何より氏の小説世界が、常に民衆を描き、比較的平和な時代とされる江戸の市井に存在したであろう悲哀を描き出しているからに他ならない。 本作品『五年の梅』は5編から成る作品集だが、そのどの作品にも、そう若くはない人々が主人公として選ばれている。時には女性であり、時には男性であり、その職業や立場も様々ではあるが、それでも一貫しているのは、その主人公すべてが一抹の不安を抱きつつ生活をし、その過程に訪れるであろう「悲しい思い」を如実に物語っている。 果たして「悲しい思い」とは何か?それは実に多岐にわたる。 人生は時として過酷なまでの試練を与え、それをいかに乗り越えるかを試されているかと錯覚するときがある。しかしながらその試練は人生の糧となり、その後の人生に大いなる財産として残る場合もある。人それぞれ。それが乙川氏の物語る市井の姿であり、また作品世界の中心に据えられたテーマなのであろう。 2003年10月/新潮社/新潮文庫
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窮地に立った友を救うべく君主に諫言し、蟄居を命じられた村上助之丞。淡々と日々を生きていたが、ある日想いを寄せていた友の妹の弥生の現状を知り、居ても立ってもいられなくなり……表題作「五年の梅」を含む五編を纏めた短編集。 * * * 凄く良いお話がたくさんです。 辛く苦しい境遇に...
窮地に立った友を救うべく君主に諫言し、蟄居を命じられた村上助之丞。淡々と日々を生きていたが、ある日想いを寄せていた友の妹の弥生の現状を知り、居ても立ってもいられなくなり……表題作「五年の梅」を含む五編を纏めた短編集。 * * * 凄く良いお話がたくさんです。 辛く苦しい境遇にある人たちの生き様とその人生の転機を鮮やかに描き出しています。「小田原鰹」が重たい話ながらぐっと胸に来ます。特に顕著に、人間が、人生が変わるのに年齢など関係ないのだと感じさせられます。 「蟹」も好きです。あのふたりが幸せになってほしいです。
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どうして本は新装で発売されるたび、表紙が変わるの!? 統一して欲しい、ほんとに。 内容は◎ 宮部みゆきや宇江佐真理に似た軽妙さ、読みやすさ。 でもどこかに頑固な面もある作家さんかなと。 短編はやはり、とっつきやすくていいね。
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乙川優三郎「五年の梅」を読了。 これは2001年の山本周五郎賞を受賞した短編集である。 「後瀬の花」「行き道」「小田原鰹」「蟹」「五年の梅」の5編が収められている。 どの作品もよかったが、なかでも「小田原鰹」と「五年の梅」が心に残った。 「小田原鰹」は情がなく、女房にも息子にも見...
乙川優三郎「五年の梅」を読了。 これは2001年の山本周五郎賞を受賞した短編集である。 「後瀬の花」「行き道」「小田原鰹」「蟹」「五年の梅」の5編が収められている。 どの作品もよかったが、なかでも「小田原鰹」と「五年の梅」が心に残った。 「小田原鰹」は情がなく、女房にも息子にも見捨てられたダメ男が、辛酸をなめた後に人間らしく再生していくという話。 老いの心細さのなかで、人生の機微に触れることで、しだいに変わっていく男の生き様に心動かされる。 「五年の梅」は親友のために藩主を諫めた主人公が、蟄居を命ぜられ、そのために許嫁を不幸に陥れることになってしまう。 それを悔いた主人公が、苦難の末に許嫁を不幸な境遇から救い出そうとするというもの。 5編は、いずれも生きることに躓きながらも、再出発を果たそうとする人々の姿を描いている。 思い通りにいかないのが人生である。悔いの多いのも人生である。 だがそうしたなかにあっても、懸命に生きることで希望を見出していくのも人生である。 「結局、近道などなかった・・・」(「五年の梅」)という感慨が、どの作品の底にも流れている。 しみじみとした読後感が味わえる短編集であった。
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全1巻。 短編集。 時代小説はあんまり好きじゃなかったんだけど、 かわいがってもらってる人から40冊くらいもらって。 短編集も好きじゃないけど手始めに。 ああ。 なんかしみる。 たぶん自分が歴史小説の方が好きなのは、 基本的に人の人生を1本仮想体験できて、 自分もがんばろう...
全1巻。 短編集。 時代小説はあんまり好きじゃなかったんだけど、 かわいがってもらってる人から40冊くらいもらって。 短編集も好きじゃないけど手始めに。 ああ。 なんかしみる。 たぶん自分が歴史小説の方が好きなのは、 基本的に人の人生を1本仮想体験できて、 自分もがんばろうって思うからだと思う。 時代物は背景が変わっただけで基本は現代小説と一緒。 創造された主人公の、 それも人生の一部の事件をクローズアップした話って、 一生分を仮想体験する歴史ものに比べると 薄っぺらい印象をもってた。 でもこれしみた。 年取ったからだなあと思う。 読んでみて自分もがんばろうってんじゃなく、 人の人情、あったかさに人間ていいなあって。 仮想人生じゃなくて人生劇場。 せちがらい世でも、だからこその、人間の美しさ。 人生っていいものでしょ?な感じ。 しみるなあと思いつつ、 まだまだしみるな自分、な気分。
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ほかの本で本作に納められている「小田原鰹」を読んで面白かった& 山本周五郎賞受賞作いうのも手伝い購入。 どうやら、一番最初に読んだ「小田原鰹」が一番面白かった様で、他の作品も面白いんだけど、 少し肩透かしを食った感が否めない。 多分順番通り読めば数倍楽しめたかな。 本筋から...
ほかの本で本作に納められている「小田原鰹」を読んで面白かった& 山本周五郎賞受賞作いうのも手伝い購入。 どうやら、一番最初に読んだ「小田原鰹」が一番面白かった様で、他の作品も面白いんだけど、 少し肩透かしを食った感が否めない。 多分順番通り読めば数倍楽しめたかな。 本筋から離れるけれど、表題作に地元の城下町が描かれていてびっくり。 しかも5万石だったとは。意外と栄えていたのに更に驚いた。 地元の友人に早速連絡したら「確か3万石だったと思うよ」との回答。 もしかしたらその後石高が減らされたのか?? ともあれ友人の地元愛に感服。
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2008.9.28 後瀬の花・・・追いつめられた人間が、最後のぎりぎりのところで、一気に、生きる力を取り戻そうする。 行き道・・・家に戻ろうとする「やり直し」 小田原鰹・・・家を出る「やり直し」 蟹・・・優しさを体現したかのような、無骨でいながら心映えのいい岡本岡太。 五年の梅...
2008.9.28 後瀬の花・・・追いつめられた人間が、最後のぎりぎりのところで、一気に、生きる力を取り戻そうする。 行き道・・・家に戻ろうとする「やり直し」 小田原鰹・・・家を出る「やり直し」 蟹・・・優しさを体現したかのような、無骨でいながら心映えのいい岡本岡太。 五年の梅・・・一番良かった。控え目に隅のほうの咲いている花が、なんとか行き直そうとしている人間たちを静かに祝福している。
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山本周五郎賞受賞作らしい、心が痛くなるような短編の集まり。「投げたらアカン」でも自暴自棄になりたくなるフツーの人々の人生を描いている。
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